もう5年近く前に出版された本だが、おそらく書いた当時よりも5年後の今の世の中の状況をもっともよく表してしまっていると思われる。山形浩生はやっぱりすごい。まあいろいろある人ではあるが、仕事の内容は面白い。口が悪い? 確かに字面は良くないが、「口当たりはいいけど、何の役にも立たない」言葉の方がずっと害悪だと思っている私にとっては、実のある内容や彼自身の態度を的確に伝えようとする彼の言葉は上等なものだ。問題を指摘された時には、それが事実である場合には謝っちゃうし(笑) セクハラ野郎? んー、ただ単に頭の悪い女が嫌いってだけのように思えるけど。それってセクハラ? 当たり前じゃないの? 誰か教えて。
それはともかく肝心な内容。「花咲く乙女たちのキンピラゴボウ」よりも「87」の方に似ているような感じがする(両方とも橋本治ね)。……って全然分からんね、これじゃ(笑) 本書の言いたいことを無理矢理まとめると次の通り。
例えば、複雑な筋書きの映画を観ていて、途中で「本当に理解出来なくなる」人がいる。しかし、現実世界は作り物の映画よりももっと複雑だ。映画ごときで落ちているこーゆー人は、現実世界で大丈夫なのか? 別に知識があるからいいってもんじゃないけどさ、すっごいみんな不安そうなんだけど。知識のベースとか文化の基盤みたいなものって明らかに狭いしね。しかも世代をまたがる文化や教養ってのも日本にはないんじゃない?
私は職業柄、超年上の先生か大学生or院生というのが周りに多い。「若い者と話が通じない」という友達の愚痴もちらほら聞くようになったが、私自身はあまりそれは感じない。勿論「直接体験」の話では世代差は感じるが、「話がかみ合わない」のは年齢の差のせいではなく、価値観の違いだと基本的には思っている。共通する価値観、共通する知識があれば、伝えたいことは通じるものだと楽観的に信じている。というか、そうでも思わないと先生業なんてやってられないので。
でも、時々、本当に知識ベースが狭い人っているものである。いわゆる「学力」的な頭は良いにも関わらず、である。しかも、知らないことに全く逡巡がない。振り返ってみれば、中学高校の時にもそういう人は確かにいたが、別に私には関係ないやと勝手に思っていたので(向こうも同様だったろうが)どうでもよかった。しかし、今はどうでもいいと切り捨てるわけにもいかないことがある。複数で話をしていて盛り上がっているところで、突然「で、それって何ですか?」と言われると困ってしまう。今までの話は何だったんだって。そこで私の悪い癖で「それって釣りか?」と思い込んで、時々大ウソふっかけてみたりするので、私をひどい人だと思っているであろうなあ(笑)
それはともかく、ネットでも時々恐ろしくベースが狭い方にお目にかかる。いわゆる炎上系ブログはそうだ。有名な炎上系ブログの管理者の多くが「自称・大学生」なのが気になる。で、文章読んでると、学校的なアタマの能力は低くなさそうなんだ(笑) 「しゃべり場」とか「読書感想文優秀賞」みたいで。高校までは自分の価値観と先生の価値観、家族の価値観が全て合致して、きっとうまくいってたんだろうね、でも大学だと褒めてくれる先生もいないし、というのが想像出来る。ま、釣りかもしれないけどね。
この本は雑多な内容の割に一貫した考え方を感じさせる。 「選挙権を売ろう」とか「画期的不況解消策」とか面白い思考実験がたくさんある。これを読んでいろいろ考えて面白がる人が増えればいいのだろうけど、きっとそうはならないんだろうなあ。
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