133 posts categorized "音楽"

2009.06.27

読響名曲シリーズ(6月8日)

だいぶ間があいてしまった。今回の指揮者は下野竜也,ソリストはザビーネ・マイヤー。

ウェーバー:歌劇〈オイリアンテ〉序曲
クラリネット協奏曲第1番
ドヴォルザーク:交響曲第1番〈ズロニツェの鐘〉

 ウェーバーというと,「魔弾の射手」くらいしか知らない。「オイリアンテ」序曲は軽快に進む。シモーノと読響の組み合わせは,本当に良くなってきてますね。疲れていたので,クラリネット協奏曲で少し落ちる(笑) マイヤーはアスリート系だなあ。
 この日の聴きものはドボ1。ドボ1なんて滅多に演奏されない。プログラムで下野自身も「後期の作品に比べるともちろん完成度は落ちるが,作曲者の変遷に思いを馳せて欲しい」と書いていた。確かに,後期の交響曲(8番とか9番とか)に比べると無駄なところが多いというかゴテゴテした印象。メロディメーカーとしての才能は感じるのだけど,内声とか構成とか「それはやり過ぎだろう」と言いたくなる。きっと当時の流行りとかそういうのを意識しているんだろうなあ。そして,「オレ売れたい!」という若いドボルザークの思いが強く伝わってくる。でも決して悪い曲ではないし,下野と読響のお蔭で面白く聴けた。
 この日はカメラが入ってたので,テレビかインターネットで放映されるだろう。それも楽しみ。

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2009.04.26

読響名曲シリーズ(4月13日)

 次の常任指揮者となるシルヴァン・カンブルラン登場。

モーツァルト・歌劇「劇場支配人」序曲
ベートーヴェン・交響曲第4番,交響曲第5番

 一番の聴きものは,4番の第1楽章(笑) モノクロームの世界から,総天然色の世界へと飛び込んでいくようなそんな音楽だった。ただ,独特のリズム(ティンパニの乗せ方がちょっと違う?)と,べたすぎるくらいのコントラストのつけ方に疲れてしまって(その日の仕事のせいもあるけど)その後は撃沈。
 ようやく5番の3楽章あたりで慣れてきてハマってくる。「運命」とかベートーヴェンが重々しいなんて誰が決めた? という感じの祝祭的な第4楽章。アンコールは「ロザムンデ」の何番だったっけか?
 この指揮者は面白いんだけど,かーなーり曲を選ぶかもしれない。前はメシアンを指揮したそうだが,ヴェルディなんていいんじゃなかろうか。でもベートーヴェンはちょっとパス。

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2009.04.25

読響定期(4月7日)

 久しぶりの定期演奏会。今回は日本人作曲家シリーズ。

芥川也寸志「エローラ交響曲」
藤倉大「アトム」
黛敏郎「涅槃交響曲」

 芥川也寸志は没後20年,黛敏郎は生誕80年でもあるとか。指揮者はシモーノ。このプログラムは完全にシモーノの趣味ですな。

 「エローラ交響曲」は,最後はハルサイ(笑) 日本版ハルサイ。芥川也寸志というと,「忠臣蔵」と「八甲田山」くらいしか知らないのだが,そういう感じ。当時の西洋音楽をうまく取り入れたというか。
 「アトム」は……正直あまり面白くなかった。一応,読響が委嘱した作品だが,今後演奏される機会はあるだろうか。芥川と黛に挟まれて演奏されるというのも,罰ゲームというか光栄というか。他の2作品に比べると「切実さ」があまり感じられなかった。今や「日本人がクラシック音楽を作曲する」ことの気負いも抵抗もないんだな。幸せなことに。
 最後の「涅槃交響曲」は本当に素晴らしかった。ステージ以外に楽員をおいて演奏させるという手法も,合唱を「楽器」のように使うというのも,今となっては当たり前だが,当時はさぞや革新的だったことだろう。この日は金管が非常に良かった。
 シモーノは,演奏が終わり,客席に応える時に,楽譜を掲げるようにしていた。先人へのリスペクト。偉大なる日本人作曲家への「愛」が満ちあふれていた公演だった。

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2009.03.29

読売日響芸劇名曲シリーズ(3月21日)

 ミスターSの自作が間にあわなかったのか(笑),曲目変更があった。おかげで珍しい曲が聴けた。

チャイコフスキー・「弦楽セレナーデ」
ストラヴィンスキー・「管楽器のための交響曲」
ブラームス・交響曲第4番
 1階席で割とオケと近かったせいかもしれないが,弦セレで弦が力いっぱい弾いているせいか音が少しガサガサしているのが気になった。上の方で聴くと感じが違うのかもしれないけど。ただ,ウェットな感じがないのは好感が持てる。ストラヴィンスキーは,弦が誰もいない空間で演奏されていたのが面白い。
 聴きものはやっぱりブラームス。ホルンがややコケたが(エキストラ?),えっらく熱い演奏で満足度 高し。ただし,録音されていたが,これ売るんですかね? 買うかというと微妙な演奏ですな。


 あと,どうでもいい話だが,隣に座っていたご夫妻が,明らかに旦那さんがクラヲタで,明らかに奥さんは興味ないというのが気になって仕方がなかった。奥さん,演奏が始まると下向いてずーーーーっとセーターの毛玉取ってるんですよ。時々舞台の方をチラッと見てはため息ついてまた下を向くと。寝もしないで毛玉取ってる。そこまで舞台を頑なに見たくないのは何故なんだろうか。いくら興味なくても,普通は見るでしょ。舞台を見てはいけないと思い込んでいるのだろうか(←おそらく違う)。というか,そんなに辛そうな人連れてくんなとか思うのだが,旦那さんは休憩中に嬉しそうに名盤ディスクとか指揮者の説明してるんだ。他人事ながら心配になった。

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2009.03.14

スカパラブームと微妙な男前

 ここ1か月くらい,個人的に空前のスカパラブームだ。ひたすらスカパラばっかり聴き,YouTubeでもPVを見まくっている。今までも不定期にシングルを買ったりしていたんだけど,最近になってiTune Storeでアルバムをまとめ買いしている。音楽はiPodに入れて聴くので,iTune Storeで売ってくれると本当にありがたいっす。
 今までものすごく熱心に聴いてきたわけではない割には,メンバーはなぜか全員知っていた。きっとオザケンのせいだ(笑) 当時のギタリストはテラシさんで,ドラムは故・青木さんだった。青木さんが亡くなった時はとても悲しかったなあ。
 
 高校生の時は,冷牟田さん(脱退はすごく残念だけど,体が良くなったらまた戻ってきて欲しいです)が一番好きだったはずなんだが,今PVを見まくっていて初めて気が付いた。
 名古屋課長みたいな男にものすごく弱い。
 例えば,YouTubeで上がっていた「ルパン三世」の映像だけど,NARGOがカッコよすぎて死にそうになる。昔はあまり興味がなかった(←失礼な)のに,今になってやられている。やられまくり。今になって思えば,無意識のうちに自己防衛のために正視しないようにしていたのかもしれない。
  NARGOは男前である。男前であるが,なんだかビミョー。大森さんだと「本当に男前」と胸張って言えるんだけど,NARGOは何となく垢抜けないというか,その髪形とか服装とかどうなのよ,というか。何ですか,その眼鏡は(笑) ニッポン男児的な顔なんだけど,妙に濃い〜ような気もする。そして,明らかに天然気味。
 こういう天然気味の,微妙に垢抜けない,コンパクトな男前に弱い。他人に説明しにくい上に,納得してもらいにくい趣味である。困ったものである。

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2009.03.02

読響芸劇マチネーシリーズ(2月21日)

 定期を振替え,マチネーに行く。指揮はヴァシリー・シナイスキー。ロシアの爆演系と聴いてちょっと楽しみになる(笑)

デュカス/交響詩「魔法使いの弟子」
サン=サーンス/チェロ協奏曲第1番
ベルリオーズ/幻想交響曲

 実際は,想像していた「爆演系」ともちょっと違っていた。内声部なんか結構こだわっていてすごくカッコいいし,弱音部を非常に大切にしていた。ただ,「幻想」の大事なところで金管がちょっとへたったのが残念。読響の金管なら出来るはずなので。
 シナイスキー自体は非常にいい指揮者だと思う。読響は割とロシア人指揮者を多く呼んでいる方だけど,シナイスキーも定期的に呼んで欲しい。
 聴き物だったのは,チェロのタチアナ・ヴァシリエヴァ。すごく立派。立派すぎてオケがちょっと引いてるように聴こえたくらい。これから人気が出そう。


 会場から出て池袋駅に向かうと,池袋演芸場が見えた。下席は文左衛門師主任なのを思い出した(笑) 

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2009.02.08

シカゴ交響楽団来日公演(2月4日・サントリーホール)

 実はシカゴ響は2003年の来日公演も聴いていて,「とっても上手い,けどそれで?」という感想しか抱けなかった。今回はハイティンク指揮なので,そこに期待したわけだが。

モーツァルト 交響曲第41番「ジュピター」
R.シュトラウス 「英雄の生涯」

 サントリーの2階の奥の方だったせいかもしれないが,音が薄い。でも,これでも結構いい値段したのよ。落語なら10回通えるくらいの(そういう計算は間違っているのは重々承知)。
 シカゴ響の音は相変わらず「技術的には上手いのかもしれないけど」であり,ハイティンクの指揮もあっさりしたもの。ドレスデンシュターツカペレみたいな音を期待するのが悪かった。これが28000円払わないと聴けない演奏なのかというとそんなことない。
 ネット上でいろんな方の感想を読んで,殆どが「感動した!」なのに,こんなこと書いて本当に申し訳ないけど。「ミスターS&ザールブリュッケン>>>ヤンソンス&コンセルトヘボウ」みたいな趣味の人間だから,多分,こういうのは合わないということで,許して欲しい。

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2009.02.05

読響定期(1月21日)

 一部で噂の上岡敏之を聴きに行く。

マーラー/交響曲第10番から アダージョ 嬰ヘ長調
モーツァルト/ピアノ協奏曲第23番
ヨゼフ・シュトラウス/ワルツ 「隠された引力(デュナミーデン)」
R・シュトラウス/歌劇「ばらの騎士」組曲

 ネット上にたくさんの感想が上がっていて,賛否両論なのが面白い。確かにその通りで,上岡敏之が狙っているのは,ものすごく個性的な音楽なのだ。
 最初の「アダージョ」からして,「標題音楽」のように聴こえた。マーラーの抱く死への不安や浄化のイメージ。流し気味なモーツァルト(ブラレイにはあまり合ってないような)の後は,思いっきりウィーン風のヨゼフとリヒャルト。リズムの取りかたも音の構成も独特で,聴こえてくるのはウィーン風な濃厚な音楽。嫌いな人はべた過ぎて嫌いかもしれない。
 
 と書いてきたが,多分,今年最高のコンサートの1つだと個人的には思う。まだ今年始まったばかりだけど(笑) 後半で私は「ここはウィーンか」と何度思ったことか。上岡は本当に日本人なのだろうか?とか(笑) そしてあの指揮に平気でついていける読響もブラボー。「クライバーの真似」というのはどうなんだろうな? クライバーの真似は可能なものなのか?上岡氏が読響にまた来る時には必ず行くね。今後要注目なのは確実だろう。というのと,読響は今後も定期的に押さえて欲しい。

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2009.01.20

読売日響名曲シリーズ(1月15日)

 シューベルトの「冬の旅」の管弦楽版が上演されるので聴きに行った。指揮者はワルター・グガバウワー。馴染のない名前だが,ウィーン少年合唱団の看板指揮者だった人らしい。そしてソリストはフローリアン・プライ。あのヘルマン・プライの息子である。元々「冬の旅」の管弦楽版は,ヘルマン・プライが鈴木行一氏に依頼して編曲してもらったものらしい。それを息子が歌うという企画。

モーツァルト 交響曲第40番
シューベルト 「冬の旅」

 前半は無難に終わる。グガバウワーは結構丁寧な指揮をする人らしい。金管がやや乱れたように聴こえたのが残念(席が1階の前の方だったので,音響的に難はあるんだけど)。
 後半がやはり聴き物。といってもこの日はお客が少なかったなあ。オケの定期会員になるような人はこういうプログラムは嫌いだろうし,声楽好きな人は「なぜオケで伴奏しなきゃならないのか」という感じだろうし。プライの声はちょっと線が細かったが,「冬の旅」の世界で描かれている若者の鬱々した感じを表現するには良かったかも。そして,オケでこういう風にこの曲を表現するんだ,という発見もあったし。ただ,ちょくちょく聴きたいかというとそうでもないんだけど。

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2008.12.30

読売日響名曲シリーズ(12月25日)

 12月の名曲シリーズは第9。

指揮:ギュンター・ノイホルト
ソプラノ:林正子
メゾ・ソプラノ:林美智子 
テノール:中鉢聡
バリトン:宮本益光
合唱:新国立劇場合唱団

 去年と殆ど歌手は変わってない。そして,去年は下野竜也が指揮したが,あまりいい印象がない。ソリストがどうもね。
 そして,今年だが,去年ほどはそれが気にならなかった。ソプラノとバリトンはやっぱり……だけど,合唱やソリストのまとめ方はノイホルトの方が良かった。ノイホルトについてはよく知らなかったのだが,オペラ指揮者だそうだ。
 第1楽章からオケは快調に飛ばしていく。いつも以上にノリノリの弦。特に第3楽章が良かった。大体この辺でだれるんだが,ここが聴きどころだった。第4楽章の最初でちょっとコケたが,それ以外はとても良かった。そして合唱はさすがプロ。最後の拍手も,ソリストより合唱団の方が大きかった。観客は正直ですな。
 これがコンサート聞き納め。今年は読響ばっかり聴いていた。来年もいいコンサートに出会えますように。

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2008.12.24

読売日響定期(12月15日)


 久々の読響定期。指揮は広上さんだが,このプログラム,ずいぶんマニアックなこと。

ブラームス/ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲

ブラームス(シェーンベルク編曲)/ピアノ四重奏曲第1番(管弦楽版)
 前半のソリストはカプソン兄弟。イケメンでかつ実力者だから,今後もっと売れるんじゃないでしょうか。ブラームスにしては華麗な感じ。オケパートも結構難しいアンサンブルが求められますが,読響はやっぱり上手い。  しかし,本当の聴き物は後半。シェーンベルクも広上淳一もやりたい放題。まず,ブラームスはいずこへ,という編曲。すっごい楽しい。そんな音楽の中で踊り狂う広上さん。マニアックな曲なはずなのに,そんな先入観はすっかり吹っ飛んでしまった。広上さんと共にやたらとノリがいいオケ。特にビオラパートが良かった。読響のビオラは最強じゃないですか。  この日はカメラが入ってたので,「深夜の音楽会」で放送されるか,ネット配信されるんじゃないかと。ネット配信でまた聴きたいところ。

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2008.10.04

読響名曲シリーズ(9月22日)

 この日も指揮はスクロヴァチェフスキ。プログラムは以下のとおり。

ブラームス ピアノ協奏曲第1番(ピアノ:ジョン・キムラ・パーカー)
ブルックナー 交響曲第0番

 当初楽しみにしていたのは前半。ジョン・キムラ・パーカーは、前にN響に来ていた時に聴いたような記憶があるが、はっきりと覚えてない……。
 早めにサントリーホールに着いたので、下のアークヒルズのスタバでコーヒーを飲んでいたら、ちょうど店を出ようとする人とちょっと前に店に入った人が出会って談笑をしていたが、その人達の顔を見てビックリ。
 ちょうど店を出ようとしていたのは、コンマスのノーラン氏、そして店にちょっと前に入ってきた人物は下野竜也氏だった(笑) ノーラン氏は本番までスタバでくつろいでたのか。そして、下野さんはミスターSの演奏会では結構な頻度でお見かけするが、この日も聴きにいらしていた。勉強熱心だな。

 前半のピアノ協奏曲は、第1音から「今日は結構凄い物がきけるかも……」という予感がした。私はこの曲が大好きなのだが、演奏回数は多くないし意外といいのは聴けない。しかし、パーカーのピアノはオケに全く負けることがなかった。オケとピアノが仕掛けあっているようなところまであったのにも驚いた。オケとピアノががっぷり四つに組み合っていた。この日はカメラが入ってたので、「深夜の音楽会」で放映されるんじゃないかと。ついでにネット配信もしてくれると嬉しいのだが。

 後半は、全く曲を知らないからなあと、何も考えないで聴いていたのだが、これはこれで驚いた。
 ブルックナーってネクラ?
 後期の「突き抜けた」感じのブルックナーとは全く違う。第0番は若い頃の習作で、本人が「これはダメです」と決めつけた作品である。しかしこの曲には、若きブルックナーの悩める姿が反映されているように感じた。シューベルトとかブラームスが若い頃こんなもの作ってたんですよーとか言っても納得できる感じの佳曲。そういう風に聴けたのもミスターSと読響のお蔭かもしれないけど。

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2008.10.02

読売日響東京芸術劇場名曲シリーズ(9月16日)

 9月の読響はスクロヴァチェフスキ指揮なので2回行くことにした。この日のプログラムは以下のとおり。

シューマン 交響曲第2番
R.シュトラウス 交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき

 聴き物だったのは前半。実はシューマンってネクラっぽくてあまり好きじゃないのだが、ミスターSのはなぜか結構好きだ。基本的に暗さがなくて、柔らかい色合いを感じるからだろうか。ミスターSは今年で85歳になるとは思えないくらいきびきびしたテンポで指揮をする。テンポは速めだが、音には膨らみがあるのが凄いところ。この人の音楽から私はいつも「生命力」を感じる。音楽が本当に若々しいのだ。

 後半は、余計なことを何も考えなくていい曲(笑) いや、下手なオケだと「金管外したらどうしよう」とかいろいろ不安に思うんだが、最初のトランペットは長谷川さんだからあまり心配はないし、他のパートも同様。読響って普通に上手いんだなと感心する。ただ、指揮は普通。ミスターSはとにかく元気そうで何よりです。2010年以降も出来るだけ読響に来て下さい。

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2008.08.02

読響マチネーシリーズ(7月19日)

 アルブレヒト祭(違う)の2回目。芸劇まで行ってきました。この日は本当に暑かった……。
 プログラムは以下のとおり。

シューベルト 劇音楽「ロザムンデ」から間奏曲その1・その2とバレエ音楽その1・その2
シューベルト 交響曲第8番「ザ・グレート」

 バレエ音楽その2は、当日追加が発表された。この日のコンマスは藤原さん。
 定期演奏会よりも、アルブレヒトらしさが出ていたような気がする。定期演奏会が「お帰りなさい祭」だったが、今回は2年前までの通常プログラムだった。9年間で作り上げた信頼関係がよく現れていた。指揮者の指揮にオケが素早く明確に応えていく。繊細で重厚な演奏だった。特に後半の「ザ・グレート」は名演だったと思う。全体的にそうなのだけど、アルブレヒトはテンポをどんどんと変えていく。これが独特の効果を生みだしていく。これだけの演奏はなかなか聴けないだろう。

 ……ただ、夏バテ気味の体にはちょっと辛いプログラムでもあったな。シューベルトは濃い。「ザ・グレート」は長いのではなく、「濃い」曲だ。クリームたっぷりのシフォンケーキみたいで(笑)  聴いているうちに少し意識が遠くなりかけたのも数回……。
 それにしても、アルブレヒトはたった2回しかコンサートをしないなんてもったいない。来年はもっと来て欲しいなあ。

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2008.07.31

ホルスト・シュタイン死去

 N響の黄金時代の記憶も遠くなりにけり。

 訃報:ホルスト・シュタインさん80歳=N響名誉指揮者(毎日jp)

ホルスト・シュタインさん80歳(ドイツの指揮者、NHK交響楽団名誉指揮者)N響に入った連絡によると、27日、スイス・ジュネーブの自宅で死去。

 ウィーン国立歌劇場首席指揮者、ハンブルク国立歌劇場音楽総監督などを歴任。ワーグナー指揮者として高く評価されており、バイロイト音楽祭の常連だった。

 75年にN響名誉指揮者に就任。98年まで16回共演した。近年は体調を崩していたという。

 実は、残念ながら生の演奏には接することが出来なかった。シュタイン指揮が予定されていた定期に行ったら、シュタインは残念ながら降板し、イルジ・コウトになっていた(コウトも悪い指揮者ではないが)。「N響アワー」でしか見た事がない。ワーグナーのオペラ序曲を聴いたことがあるかな。
 この降板の時に、「”いつでもこの人のは聴ける”とか思っちゃいけないんだな」ということが分かった。今のところ、毎年日本に来ている指揮者も、本当は来年はどうなるか分からない。サヴァリッシュの時にもそのことを痛感した。サヴァリッシュ日本最後の公演(N響定期2日目)に駆けつけることが出来たのは、本当にラッキーだった。

 それにしてもN響黄金時代の指揮者がどんどんといなくなっていく。今のN響は迷走気味でどうしたいのかよく分からない。この間地下鉄の中の映像広告で、「定期会員募集」というのを見て驚いた。N響定期会員も減っているんだろうか。盤石かと思ってたのに(年寄りばっかりで)。私もやめちゃいましたがね。あのプログラムだと定期会員で行く気がしなくて……。取りあえずいろんな指揮者を呼んできているが、次の音楽監督はどうするんだろう。

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2008.07.24

読売日響定期(7月14日)

 今月はアルブレヒト祭り(←違)。1年4か月ぶりに読響に帰ってきた。今回のプログラムは、ヴァレーズの「アメリカ」とドヴォルザーク交響曲第9番「新世界から」。

 会場にアルブレヒトが登場した時点で、会場のテンションが上がっているのが感じられる。観客も団員も勝手に盛り上がっている(笑) そんな中、アルブレヒトは、ネクタイなしのカジュアルなスタイルでニコニコしている。常任時代にはなかったリラックスぶり。

 「アメリカ」は初めて聴く曲だったが、結構面白かった。パーカッションが聴き物だということなのでそこに注目していたが、それだけでなく管も面白い。木管では首席が二人並んでいたりと豪華な編成。最後の旋回するところが良かったな。また聴いてみたい。

 後半の「新世界より」はデザート状態。木管は前半頑張りすぎたかもしれない。イングリッシュホルンの方が、いつもに比べると少し不調だったような気がした。あと、ホルンも最後で少しコケた……。それに比べて弦は大盛り上がり(笑) コンマスの小森谷さんはじめ、チェロやヴィオラはノリノリだし。少しアンサンブルが乱れるところもあったが、そんな超ホットな読響も大好きです(笑)
 アルブレヒトはこの公演と、土曜のマチネーだけ。ちょっともったいない。もっと来て欲しいなあ。

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2008.07.08

読売日響名曲シリーズ(6月9日)

 今月は、定期を回避して、名曲シリーズへ。理由はチャイ4があまり好きじゃないから……。今月の指揮者はアレクサンドル・ラザレフ。今度、日本フィルの首席指揮者に就任するらしい。コバケンの後なのか…。

 最初はドボルザークの「真昼の魔女」。元の話を良く知らないせいもあって、よく分からないうちになんか盛り上がって音楽が終わる。もしかすると、ロシア的ド派手系指揮者か??
 しかし、次の「ピーターと狼」では意外と手堅くまとめてくる。オケの調和も取れてるし。ナレーションは伊倉一恵さん。誰かと思っていたら、「シティハンター」で槙村香の声やってた声優さんだった。道理で語りがうまいはずだ。
 最後はボロディンの交響曲第2番。本当にベタで恥ずかしい話だが、ボロディンというと「イーゴリ公」というか「だったん人の踊り」しか知らない。オリエンタルなイメージしか持ってない。そして、この第2番もオリエンタリズム溢れるメロディが流れる。特に第3楽章は「ボロディン節」といえよう。全然知らない曲だったが、結構楽しめた。ラザレフの指揮は確かに派手なんだけど、音量で伴奏を潰したりしない繊細な面も持っている。この日は割と金管が安定していて良かった。

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2008.06.08

ウィーン・フォクルスオパー「こうもり」(5月25日)

 フォルクスオパーの来日公演ですが,「こうもり」だけ行ってきました。フォルクスオパー目当てではなく,歌手目当てで。ルネ・コロとかヨッヘン・コワルスキーとかが日本に来るからです。年齢も年齢なので,次があるかどうか分かりません。
 まず,序曲ですが……音が垢抜けてないなあ。正直言って,オケはあまりうまくないです。音が泥くさい。これは大丈夫か……と少し不安になっていたが,幕が開いてからは凄かった! ルネ・コロは相変わらず声の艶があって(少し息切れしそうなところもあったが。もう70歳だから仕方ないか),「オレがスターだ」という貫録が感じられました。他の歌手も素晴らしくて,特にアデーレ役のダニエラ・ファリーはコケティッシュで才気がある感じが出てましたね。第3幕の刑務所の場面は,少しギャグが多すぎるような気もしないでもないが,ツェドニクが良い味を出してました。
 コワルスキーは,外見的にはもう「青年」というのが厳しいのですが,やっぱりこの役は男性が歌った方がいいな。男性の方が「ちょっと残酷な閑人」感が出るから。オルコフスキー伯爵とあの男性の召使いとの間には何かあるのだろうか……。最後にアデーレとイーダのパトロンになるとオルコフスキー伯爵は言いだすのだが,「男性が女性のパトロンになる」時の独特のいやらしさは全くないし。
 オケはともかく,歌手のレベルはとても高く,非常に楽しめました。これは行って良かった!

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読売日響定期(5月19日)

 5月の定期は,現代音楽中心である。正直言って,現代音楽はよう分からんが,定期演奏会でそういう試みを続けることの意義は認める。指揮者は下野竜也。

 最初は「マイスタージンガー」第1幕への前奏曲。現代音楽中心のプログラムの最初にこの曲が置かれる理由は後で分かる。私の席が悪いのか,もっさりした感じに聴こえる。弦と金管のバランスが悪いというか。サントリーの1階,音が変な風に拡散する時がある上,なぜか知らないがこの日はプレイヤーが乗る舞台が全部なくて,平らな舞台だったせいかもしれない。なぜこんな風にしたのかはよく分からない。
 山根明季子/オーケストラのための「ヒトガタ」(世界初演)。よくある作曲者によるトークは後に回される。「音で形を表す」ということを狙った曲らしい。メトロノームとかパーカッションとかがいろんな音を出すが,おそらく「時の流れ」を表現しているということは聞いた時点で分かった(後でご本人も話していたが)。あと,聞いているうちに「このご時世に,オーケストラ編成向けの曲を作曲して,オーケストラで演奏することの意義はなんぞや」という疑問が浮かんできた。答えはいまだに分からないが,少なくとも「今後も演奏され続ける」曲になるのかというと,……ならないかもしれない。下野氏も「今回限りにならないように」とブラックなこと言ってましたが(笑)
 休憩後のコリリアーノの方が私には面白かった。ヲタク的だからだろうか。「ザ・マンハイム・ロケット」における,いろんな曲の引用の仕方とか(ここで「マイスタージンガー」の答えが分かる)。最後は「ハーメルンの笛吹き幻想曲」。フルートは瀬尾和紀。あんな衣裳でフルート吹く曲というのもこの曲くらいだろう。フルートは見事だった。ただ,子供が演奏して客席歩くって演出は,原曲通りなんだろうけど,「よく演奏しましたね!」以上にいろいろ言いにくい。

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2008.05.10

読売日響定期(4月18日)

 スクロヴァチェフスキといえばブルックナーである。ヴァントも朝比奈も亡くなった今となっては,ブルックナー指揮者といえばミスターSということになっている。読響では6番を聴いたことがあるが,凄かった。指揮者やりたい放題。そしてミスターSが常任指揮者となってからも,ブルックナーの演奏は続いている。多分最後に音源をまとめて発売するのかも。それはともかく,名曲の5番はなぜか今まで演奏されてこなかった。
 やっと,ミスターS指揮のブル5が聴ける。ブル5のプログラムはなぜかこの日しかないせいもあって,チケットは早くに売りきれてしまった。
 会場に行ってパンフをもらったら,チラシが挟まっていた。「常任指揮者としての任期を2010年3月まで延長する」とのこと。1年延長か。年齢も年齢だから5年とかは無理だろうが,とりあえずめでたい。


 さて,この日のブル5だが,ありがちな「金管大咆哮」というものとは全く違った。それぞれの旋律を美しく響かせていく。去年のティーレマン&ミュンヘンフィルは「宇宙の爆発」的なブル5だったが,ミスターSは「春の息吹」のような感じ。小さな生命が次々に生まれていくというイメージ。
 第4楽章の前に,1回音合わせをしたが,あれのお蔭か,第1楽章との連続性が明確になったような気がする(そのためだけに音合わせしたとも思えないけど)。そしてフィナーレだが,今まではっきりと見えなかったものが急に隅々まで色鮮やかに見えたときのような驚きがあった。また,この日は指揮者が腕を下ろし少し経ってから拍手が始まった。本当に素晴らしい演奏会だった。


 あまりにも素晴らしかったせいか,この日はオケが舞台から降りた後も指揮者に対する拍手が続き,その拍手にミスターSも応えてくれた。懐かしの一般参賀を思い出す(故・朝比奈隆の晩年のコンサートは,いつもこんな感じで指揮者が出てきた。「一般参賀」と呼ばれていた)。舞台に残っていた団員もファンと同じように拍手している。
 その時,奥から一眼レフカメラを持って現れた人物がいた。よーく見たら。
 コンマスの藤原先生だった。
 ステージでは神妙な顔つきをしている先生が,にこにこしながら,ファンに応えるミスターSを撮っていた。最後の最後にもいいもの見た。

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2008.05.09

読売日響名曲シリーズ(4月12日)

 久しぶりにコンサートのエントリ。ずっと宗家ネタばっかりだったので,ちょっと緊張する。宗家のコンサートのことを書いているうちに一月経ってしまった。
 4月の読響はミスターSが指揮する。名曲シリーズの前半は「悲愴」,後半は「春の祭典」。今年で85になる指揮者のプログラムとは思えない。朝比奈隆が生きていた頃は,「会場で一番の高齢者が指揮者」というのがちょっとした宣伝文句だったが,ミスターSもそうなりつつある。……というかミスターSよりも高齢者はサントリーにいたのだろうか。

 「悲愴」だが,今まで聴いたどの「悲愴」とも違って聴こえた。今まで聴いた中で一番良かったのは,広上&新日本のものだったが,それとは違う。広上さんは焦燥感や嘆きを表現していたが,ミスターSは,もっと乾いていた。「虚しさ」が感じられる「悲愴」だった。あ,演奏が虚しいという意味じゃないですよ。
 第1楽章は,遠くから聴こえる波の音のように始まった。徐々に激しさが増していく。しかし,美しい旋律も何もかもが「虚しい」。華やかな日々も楽しい生活も,どことなく「虚しい」。最後も波の音のように音楽が消えていった。ミスターSにとっての「悲愴」とは人生の虚しさなのか。この演奏が好きかというと答えに困るが,考えさせられた。ファゴットの井上さんが良かった。
 後半は「ハルサイ」。大音量の派手なハルサイが好きな人には耐えられないだろうが,「こんなところからこんな音が」的な面白さがあった。ちょっとアンサンブルが乱れるところもあったが,楽しかった。どこか刹那的な感じがしたが。

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2008.04.05

コーホー先生のやりたい芳題

 宇野功芳という音楽評論家がいる。日本で一番有名なクラシック音楽の批評家と言っても過言ではない。「日本一当てになる」かどうかは評価が分かれるが,少なくとも日本でのクラシックのディスクの売り上げに影響を与えているとはいえよう。レビューの内容と言うより,「○○といえよう」とか「〜の極み」とかそういう「宇野節」が炸裂する独特の文体はケレン味があり,妙に癖になるから人気があるのだろう。そのためあちこちで真似されており,挙句には全自動音楽評論ジェネレータ「功芳くん」!! なるものも作られてしまうくらいだ。宇野功芳の文章を読んだことがない人でも,このジェネレータで5つくらいの評論を読んでみれば,彼の文章がどんな感じか大体分かると思う。いつもこんな感じなんですよ。
 
 
 そんなコーホー先生だが,読売日響が毎月コンサートで配布している「月刊オーケストラ」で連載を持っている。「いいたい"芳"題」というタイトルのコラムである。音楽に限らず,自分が気に入った画家とかここの寿司が旨いとかいろんなことを書いているのだが,大体はちょっとした自慢話である(笑) まあ,宇野センセイのそういう話を読みたい人もいるだろうからいいのだが。新聞でも雑誌でも,「なぜこんなコラムが」というのが1つくらいあるものだし。
 しかし,3月のコラムはちょっと驚かされた。去年の春から「宇野功芳の音盤棚・これがUNO!」というCDの発売が始まっていたらしい。知らなかった。コーホー先生がセレクトしたクラシック音楽のCDとセンセイ書き下ろしのエッセイをセットにしているようなのだ。コーホー福袋みたいなものか。誰が買うのか,と思うのだが,宇野センセイほどの人気音楽評論家となれば,買う人がそこそこ見込めるのだろう。
 そこまでなら分かるのだが,付録の特典CDになぜか漫談家の牧野周一の漫談をつけているらしい。牧野周一という人は,宇野功芳の父親である。それはちとやり過ぎではないだろうか? 牧野周一の漫談の1つに「音楽療法」というのがあってそれを収めているらしいんだけど,「クラシックCDの付録としてはぴったりといえよう」だって。コーホー先生ってずいぶん偉いんだなあ。やりたい放題だなあ。でも,クラヲタというかコーホーヲタでそれ聴きたい人どれだけいるんだか。コーホー先生は,往年の名指揮者の晩年,例えばクレンペラーのように,あらゆる約束事から解放され,好き放題に振る舞える境地に達しているということなのだろうか。
 
 
 
 あ,でも,一応フォローしておくと,牧野周一自体は有名な漫談家である。1975年に亡くなったので私自身は芸を見たことないのだけど,牧伸二の師匠だから名前は知っていた。ちなみに故・ポール牧の最初の師匠もこの人なので,芸名に「牧」が入っている。
 あと,牧野周一で有名なのは,東宝名人会でトリをとったときに,立川談志が「落語は芸術祭で評価されるけど,漫談は評価されないから,漫談は芸術ではない」と暴言を吐き,揉めたこと。当時の談志は

「俺に逆らう奴はみんな先に死ぬ」

と言っていて,実際牧野先生はその後(略) 談志,恐ろしい奴!!(白目)

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2008.03.21

読売日響名曲シリーズ(3月16日)

[][] 最近名曲シリーズばっかり行っているような気がする。この時期は花粉症で頭がぼんやりしていて現代音楽とか集中して聴けないので,こういうぬるい(笑)選曲はありがたい。このコンサートは曲のせいもあって満員御礼だったらしい。まだまだのだめ効果があるのか? この日の指揮は下野竜也。

 最初は,ベートーヴェン「コリオラン」序曲。ぼんやりしているうちに終わる(笑) 
 ベートーヴェン・ピアノ協奏曲第5番 。ピアノはボリス・ベレゾフスキー。長身なので下野竜也と並ぶと頭1つ分違う。ボリスが竜也の肩に腕を回すと,ちょっとしたヘッドロック状態。
 それはともかく,ボリスの演奏は華麗で流麗で見事なのだけど,「皇帝」としてはどうなのだろう? オケとの調和も見事だったが,それでも何か物足りない。音の重心が軽いような気がするんだが。席がオケの真横なので,どうしても正面で聴くよりもピアノの音が少し弱くなってしまうからかもしれない。しかし,アンコールで弾いたラフマニノフの変奏曲は素晴らしかったので,「皇帝」にはあまり向いていないのかもしれない。ロシア物はいいんじゃないかな。
 最後はベートーヴェンの交響曲第7番。最初の「コリオラン」は昔の巨匠的というか独特の古くささがあったが,ここでは下野の意外な(と言っては失礼だな)若さがいい方に炸裂した。第3楽章がサラサラッと進むのが物足りない人もいたかもしれないが。この日のオケは,弦が特に良かったと思う。
 この後下野竜也の挨拶があって,アンコールは「G線上のアリア」。いろんなおまけがついてきたお得感ありのコンサートだった。

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2008.03.15

聖トーマス教会合唱団&ゲヴァントハウス管弦楽団「マタイ受難曲」(3月5日)

[][][] 前にこの組み合わせで「マタイ」を聴いたのは5年前のことである。毎年「マタイ」はどこかで聴いているが,ここが一番好きである。合唱がボーイソプラノで,大人と違って変な感情移入がなく癖がない。大人が歌うと,どうしてもいろいろ味付け加えようとするから。ただし,時々挙動がおかしい子供もいる(笑 まあ小学校低学年くらいの子供もいるから仕方ないか)。指揮するのはゲオルク・クリストフ・ビラーという人だが,合唱団のカントールである。
 この日は,福音史家役のマルティン・ペッツォルトがやや感情移入しすぎて熱くなっていたが,歌手の出来が全体的に良かった。また,指揮も演奏も一見淡々とやっているのが良かった。「マタイ」であまりいじるの好きじゃないので。元々劇的な音楽なのだから,普通に演奏すればそれだけで感動的になると思う。で,この曲長いので(笑),あまりいろいろされると疲れるのだ。まだ「マタイ受難曲」を生で聴いたことがない方がいたら,ここのが一番お勧めである。来年もあるかどうかは分からないが,チェックして欲しい。

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2008.03.11

沢田研二という虚構

[] 今,私は,沢田研二大ブーム中である。盟友・もえたろう女史のカラオケリストを見たせいかもしれない。しかし,和田アキ子は来ないで,ジュリーだけが来た。最近はyoutubeでジュリーの映像を見まくり,iTuneでダウンロードしまくりの日々である。
 子供の時もジュリーは好きだったが,歌手としての彼よりもドリフと一緒にコントをやっているような彼の方が好きだった。歌手としてのジュリーは子供の私には濃すぎたのだ。しかし,今や私もあの頃の彼と同じくらいの年になってしまった。
 
 
 今になってやっと分かった。ジュリーの本当のカッコ良さを。
 今なら心の底から言える。ジュリーは本当に素敵だと。
  
 
 ジュリーのセクシーさは,「男らしさ全開」という方面では決してない。どちらかというと,ある年代の少年が漂わせる,男でもなく女でもない,大人でもなく子供でもない妖しさからくるものである。バタくさいようで,意外と和風だし。その昔「魔界転生」で天草四郎を演じていたが,まさしくそういう妖しさである。当時の歌声を聴くと少年っぽさを感じるし,歌っているときの仕草にしても,時々ものすごく子供っぽいことをする。そういう「何者でもない」,「いろいろなカテゴリの境界線上にいる」人って,今はいない。
 ジュリーのすごいところは,女性ファンも勿論多いけど男性ファンも意外と多いことだ。私より少し上の年代の複数の男性が「子供の時にジュリーに憧れていた」と言っている。ジュリーみたいな人間になりたかったと。大人になれば単なる男にしかなれないことに気が付き始めた男の子が,テレビの中の「何者でもない人物」を見たらちょっとしたショックだろう。
 

 そんな何者でもないジュリーは,あの時代の歌の中の「虚構」を表現するのにうってつけの人物だった。故・阿久悠の歌詞がものすごい。例えばサムライの冒頭。

片手にピストル
心に花束
唇に火の酒
背中に人生を

 カッコよすぎる。あまりにもカッコよすぎて,その辺の人が言うと,気障かバカにしかみえないくらいだ。この歌のフィクションは沢田研二の存在によって成り立つのだ。
 レコード大賞を獲った「勝手にしやがれ」の2番のサビも大好きだ。

夜と言うのに派手なレコードかけて
朝までふざけよう
ワンマンショーで

 こんなのジュリー以外の人が歌っても何の説得力もない。子供っぽい悪ふざけ,大人の男のやせ我慢を両立させることが出来たのはジュリーの力だ。youtubeの「勝手にしやがれ」の映像を貼っておく。カッコ良さに失神しないように。当時「アイドル」はたくさんいたが,スーパースターといえたのはジュリーだけだと思う。

 

 しかし,そんな彼も年をとってきて,顎の下のお肉がどうにもならなくなってきた(笑)せいで,虚構性がなくなってしまった。そんな京都の旦那みたいな現在の彼も実は好きである。何しろ,彼と志村けんの舞台を観に行ったくらいですから(笑) 



沢田研二 - ROYAL STRAIGHT FLUSH

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2008.03.01

読響定期(2月18日)

 今月2度目のホーネック。残念ながらもう読響には来ないらしい。そう言わずに,3年に1回くらい来てくれるといいのになあ。客が呼べないからか。こんないい指揮者なのになぜ会場が満員にならないというのが不思議でならない。
 ホーネックなんだけど,いわゆる「爆演」好きには物足りないかもしれない。ホーネックの良さは,弱音部の繊細さにあるからだ。あと強い音の後の余韻の残し方も独特で,聴いていて「おお,この部分はこういう風に聴こえるのか」と思うところも多々ある。好みは分かれると思うが,これから人気が出そう,というかもう人気は出ているか。

 さて,この日のプログラムの前半は,ショスタコーヴィッチのチェロ協奏曲第1番。ソリストはジャン・ワン。スケールが大きくかつどこか哀愁が漂う音色がこの曲によく合っていたと思います。アンコールは中国民謡。

 後半はR.シュトラウスの「英雄の生涯」。実演で接したのは,ヤンソンス&コンセルトヘボウ,アシュケナージ&N響の2回だが,どちらもつまらなかった。そりゃ,コンセルトヘボウは上手いんだけど,単に上手ければいいのかっていうとそうじゃない。あとN響は金管がグダグダで。
 しかしこの日の読響は本当に凄かった。最初のホルンのパートから「今日の演奏は凄いものになるなあ」という予感を抱かせるものだった。最初は時々アンサンブルが崩れそうになることもあったが,途中からは全くそういうことはなかった。木管,ホルンが良かった。特に素晴らしかったのはコンマスの小森谷さん。音色が美しく,かつ情熱的な演奏だった。こんな素晴らしい演奏をする人が3番目のコンマスってのもすごい。あ,大事なことを忘れていた。この日のティンパニは菅原さんだった。
 最後のパートが一番の聴きどころだったか。フライング拍手もなく,美しく音楽が終わった。本当に素晴らしい演奏会だった。

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2008.02.15

読売日響名曲シリーズ(2月10日)

[] 久しぶりの読響です。今回の名曲シリーズは,マーラー交響曲第2番「復活」です。指揮はマンフレッド・ホーネック。ホーネックは今まで聴いたことがなかったのですが,評判が良いので行ってみることにしました。来年来ないんだよね……。「復活」というとドレスデンでも聴きましたが,それよりは歌手と合唱が落ちるのはどうしようもないと腹を括って,サントリーホールへ。


 感想。ホーネックは素晴らしい! 合唱は学生だからしょうがないのと,歌手もまああのくらいなのはどうしようもないとして,ホーネックの指揮がすごい。大体この曲は,第1楽章で盛り上がって,第2楽章,第3楽章辺りでだれるんですが,逆に聞き応えがありました。超弱音にも独特の余韻を乗せる,非常に細かい音づくりに驚愕し,感動しました。また,それについていく読響も素晴らしかった。普通のオケだと完全に落ちてると思う。指揮振りもかっこいいし,これは人気も出るかな。18日も期待出来そうです。
 来年来ないのが本当に残念です。こういう指揮者が2年に1度くらい来ると読響はもっとすごくなるんですが。

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2007.12.28

下野竜也指揮読売日響ベートーヴェン交響曲第9番「合唱付」

[][] 今年の第九は下野に決定。これが今年最後のコンサートです。12月20日に行って参りました。今年の合唱は新国立劇場合唱団ということもあって非常に楽しみにしていました。


 下野の指揮はスピーディなのに音にふくらみがあって良かったですね。ただ,サントリーは改装後に2階のデルタ地域の音響が悪くなったような気がするんですが。音が遠くなったというか。今後は舞台から遠くても正面の方がいいかもしれないですな。あと,客層が定期と違うせいか落ち着きがない人が多かったなあ。なぜ小銭とか落とすか。
 しかし,第3楽章までは結構良かったですね。オケが一体となっているので,どこのパートがいいとかそういう感想を全く持たなかったくらい良かった。大概第3楽章くらいで飽きるんですが(笑)そういうダレも全くなかった。第4楽章はもう少しタメがあっても良かったかな。
 唯一の問題はあのバリトンはちょっと苦手……。そもそもあれはバリトンなのか?(笑) 合唱団はやっぱりプロなだけあって素晴らしかったです。年の最後にいい演奏会で満足でございました。

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2007.12.08

ファビオ・ルイジ指揮ドレスデン国立歌劇場「サロメ」(11月24日)

[][][] 個人的には今年最後のオペラがこれ。上演時間が短いので,プレトークがついていた。主にムスバッハの演出についての解説だが,どういう意味でこういう演出にしたかということが詳しく説明されていた。10月の「モーゼとアロン」もムスバッハの演出だったが,現代的な意味を持たせるとか,視覚的にあまり親切でないとかそういう特徴がある。苦手な人は苦手かも。
 で,今回の見所だが,あの「7つのヴェールの踊り」は完全に意味不明。踊ってるのはヘロディアスなどで,サロメは殆ど舞台に出てこない。その後で「見事な踊りだ!」と言われてもねえ(もともとあの部分は結構かったるいが)。
 ただ,サロメの造形はいいと思った。まだ16歳の少女が義父に性的な目で見られることや母親が性的なところで問題があることを激しく嫌悪しながらも,自分も性的な要素で人の心をもてあそんでいる。そんな中,自分を全く性的に見ない男,世の中から超越している男に対して憧れの心を持つようになる。その男に拒絶された少女は,男の首とともに世の中から離れていこうとする。そんな話になっていた。サロメを演じるカミッラ・ニールンドは,エロい感じのサロメではなく,思春期独特のエキセントリックさを感じさせるサロメだった。世の中に対する嫌悪や大人になることへの恐怖や超越したものへの憧れといった複雑な感情を持っているサロメだった。ヨカナーンは「預言者にしてはややメタボではないか」とも思ったが,歌は良かった。あとヘロディアスのガブリエレ・シュナウトは大人の女の狡猾さや妖しさが出ていて,サロメといい対比になっていた。
 そして,やはりドレスデンの演奏は素晴らしい。ルイジの指揮も。そういえば,ルイジもメルクルも何年か前までは普通にN響に来てたのになあ……。押さえとけば良かったのになあ。

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2007.12.05

ファビオ・ルイジ指揮ドレスデン国立歌劇場「ばらの騎士」(11月18日)

[][][] 今年の秋はなぜか方々で「ばらの騎士」が上演されてました。いろいろキャストなど見比べた挙句,結局これを観に行く事に決定。直前に指揮者がルイジに代わったり,更には,元帥夫人役に予定されていたアンゲラ・デノケが急病で来られなくなったりとハプニング続きでしたが,今年の秋のオペラで私が一番気に入ったのはこれです。初めて「ばらの騎士」を生で観たのだけど,この年齢になったから身にしみる内容ですね。会場を出る時に後ろにいた若いカップル(大学生くらいか)が「うーん」みたいなこと言ってたけど,20代前半には元帥夫人の気持ちはまだ分からんのだよ。元帥夫人と同い年くらいの年齢(といっても,当時の30代の方が今よりもずっと大人なんだけど)になれば,きっと分かってくるのだよ。

 代役のアンネ・シュヴァンネヴィルムスは気品が溢れていて非常に良かったです。一番素晴らしかったのは,オクタヴィアン役のアンケ・ヴォンドゥング。マーラーの「復活」で聴いた時にも素晴らしい歌手だと思ったけど,この日はそれ以上に良かった。特に第3幕で女装しているところが一番良かったな。今後要注目。森麻季はあんなものかと。声が独特。アンケ・ヴォンドゥングと並ぶと(余計)演技が単調に見えるのがちょっと。
 演出ですが,現代風で犬まで出てくるのはビックリ(どうも「出演犬」を募集していたらしい)。SM の女王とかボクサーには一体何の意味が? 現代風なので余計に性的に生々しい感じもしました。確かに「有閑マダムと若いツバメの愛と別れ」の話なんだけどさ。

 そして,ルイジの指揮も非常に良かったです。「復活」の時はちょっと「?」でしたが,R.シュトラウスが向いてるのかな。華やかで美しいけどどこか刹那的で物悲しい音楽にとても合ってる。2009年にドレスデンシュターツカペレはルイジとともに来日する予定なので,その時も勿論駆けつけようと思っております。

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2007.11.29

準メルクル指揮ドレスデン国立歌劇場「タンホイザー」(11月17日)

[][][] ドレスデンのオペラ第1弾。直前になって,「タンホイザー」の指揮者が「音楽的理由によって」当初予定されていたファビオ・ルイジから変更されたので話題になりました。私は準メルクルの回に行きました。ペーター・コンビチュニーの演出ということで,ついていけるかどうか不安になる。
 案の上,あまりついて行けなかった。悪趣味なのは相変わらず。最初の,人形のタンホイザーをいたぶったり,大きな人形のタンホイザーが明らかにキリストを狙ったものだったりするところで,ちょっとひく。第1幕から巡礼が現れてタンホイザーをあがめたりとか,キリストと重ねてるんだけど,後の幕を考えるとかなりの悪趣味。第1幕の舞台の上は赤と緑。ノルウェイの森?(笑) 生命の象徴なのかな。人間が黒で,エリーザベトが白の衣装なのも意味があるな。第1幕最後とか第2幕の歌合戦の前の子供っぽい演技も,人間社会に対するイヤミを感じた。また,第2幕の最後で,フラッシュのように人物を止めるというベタとかいろいろひっかかるところがある。
 そもそもタンホイザーの造形が子供っぽい。確かに,あれもしたいけどこれもしたい,いい気になって反逆してみたらみんなに反発されて,何とかしようと思ったら何ともならないから逃げよう,というのは「子供」なのだろう。ワーグナーのオペラに出てくるテノールはたいてい子供っぽい。しかし,ここまで子供っぽいと「バカ」に見えかねない。
 最後もなんだか意味が分からないまま終ってしまった。ヴェーヌスはタンホイザーとエリーザベトを抱きながら,生きていたのか死んでいたのか。


 とタラタラ書いてみたが,音楽自体は非常に良かった。準メルクルはややテンポが速いところがあるが,メリハリのある指揮をしていた。いい指揮者だと思った。N響の時はフツーだったが(笑) またオケの音が素晴らしいこと! これ聴いただけで良かったなと思った。タンホイザー役のロバート・ギャンビルは,前のバイエルンの時も出ていたが,少し声がこもっている感じがする。が,それが憂いがあるように聴こえたりする。前よりも格段に良いと思った。

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2007.11.22

ファビオ・ルイジ指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団&合唱団特別コンサート(11月12日)

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 [][]今月はドレスデン強化月間。その最初はサントリーホールで行なわれた特別コンサート。曲はマーラーの「復活」。↑の写真だが,左は指揮者のファビオ・ルイジで,右はグスタフ・マーラーである。どうでもいい話だが,類似している(笑) 顔が似ているからこの曲を選んだというわけではないだろうが。
 ドレスデン国立歌劇場は今年からファビオ・ルイジが首席指揮者となった。ずいぶん若い人を指名したものだ。長期的にルイジでやっていくということなのかな。
 さて,肝心のコンサートの方だが,最初はルイジの派手な指揮ばかり目立ち,演奏はちょっと「?」だった。弦はいつもながらとても澄んでいて美しく,管もうまいが,いまいち乗り切れない感じがした。
 しかし,ソリストが入ってからぐっとよくなった。この日のソリストは,カミッラ・ニールンドとアンケ・ヴォンドゥング,って結構すごいな。もともと歌が入ってからの方が好きなせいもあるが,ルイジの指揮もこの辺りで乗ってきたように見えた。やっぱりオペラ指揮者なので歌があった方がいいのでしょうか。
 最終楽章は,金管も素晴らしかったが,何と言っても合唱団が凄かった!! 劇場付きの合唱団なのでうまいのは当然だと思われるかもしれないが,残念ながら日本ではこのような素晴らしい合唱はなかなか聴くことができない。特に弱音部が素晴らしい。小さな声ではあるが,会場のスミまで確実に届く声で,しかも感情を込めて歌っている。また男声合唱が素晴らしい。中央のバリトンのおじさんなんて,すごく立派な感じで歌っているのだ。

  よみがえる,そう,よみがえるだろう,おまえは
  わが心よ,一瞬のうちに!
  おまえが刻みつけていた鼓動が,
  神へとおまえを運んでゆくだろう!

 合唱と演奏が相乗効果を起こし,最後にはとても感動的な曲となった。まあ,そういう曲なんですけどね。オケと合唱の素晴らしさを堪能出来た。ルイジ自体は,この日はちょっと分からなかったが(なんですが,「ばらの騎士」の指揮は良かったです。この感想はまた改めて)。

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2007.11.14

ティーレマン指揮ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団公演(11月4日)

[][] 11月4日の公演の感想です。この日のプログラムは,ブルックナーの5番のみ。このプログラムはこの日1日しかありませんでした。前日に比べて曲がポピュラーでないせいか,満員とはならず。有名な最前列オヤジもいなかったよ!いるのはヲタクだけです。


 しかし,この日は大当たりでした。前日とは全然違って,ミュンヘンフィルの力が発揮されていた名演奏だったと思います。ブルックナーを日本のオケで演奏すると,「第2楽章あたりで弛れる」,「第4楽章の大詰めで力尽きる」というのが多いのですが,全くそんなことはありません。金管がやっぱりすごいんですね。
 で,今までCDでもコンサートでも何度かこの曲を聴いてきたのですが,この曲の素晴らしさや凄さや美しさが初めて「分かった」という感覚を持ちました。いくつかの主要旋律が重ねられ繰り返され,最後に統合される。その1つ1つの意味,なぜこの曲が「宇宙的」と言われるのかという意味が実感されました。で,ティーレマンも,多分この日のプログラムの方が気合が入っていたのではないかと(笑) 拍手が早かったのが残念でしたが,この日は名演でした。感動した!(笑)

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2007.11.10

ティーレマン指揮ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団公演(11月3日)

[][] 2日連続でミュンヘンフィルを聴きに行きました。ミュンヘンフィルといえば,クナとかケンペとかの優れた録音がたくさんありますが,来日公演は多くないことでも有名です。指揮者はティーレマン。イープラスの特集ページにある,バチカンにおける「タンホイザー」序曲の動画を観てみたら,昔の巨匠みたいな感じだし,次にいつ見られるか分からないので,プレオーダーでチケットを確保しました。

 この日のプログラムは,以下のとおり。

R.シュトラウス:交響詩『ドン・ファン』op.20
R.シュトラウス:交響詩『死と変容』op.24
ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 op.68

 大阪でも倉敷でもこのプログラムです。この日は2階の正面に小泉純一郎氏がいたよ! 他のお客さんに声をかけられたりサインしたり写真撮られてたりしてました。人気者だな。ブラ1のせいか,会場は満員。
 さて,前半のリヒャルトなんですが,まずこのオケの金管(特にホルン)がうまいのが聴きどころか。日本のオケだとどうしても金管が弱いので,「死と変容」とか難しいんですよね。木管もうまい。ただ,なぜか弦が弱い。ティーレマンについていけない感じ。ティーレマンの指揮ですが,武骨な感じで,速度とか音量とかいろいろ細かいことをやってるのですが,どうもいまいち。リヒャルトはもっとツヤツヤした方が良い(でも,「死と変容」ってバレンボイム&シカゴ響でも聴いたけど,何も覚えていない。難しい曲だな)。後半のブラ1も,変に大見得切ったりして,まあ面白いんだけど,でももうちょっと出来るはずなのに……というところ。ブラ1目当てに来たぬるいファンに喝を入れるためなのかどうかは知らないけど。
 しかし,この日の一番の聴きどころは,アンコールにありました。「マイスタージンガー」序曲でした!! これは,本当に本当に素晴らしかった。なかなか聴けないと言えよう。ワーグナー好きの純ちゃんも感動した,はずです。

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2007.10.31

バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場「モーゼとアロン」(10月20日)

[][][] バレンボイム&ベルリン国立歌劇場の千秋楽は,シェーンベルクの「モーゼとアロン」。未完でかつテーマや音楽が難しいので殆ど上映されないことで有名です。ですが,これが一番面白かったです。最初から「構えても分からないから気楽に観よう」と思ったのが良かったのか,それとも演出の現代性のせいか。

 まず,老若男女全員,「マトリックス」風の服装(カツラ・サングラス・黒スーツ)をしているというのが目を引きます。遠くから観ると誰が誰だか分からない。主役のモーゼとアロンでさえ,「こういう風に歌ってるから」以外に群衆と見分けはつかない。匿名の社会という暗喩か。テレビだかモニタを大量に舞台に置くということもしてたから,エジプトの民が「メディアの中で誰か神のように自分を導いてくれることを欲している人達」のように見える。そして,アロンが「ことばを持つ者(だが真理は持ってないかもしれないし求めようとしていないかもしれない者)」,モーゼが「真理を求めているが,民に伝えることばは持たない者」で,当時も現代も,前者の方が圧倒的に強い。最後にモーゼは上着を脱いで現れるのだが,「匿名性を脱した」段階ではあるが,既に民衆に言葉は伝わらず,言葉を勝手に伝えたアロンに対しても「その石版だって偶像だろ」と言われてしまう。音楽も,独白のようなモーゼのパートと「歌」となっているアロンのパートの対比が面白かった。
 
 さて,このような演出なので,ブー出てましたね。ブーはいいんだけど,もうちょっと堂々と自信持ってやれよとちと思った。カコワルイ。千秋楽なので,カーテンコールの後は関係者一同舞台上で鏡割り(笑) バレンボイム,本当にお疲れさま。ありがとう!

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2007.10.23

バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場「トリスタンとイゾルデ」(10月8日)

[][][] 全公演が終了し,ネタバレの心配がなくなったので,ここで感想を上げときます。この「トリスタンとイゾルデ」は全部で4公演あったのですが,その初日である神奈川県民ホールでの公演を観に行きました。


 感想ですが……,本当はあまり悪いことは書きたくないのです。贅沢を望んだらキリがないし,今は聴くことが出来ない歌手と比べるのは限りなく不毛だと思うので。歌舞伎に喩えると,「歌右衛門の政岡が最高で,それ以外はない」と言ったところで,もうその舞台に触れることは出来ないわけだから,どうしようもないし,「だからなんだって言うんだよ」としか言いようがない。
 なんですが……,あのトリスタンはないだろう。2001年にバイエルン・コンヴィチュニー演出のを観に行った時,演出の意味が分からなかったせいか,つまんねえ話だなという感想しか抱けなかったので(ひどいな),相性が悪いのかもしれないですが,それにしてもあのトリスタンはなあ。現時点であれ以上を望むのは無理なんだろうか。初日だったせいなのか,声が出てなかった。オケに対して明らかに負けている。声だけで精いっぱいだから歌にニュアンスをつけるなんて無理で。オケの音量が大きすぎるのかとも思ったのですが,イゾルデ役のマイヤーは全くそんなことはなかったので,力量なのでしょう。マイヤーはメゾソプラノというせいもあって,少し大人なイゾルデ。第1幕におけるイゾルデの複雑な感情が細やかに表現されてました。最後の「愛の死」は本当に見事です。
 そして,マルケ王のルネ・パペも良かった。ただ,この人少し見た目が若いせいもあって,「マルケ王でいいのではないか>イゾルデ」と思ったのは私だけだろうか。渋くてカッコいいんだよな。
 あとクプファーの演出ですが,意外と正統派だけど意味深。あの羽が生えた人物の像だけど,うずくまる堕天使にも見えるし,キメラのような怪物にも見える。きっといろんな意味に見えるように作られているのだろうが,トリスタンとイゾルデの姿にもそれを見る私達の姿にもなるのだろう。

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2007.10.06

バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場「ドン・ジョバンニ」(9月30日)

[][][] 今年の秋はベルリンとドレスデンが相次いで来日し,ドイツオペラファンは散財気味ではないかと思う今日この頃ですが,皆様いかがお過ごしでしょうか? それはともかく,バレンボイム指揮・ベルリン国立歌劇場の「ドン・ジョバンニ」(東京文化会館)を観てきました。このコンビによる2002年の「指輪」は残念ながら観に行けず非常に残念な思いをしました。
 まず,今回の舞台ですが,気になったのが,演出がトーマス・ラングホフだったこと。この人の演出によるバイエルン国立歌劇場の「マイスタージンガー」2005年に観にいきましたが,現代的でシニカルな演出だったのが印象に残っています。シニカルというか後味が悪いというか。そして,今回も実にそんな感じでした。
 確かにドン・ジョバンニは,本当にあらゆる女を誘惑し続け,そのために従者のレポレロをひどい目に遭わせ続け,人殺しをしても「別にばれなきゃいい」くらいにしか思わない悪人ではあります。でも,「本当の極悪人」かというとそういう風にも見えない。歌手の性質もあるのかもしれないけど,モーツァルトの時代と違って現代では,この手の悪人が「極悪人」とまで見えなくなってしまっているのかもしれない。単なる「反省のない悪人」。まあ,1000人切りくらいで喜んでいる人間だから。
 そして,誘惑される女やレポレロが善人かというとそういう風にも見えない。女ってずるいよね。誘惑されそうになっても恋人や自分にいろいろ言い訳して,涙まで流して,自分は純潔なんだと信じ込む,そういう偽善者。レポレロだって,ひどい目に遭いながらも多分うまい汁は吸ってきたんだろう。そういう人達が,ドン・ジョバンニが地獄に堕ちた後に「悪はいつかは滅びるのだ」と歌うわけですよ。世の中ってそういうもんなんだけど。「ドン・ジョバンニ」を生で観るのは初めてなので原作でもそうなのか,演出のせいで余計そう見えるのかは判別出来ないのですが。


 さて,歌手の方ですが,レポレロのハンノ・ミューラー・ブラッハマンが良かったです。しょうもない小悪党のようで。あと,エルヴィーラのアンネッテ・ダッシュが意外と落ち着いた感じで舞台を引き締めていたように思います。ドンナ・アンナのアンナ・サムイルの声が少しきつかったのでコントラストがついて良かったかなと。
 バレンボイムの指揮ですが,序曲は何とも言えない不安定さがあったのですが(わざとなのかは分からず),舞台が進むにつれ生き生きとした音になっていきました。さすが。

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2007.08.25

読売日響サマーフェスティバル「三大交響曲」(8月19日)

[][] 昨年に続いて,今年も三大交響曲を聴きに行きました。サントリーはまだ工事中なので,わざわざみなとみらいまで(チケット買った後で,もっと家から近いオペラシティ公演の案内が来たので,ちょっと悲しかった。まあいいやセット券だし)。みなとみらい線に乗ってたら,よさこいのコスプレの子供がたくさんいたよ。よさこいの人たちってなんで必要以上にバカに見えるかね
 今年の指揮者は下野竜也。1月のコンサートが非常に良かったので期待が持てる。この三大交響曲って「夏休みだしせっかくだからポピュラーな曲でも」という企画らしく,実際の客層も普段のコンサートよりも子供やお年寄りが多かった。しかし,この3つの曲って続けて聴くと結構しんどい。演奏するのも大変そう。


 そして,実際の演奏なんだが。3階の奥の方の一番安い席だったせいか,ちょっと音が遠いせいもあるかもしれないが,「古いレコードのような音」がした。と書くと悪く取られるかもしれないが,いい意味で古めかしいスタイルの音楽だった。昔の名匠みたいなんですよ。「未完成」,「運命」も素晴らしいのだけど,やはり下野の十八番の「新世界から」がベストといえよう。1つ1つの旋律や音を大切に大切に組み立てていく繊細さと,大らかさが共存した素晴らしい演奏だった。いい演奏だとあまり書くことがないというか文章にすると陳腐になるのでここら辺で。下野竜也は本当に素晴らしいですよ。

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2007.07.20

パーヴォ・ヤルヴィ指揮・ドイツカンマーフィルハーモニー管弦楽団公演(7月16日)

[][] 最近,非常に評価の高いドイツカンマーフィルハーモニー管弦楽団を聴きに行った。去年の公演は残念ながら行けなくてとても後悔した。今回は初日のオペラシティのコンサートに行くことにしたというか,この時期は他の日に行けそうにない。

 16日のプログラムは以下のとおり。

「プロメテウスの創造物」序曲
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
交響曲第3番「英雄」

 ドイツカンマーフィルは編成が小さい。しかしこの小さい編成によって,それぞれの音が引き立ち,それぞれの旋律のやり取りがよく分かる。弦の音は硬質で引き締まっていると思った。しかし,オペラシティの大ホールでは少し辛いかもしれない。普通の編成のオケでもそうだけど,特にあの2階正面は音が遠い。オペラシティは1階の前の方か2階のサイド舞台近くが良い。
 「プロメテウス」から適度な緊張感があり,いいコンサートの予感がする。が,なんとなく客が変。ずーっとビニールをがさがさしてるオバサンとか挙動不審なオジサンとかいる。これはソリスト目当てに来た客なのかもしれない。
 次のヴァイオリンコンチェルトのソリストは諏訪内晶子。えーと,技術的には最高です。難曲をさらさらと弾いていきます。めちゃめちゃいい楽器使ってます。天下のストラディヴァリウスだもの。素晴らしい音色がホールに響き渡ります。適度に情感もあります。しかも,とっても美人です。
 いいんじゃないでしょうか。今後私は彼女目当てにコンサートのチケットを取ることはないだろうけど,あまり癖がないからそこそこの満足感はあるし,あまり外れはなさそうだし,「諏訪内聴いた」って自慢もできるし。歌舞伎に喩えると「玉三郎よりも福助が好き」という人間の趣味なので,まあそういうことで。
 最後は「英雄」。前の方で弦の音について言及したが,実はこのオケは管がめちゃめちゃうまい。あと,ヤルヴィの指揮について何も書いてなかったが,繰り返しでも少しずつ変化をつけるなど,さまざまな工夫はしていた。楽章の間もあまり間をあけず,連続性を持たせることで,独特の緊迫感を生んでいたが,少し疲れた(笑) でも,ヤルヴィは本当にすごい指揮者ですよ。N響はちゃんと押さえとけば良かったのにね。

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2007.05.31

世界三大指揮者って誰よ?

[]  この間産経新聞に,指揮者のフルトヴェングラーに関する記事が載っていた。彼の戦中戦後の政治的な姿勢を,同時代の指揮者であるトスカニーニと対比させて論じた記事で,こういってはなんだが,「既にいろんなところで議論されている」ネタであった。
 それはともかく,フルトヴェングラーにこんな枕詞がついていた。

世界三大指揮者の一人であるフルトヴェングラーは……
     世界三大指揮者??    いや,別にフルトヴェングラーの偉大さを疑ったりケチをつけようとしているわけではない。しかし,世界三大指揮者って聞いたことがないんだが。三大テノールや三大交響曲は聞いたことがあるが,指揮者に「三大」ってあるのか? ウィキペディアの世界三大一覧にも載ってないのだが。大体あと2人は誰なんだ? トスカニーニか? カラヤンか? ワルターか? クナか? 大体において,偉大な指揮者を3人に絞れるのか?

 
 みたいな文章をmixiに書いたら,とある人からのタレコミがあった。どうやら,フルトヴェングラー,トスカニーニ,ワルターの3名が「三大巨匠」と日本で呼ばれているようだ。ブルーノ・ワルターの項にも書かれている。これが答えのようだ。
 それにしてもずいぶんと時代が偏ってないか。20世紀のある時代限定じゃないか。いや,彼らの偉大さにケチを付ける気はないが,「録音の力」と「政治態度」が強調された選択に思える。「三大テノール」みたいなものだと思えば良いのだろうか。ライバル同士ではあるが,うまい具合にキャラがかぶりにくい,同時代の3人の名歌手を揃えて,世界ツアーをさせたわけですよ。うまいことを考えたもんであるよ。それに比べると「三大巨匠」はいまいち定着していない。
 
 それにしても,どこの人達も「三大○○」というのが大好きであるなあ。「ナンバーワンを決める」だと,圧倒的な候補がいないと無理だし,たとえそうであっても揉めるものだが,実力があってお互いの持ち味がかぶらない候補を3つ選べば,支持する人も増える。例えば,昔の「御三家」もそうだな。全くかぶらない。話が相当古いが。

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2007.05.22

チョン・ミョンフン指揮フランス放送フィルハーモニー管弦楽団(5月8日)

[][] 行く予定のなかったコンサートなんですが,ご招待されました。萌え太郎しゃん,ありがとう! しかもS席。自腹で行くかというとちょっと微妙なコンサートです。値段設定が高すぎ。チョン・ミョンフンだからといってぼりすぎではないかと。そして,曲目は以下のとおりですが,あらかじめ調べずに行って,「なんだっけ,これ?」とか言ってるテイタラク。プログラムもらえないんだもの。2曲目がラヴェルなのとハルサイは分かったが。「ダフニスとクロエ」ってちゃんと聴いたことがないので……。

フォーレ:「ペレアスとメリザンド」 op.80
ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

 フォーレは部分的には「題名のない音楽会」のお蔭で有名な曲です。前半のラヴェルまではフランスのオケらしい,情緒とデリカシーに満ちた演奏です。「チョン・ミョンフン的」な感じよりも,オケが持っている繊細さを生かした演奏。一方,後半のハルサイは「ああ,チョン・ミョンフンだ」という演奏。結構熱くなりました。アンコールはハルサイの一部と「カルメン」から。最後の最後までオケも指揮者も楽しそうで良かった良かった。
 いまいちやる気のない感想文ですが,思ったよりはずっとよい演奏会でした。しかし,あの値段設定はないなあ。S席22000円ですよ。だからかしらないけど明らかにご招待多いし,当日に出る割安チケットを狙う学生さんの行列も長かったし。多分全員入れたと思う。別に悪いオケではない(ただし,ドイツものには向いてなさそう)ので,もう少し動員を増やすのなら値段を考えた方がいいかと思いますた。ちょっともったいない。

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2007.04.21

読響定期(4月17日)

[][][] 読売日響の常任指揮者にミスターSことスタニスラフ・スクロヴァチェフスキが就任した。高齢だからかもしれないが,一応2年の契約だそうである。4月16日・17日は,就任披露特別演奏会となった。曲は,ベートーヴェンの大フーガとブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」である。どちらも重量級。
 サントリーホールが8月まで改修工事なので,会場は2日とも東京芸術劇場である。実はこのホールが私はあまり好きではない。単純にサントリーの方が仕事帰りに行きやすいというのもあるのだが(池袋に行くには回り道しないといけない),まず椅子がしょぼい。貧弱すぎやしないか。また,天井がやたらと高いせいか,音の響き方が変。サントリーの音に慣れてしまっているせいもあるのだが,上の方にフワーンと妙な感じで音が吸い込まれていく。特に3階の一番上の方はひどい音だと思うので,1階の前の方の席にしてみた。客席には大江健三郎親子(ザールブリュッケンの時も来ていた。どうやらミスターSのファンらしい)やコーホー氏の姿も。あの服の色のセンスはいかがなものかといえよう。

 まず「大フーガ」。滅多に演奏されないので,私も生で聴くのは初めて。席が前の方だったせいもあって,奏者がお互いにアイコンタクトを取りながらアンサンブルを作っていくのがよく見えた。読響のここ1番での集中力はすごいと思う。ある意味「ロマンティック」よりも聴きものだったと思う。ミスターS独特の構築力が発揮されていたし,それがつよく感じられたから。
 
 後半の「ロマンティック」。ブルックナーについてあまりエラソウに語れるほどすごく聴き込んでいるわけでもないし,「これがベストといえよう」といったなんか強いコダワリがあるわけでもない。正直ブルックナーはよく分からない。3番なんて聴いているうちに,どんどん精神的に辛くなってくるというか気持ち悪くなってくる。
 コンサートで最初に聴いたのは,朝比奈&N響(これが朝比奈隆がN響を振った最後になってしまった)。申し訳ないが,正直言って良いも悪いも分からなかった。2度目はアバド&ルツェルン管。アバドのせいかもしれないけど,突き抜けた明るさと本当に「ロマンティック」な夢のような演奏で,素晴らしかった。「こんなのブルックナーじゃねえ」とコダワリのある人は言うかもしれないけど。
 そして,今回だが,やっぱりミスターSはミスターSで,どちらでもなかった。時々浮き上がってくる隠しメロディやちょっとした仕掛け。時々「おっと」と思うところもなきにしもあらずなんだが,クールなのに意外にも「ロマンティック」な演奏だった。アバドのような「青年の夢」のような感じじゃなくて,ちょっと中年に入った感じのロマンティック。特にいいのは,第2楽章と第3楽章で全く飽きさせないところだ。ブルックナーは時々途中がかったるい。しかし,いろいろと変化をつけて,曲の表情を豊かにしていた(こういうことはミスターSがよくやっているが)。
 しかし,意外とこの「ロマンティック」が不評なようでちょっと驚いている。ミスターS的アプローチに馴染めない人も結構多いのかもしれない。確かに私も最初はよく分からなかったが。そして,今回の読響も完全にミスターSについていけたかと言うとそうとはいえない。もっと行ける力はあるんじゃないかな。この2年間でどうなっていくのか,非常に楽しみである。

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2007.04.04

シュナイト・バッハ管弦楽団「マタイ受難曲」

[][] ハンス・マルティン・シュナイトが指揮する「マタイ受難曲」を聴きに,オペラシティへ行った。演奏はシュナイト・バッハ管弦楽団,実質は殆ど東フィル(ちなみにコンマスは荒井英治さん)である。が,オーボエは新日本の古部さんだった。
 合唱はシュナイト・バッハ合唱団というアマチュアの合唱団で,「シュナイト先生の指揮の下で歌いたい!」人達が集まって結成されたものらしい。そのせいか,客層に「発表会系」が多かった。普段はこういうところにあまり来ないんだけど,家族やお友達の○○さんが出てるんでー,って人達。客がステージに向かって手を振ってるし。そして,合唱団の人数がものすごく多い。こんなに「マタイ受難曲」でたくさんの人が歌ってるのは初めて見た。そんなに広いわけじゃないオペラシティでこの人数……まあ,そのくらいの力の人達である。実は東京放送児童合唱団が第1部には入ってたんだけど,そちらの方が人数が少ない割にちゃんと声が聞こえてたし(笑)役を振られている人は,そこそこのキャリアなんだろうけど。しかし,みんな一生懸命歌ってるんだ。
 シュナイトはチェンバロの弾き振り。そのせいか普通の演奏よりもゆっくりとしたペースで進む。始まったのは16時なのに,終わったのは20時ごろだったし。
 ソリストは,ソプラノ:平松英子、メゾ・ソプラノ:寺谷千枝子、バリトン:福島明也,エヴァンゲリスト:畑儀文、イエス:戸山俊樹とプロをそろえているが,正直言って,畑さんと戸山さん以外はちょっと格が落ちていた。この2人が素晴らしかったせいもあるんだけど。畑さんのエヴァンゲリストは絶品だった。演奏は小さい編成だったが割と良かったのではないか。シュナイトの指揮に熱心に応えてたし。
 それにしてもシュナイト先生は「いい」。みているだけで嬉しくなる。一緒に歌いたい人達の気持ちもよく分かる。「好々爺」という単語はこの人のためにあるな。演奏中はかなり厳しい表情をしているが,終わってからの笑顔がとてもいいのだ。神奈川フィルの演奏会を横浜まで聴きに行くのがちょっと辛いんだけど。

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読売日響定期演奏会(3月29日)

[][] 常任指揮者アルブレヒトの最後の定期である。本当は31日もあるのだけど,その日は初台にシュナイトの「マタイ受難曲」を聴きに行くことにしたので,29日のサントリーへ。
 曲はマーラーの9番。ものすごく好みが分かれそうな曲である。この曲自体の好き嫌いも分かれそうだし,どう演奏されるかという好みも分かれそうだ。私自身は,全部聴くとどっと疲れるからあまり聴かない(笑) 演奏会で印象に残ったのは,インバル&ウィーン響。これは名演だったと思うが,終わった後にかなり疲れた。じめっとした思い入れたっぷりのマーラーで,9番独特の陰鬱さやグロテスクな美しさを感じた。しかし,アルブレヒトはそういう芸風の人じゃないので,どうなるかと少し不安に思いながら聴きに行った。
 
 
 やっぱりどこか「乾いた」マーラーだった。じめじめのマーラーが苦手な人にはいいかもしれない。
 第1楽章の不協和音が,本当にそう演奏しているのかアンサンブルの乱れなのかは分からないが(おそらくどちらも),この日のオケは良くも悪くも気合いは入っていた。ホルンも時々乱れることがあったがソロはかなり良かったし,ソロヴィオラも少し荒いところもあったが,最後の方は調子を上げていたし。特に第1ヴァイオリンは大丈夫なのか?というくらいノリノリだった。うねるようなパワーがある。「弦が荒い」という評もあったけど,荒いというほど荒くないような。読響ってあんな感じじゃないか? 
 でも基本的にドライなのに時々すごくロマンティックであったりと「不思議な」マーラーだった。まあ,この曲自体がすごく不思議なんだけど。そして,こんな曲で最後を飾ってるのに,妙にさっぱりしているアルブレヒトという指揮者も不思議。でも,この人のおかげで読響はここまで来たんだな。本当にありがとう。

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2007.03.22

読売日響名曲シリーズ(3月19日)

[][] 常任指揮者としてのアルブレヒトによる最後の名曲シリーズ(定期演奏会は来週ある)。97年に就任した時と同じプログラムである,ベートーヴェンの5番とブラームスの1番を持ってきた。この時は私は行ってない(読響に通いだしたのが最近なので。ああ,なんて勿体ないことをしてきたのか)が,これらの「ベタ」すぎるほどの曲をどう指揮するのか,最後にどんな名演が聴けるのかを楽しみにしてサントリーへ。


 前半のベト5だが,アルブレヒトらしくテンポが速い。あまりに速すぎて時々アンサンブルが乱れる場面があった。これは去年の夏の飯守先生の方が良かったかな。しかし,最後の第4楽章でうまく着地させるのはさすが。楽員がかなりの熱演で,あまりにも熱演過ぎて時々斜め上に行ってしまうところがあったが(笑)
 そして,後半のブラ1。これは本当に良かった! 本当にすごい。楽員のソロパートが神業のように決まっていく。特にオーボエ。実は席が横過ぎて木管がほとんど見えなかったんだけど,蠣崎さんかな? コンマスのノーラン氏も素晴らしかった。テンポ設定はそんなに速くない。ただ,第3楽章をきびきびと緊迫感を持たせたまま進行させて第4楽章へと持っていくのが面白かった。アルブレヒトと楽員が心を通わせて音楽を創っていた。演奏者がアルブレヒトの細かな動きに注目し,アルブレヒトの意志を感じながら演奏していた。
 この9年間でこの信頼関係が構築されたのだ。ほんとうにありがとう! って来週のマーラーも聴きに行くんだけど。
 本当はこの感想をすぐに書こうかと思ったのだが,実は今日同じプログラムで大阪公演があった。ネタバレってわけじゃないけど,公演が終るまで感想を出すのをやめておいた。3日経って感動が少しは収まるかと思ったのだが,そうでもなく,言葉が整理されてなくて申し訳ないです。

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2007.03.13

もう一つの「おふくろさん」問題

 森進一の持ち歌であったところの「おふくろさん」で元の作詞者と森進一がもめているようだ。当初は森進一の最近のうさんくささや作詞家センセイの耳毛に気を取られていたが,「歌唱禁止」という事態になり,一つ気になっていることがある。一応,こんな記事を参照

おふくろさん歌唱禁止にJASRAC困惑
 歌手森進一(59)に作詞家川内康範氏(87)が、自作品の歌唱禁止を突きつけている問題で、音楽著作権を管理するJASRAC(日本音楽著作権協会)に、川内氏から正式な申し入れが届いていないことが5日、分かった。役員に対して歌唱禁止を訴える私信は2通届いているが、正式な申告ではなく協会内で議論できない状態になっている。また、仮に著作権の侵害をめぐる裁判になった場合も長期戦は避けられないという。
 「おふくろさん問題」はJASRACも戸惑わせている。川内氏は4日、「森が私のすべての作品を歌うことは禁止するとの申告を届けてある」と、マスコミに対して文書で告げた。同協会によると、確かに先月末から役員に対し、川内氏から歌唱禁止を訴える2通の手紙が届いた。しかし、それはあくまで私信であって、正式な申告とは認められなかった。
 川内氏も森も同協会のメンバーだ。「円満解決を望む立場が大前提」という同協会だが、著作権の信託を受けている川内氏から正式要請があれば、歌唱禁止の是非について議論しなければならない。著作権等管理事業法には「正当な理由がなければ、取り扱っている著作物等の利用の許諾を拒んではならない」(第3章第16条)とある。つまり、現在は森の歌唱を許諾しているが、川内氏から正式な申し入れがあれば、訴えが正当かどうかを、判断することになる。
 現段階では正式に手続きしたという川内氏の“勘違い”から、議論にもなっていない。しかも、前例のない事態に、協会内でもどう手順を踏むべきか、手探り状態にあるようだ。
 第3者による事態収拾の判断もしばらく棚上げになりそうだが、渦中の森は恩師の許しを得るまで川内作品を封印する覚悟を決めている。青森在住で、東京に滞在していた川内氏は、この日早朝に大阪へ向かった。数日間は現地に滞在する予定で、しばらく森と接する機会はない。名曲「おふくろさん」が、しばらく宙に浮いてしまう。

 著作権についてはよく分からないのだが,もし法的というか「森進一が”おふくろさん”を歌えない」ことに何らかの拘束力がある状況になった場合,例えば素人がカラオケでこの歌を歌うときはどうすればいいのか。確かダメらしいと聞いたような気がする。でも,今どき「おふくろさん」歌う人はあまりいないからカラオケ業界は困らないんだって。
 となると,モノマネタレントが森進一のまねで「おふくろさん」を歌うのもやっぱりダメになるのか? もうコロッケが森進一のまねをしながら倒れるのは見られないのか。森進一の「おふくろさん」自体は結構どうでもいいが(どうでもいいのか),コロッケの芸が一つ減ることは残念でならない。どうかコロッケのモノマネは認めてあげて欲しい,と川内センセイにお願いするばかりである。

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2007.03.03

15年間の空耳とムーンライダーズ

[] YMO復活に触発されたのとは全く関係なく,ムーンライダーズがマイブームになってます。80年代から抜け出せません。

 でもムーンライダーズってどれだけ有名なんだろうか? 鈴木慶一がやってるバンドなんですが,鈴木慶一自体が分からないかも。最近では北野武の「座頭市」の音楽を担当していたり,実はいろんなところで活躍している人です。故ナンシー関が好きだった事でも一部有名。高校の時に友達が貸してくれたムーンライダーズにはまっていたのですが,最近,iTune Storeで一部の曲が買えることを知って以来また集めはじめてます。古いのはもう基本的にないので,アマゾンのマーケットプレイスでも買っている有り様。
 
 
 基本的に音楽聴く時に歌詞カード見ない上に,高校の時はカセットテープ(これも死語なんだろうなあ)で貸してもらってたので歌詞カードをちゃんとチェックしなかったので,「空耳」で覚えている部分が多くて,今になって正しい歌詞を知って「そんなこと歌ってたのか」と勝手に驚いてます。
 例えば,「マニアの受難」って曲があるんですが,こんな一節があります。

すべての土地はもう人が辿り着いてる

 この歌詞自体が意味不明で分かりにくいせいもあるんだけど,私は15年間ずっと次のように思い込んでました。

全ての餅はもう人がまるで搗いてる

 なんで餅ついてるんだか。その前の歌詞が「すべての事はもう一度行われてる」なんで,なんかの比喩として餅なのかなと勝手に思い込んでて。でも,餅はないよな。

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2007.02.23

N響定期(2月22日)

[] N響定期の感想も,このエントリでしばらくお休み。次は……尾高さんの回かなあ。前に書いたこのエントリが某掲示板に晒されたお蔭で結構話題になってしまった。えと,別に晒すなとは言わない。が,冒頭の"h"を抜くのはネトヲチの基本だろうとか,なんでエントリへの固定リンクじゃなくてトップに張るかな(笑) 「クラシック音楽の感想なんて殆ど読まれてない」と思っていたが,そうでもないようなので,今後も気を入れて書こうと思う。
 私は今までアシュケナージに批判的なことをたびたび書いてきた。しかし,彼だけが悪いわけではもちろんなく,この時期に音楽監督になった彼は運がなかったかもしれないと思っている。手元にある1999年発行のフィルハーモニー(N響の機関誌)には「98年のベストコンサート」特集が掲載されている。98年のベストコンサートに出てくる指揮者を見てみると,チョン・ミュンフン,デュトワ,ブロムシュテット,シュタイン,サヴァリッシュ,メルクル,プレヴィン……と続いている。なんか凄い。つまり,デュトワ時代(特に前半)には名誉指揮者が3人ちゃんと来ていたのだ。今までのドイツ的な流れはあくまでも強固に維持しながらも,「でも,もうちょっとこういう風にすると表現とかもっと幅が広がるんじゃないの?」と提案したのがデュトワだ。
 しかし,現在,名誉指揮者でちゃんと来ているのはブロムシュテットただ1人。今までずっと続いてきた伝統的な軸を維持させる人が殆どいないのだ。もともとあった中心軸が弱くなってしまって,でもデュトワが新たに作った軸はまだそんなに強固でもなく,という状況で音楽監督になったというのがアシュケナージの不幸だ。メルクルを押さえておけば良かったのに。

 
 しかし,アシュケナージ自身も,現代音楽とかショスタコとか,そういうので押し通せば良かったのになと思う。特にベートーヴェンは向いてないと思ったね(前のデュトワだって向いてないけど)。この定期を聴いて,「もっと最初からこういうプログラムで通せば良かったのに」と強く感じた。
 この日のサントリーも,相変わらず老人臭がぷんぷんし(失礼だけど風呂入ってない人多くないか? ホント客席臭いんですが。臭いって結構キツイ),弱音部でなぜかマジックテープの音がするなど,緊迫感がない状態だった。本当にこの客層でうんざりする。この日のプログラムは以下のとおり。

シグルビェルンソン・スマルトーナル(2006)
エルガー・変奏曲「なぞ」
R.シュトラウス・交響詩「英雄の生涯」

 最初は現代曲で,作曲家が客席にいた。パーカッションで風船割ったりしてた。何とも感想が出てこない(いいとか悪いとかよく分からない)。
 「なぞ」がいちばんこの日良かったと思う。この日の弦はとても良かった(首席・副首席が多く揃ってた)。ビオラの店村さんのソロが素晴らしかったし,木管もかなり奮闘していた。特にオーボエの青山さんが良かったな。最後は「英雄の生涯」。もうちょい金管に力があるといいなとか,もうちょっと細かいニュアンスが表現できるといいなあとか要望はあるが,贅沢な要望です。普段よりはずっと良かった。来て良かった。堀さんのソロもきれいだしね。こういうので最初から行けばよかったのにな。

 
 N響が今後どういう方向性でいくのか分からないのだけど,いったん原点回帰してみるのも手かと思う。ブロムシュテットじゃ年寄りだからメルクル引っ張ってくるとか(難しいか)。あと,外国人の団員を入れてみるとかティンパニは固定する(できれば久保さんで)とかどうだろう。

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2007.02.19

やめろ・もういい・お前達

[] 今,キリンラガービールのコマーシャルにYMOが出演している。これで2回目の復活である。いい加減にしろとちょっと思う。

 YMOが活動していたのは1978年から83年。私が幼稚園〜小学校低学年の時である。テレビでみたのは,あの「君に胸キュン」が流行った時だった。教授のコーラスが下手くそだったのは,今でもよく覚えている。彼らの活躍をリアルタイムでちゃんと追うには私は幼かった。でも,中高時代に友達から音源借りて聴いてたけど。
 そして,1993年。いきなり復活した。私は大学1年生だった。あの時も「もう別にいいよ……」と思った。私でさえそうなんだから,10代・20代にYMOを聴いていた私より1つか2つ世代が上の人達はどんな気持ちだったろう? NHKでドーム公演の映像を放映していたので全部みた。会場がいちばん盛り上がったのは「ライディーン」のサビが流れた時だった。2番目に盛り上がったのはアンコールの「東風」。新曲が主だったはずなのに,私が覚えているのはこの2場面のみ。みんな,「全く新しい」YMOなんていらなかったように見えた。「あの時」のYMOと自分をもう1回味わいたかったのではないか。
 その反省に立ってかどうかは知らないが,今回の新曲は「RYDEEN 79/07」のみ。結局ライディーンかよ!! iTunes Storeでダウンロード販売されてるが,私も結局ダウンロードしてるし。すっかり踊らされている。いや,今40代のかたがた,どうなんですか? どう思ってますか? 嬉しいですか,悲しいですか,何ともいえない感情が沸き上がってますか? 私は……もう1回昔の音源聴いてみようかなと思っている。何を取り戻すというわけでもないんだけど。
 
 
 どうでもいい余談。前に「いいとも」に細野晴臣が出ていて,タモリに「最近の趣味はなんですか?」と聞かれて「食べ歩きですかね」と答えていた。ここまでだといけすかない感じだが,何を食べてるのかと聞かれて,
 「まずいものですね。そば屋のカレーとか。
と表情変えずに答えていた細野さんに私はちょっと萌えた。

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2007.02.12

新日本フィル・サントリーシリーズ(2月7日)

[][] あのブリュッヘンが指揮するということで,久しぶりに新日本を聴きにサントリーホールへ。何しろあの18世紀オーケストラはかなり人気も評価も高い。新日本にどのような指揮をするのか楽しみでした。
  
 ……楽しみでした。
 
 ここから先はかなり書き辛いです。ネットでいくつかコンサートレビューしているブログを見たけど,どれもベタぼめで。プログラムは違うせいなのか,それともみんな年寄り巨匠には優しいのか。
 2月7日のプログラムは以下のとおり。

モーツァルト・歌劇「フィガロの結婚」序曲
モーツァルト・交響曲第39番・モーツァルト・交響曲第40番

 とてもポピュラーな曲ばかりである。しかし,「フィガロの結婚」からちょっと「?」の予感はあった。新日本独特の澄みきった(けれど,そのせいか時々表情に欠ける)弦はよく鳴るし,隅々まで整理された演奏ではあった。しかしなんか楽しくない。
 そして,39番は「ちょっとこれは」という感じだった。正直,肩が凝った。この曲は去年ノリントン&N響で聴いたが,これがとても素晴らしかったせいもあるかもしれない。ノリントンは結構好き嫌いが分かれるタイプだが(私はすごく好きだが),この時のN響は本当に神懸かっていた。個人的には,N響のここ数年でもっとも印象に残ったコンサートかも。モーツァルトの持つ幸福感,そこはかとないユーモアもあった。それがブリュッヘンには感じられなかった。端正だし,綺麗だけど,面白みはなかった。
 40番は,新日本の弦の良さが引き出されていたが,残念ながら新たな発見とかそういうのはあまり感じられなかった。ちょっとブリュッヘンは年寄り過ぎたんじゃないか? かなりヨレヨレだし(でも,73歳か。超高齢というわけでもないか),なんだか演奏が「枯れて」いた。モーツァルトであまり枯れて欲しくないなあ。他のシューマンとかベートーヴェンでは,端正さがいい方向に行くのかもしれないが,この日は物足りなかった。前に聴いとけば良かった。

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2007.01.28

N響を前にした時のどうしようもない無力感と現在のクラシック界の問題

[] とりあえず先に結論を書く。

もうN響のB定期会員はやめる。

 もうダメだ,耐えられない。いや,「もうN響は行かない」ということではない。来年の9月のプレヴィン(結局プレヴィンらしい。高齢だしムターと離婚したばかりだが大丈夫か?)は楽しみだし,ブロムシュテットが指揮する時はいい演奏をするので(厳しいからか?)それは行こうと思うが,毎回行くのはイヤになってきた。ちょうど4月から8月はサントリーホールは改装なので定期はない。この期にやめてしまおうと思う。

 前々から最近のN響は前ほどよくないとは思っていた。しかし,いい指揮者やソリストが来るから定期会員を続けてきた。しかし,こないだのデュトワの定期でもう心の中の何かが切れた。こないだの定期のプログラムは以下のとおり。

ラヴェル「優雅で感傷的なワルツ」
ラヴェル「左手のためのピアノ協奏曲」
チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」

 後半の「悲愴」は熱演だったとは思うが,残念ながら名演ではなかった。この曲は意外と難しい。例えば前にバレンボイム&シカゴ響で聴いたけど,「上手かった」以外に何の印象も残っていない(本当に良かったのは広上&新日本フィル。広上さんはこの曲を十八番にしているが,本当に素晴らしい演奏だった)。デュトワにこういう曲は向いてないんだな。まあそれは良いとして,本当にデュトワで聴きたいのは前半のプログラムだ。デュトワのラヴェルといったら,心ときめくもんですよ。
 そして,コラールのピアノ協奏曲はとても良かった。自分がピアノを習っていたせいかもしれないが,ああいう曲に実演で接すると感動する。やや曲芸的ではあるんだけど,ソリストは本当に良かったよ。
 しかし,しかしだ。「優雅で感傷的なワルツ」はもうちょっとどうにかならなかったのか。私はデュトワならではの繊細で詩情あふれる演奏を期待していた。しかしオケはついていけなかった。デュトワ的な歌い上げがちょっとあるかと思ったら続かない。前は,もうちょっとできたはずだ。木管はそれぞれうまいけどバランス悪いし,ヴァイオリンは人数多いけど音悪くなったよね。うまい人揃えてるんだろうけど,オケとしてはどうだろう。
 デュトワが音楽監督になった時は賛否両論あったが(いまだにあるか),少なくとも「これからのN響はこうしたい」という意志は強く感じられた。そして,実際そうなりつつあった。しかし音楽監督が代って,方向性が見えなくなった。一体何をしたいのか。とりあえず有名人呼べばそれでいいのか。
 
 
 しかし,今のN響を取り巻く状況を突き詰めて考えていくと,N響それ自体の問題よりももっと大きな問題があることに気がつく。それは「客」だ。客は本当に悪い。年寄りが多いのは昔からだから仕方がない。しかし,マナーが悪く,緊張感がない客が多い。
 咳をするなとは言わない。なるべくフォルテになるまで我慢しろとは思うが,これはどうしようもない。補聴器がピーピーいうのもどうしようもないのだろうか。何とかして欲しいと思うが,どうしようもない時もあるのだろう。
 しかし,ピアノソロの部分でビニール袋をがさがささせるとか,鈴鳴らす(小銭入れにつけてるのか?)とか,小銭落とすとかそういうのはどうにか出来るだろう。しかしそれもできない客がいる。また,曲が始まると,メガネケースのプラスチックのフタを閉めるような音がなぜかいくつもするんだよね。あれは何なのか。空気読めよ。そういう客が一定数以上いると,こちらもなんだか集中できないのだ。
 更に,曲が良くても悪くてもコンサートが終るととっとと席を立つ。家が遠いのかもしれないけど,せっかくコンサート来るんだから,いい時くらいもうちょっといましょうよ。逆に良くても悪くても一定の拍手する客もいる。毎回来てるはずなのに,フライング拍手する客もいる。
 そして,多分こういう客が一番定期会員をやめない。体力的にホールに通えなくなるまで定期会員をやめないだろう。こういう客が相当数いる状況で,いい演奏を毎回しようとモチベーションを上げるのはオケにとってかなり難しいだろう。まともに仕事するの,イヤになるだろうね。実は私も自分の席が悪いのかもと思い,席替えを考えたが,ホールを見回しても,まるで家でテレビを観るようにステージを観るような客がどこにでもいる。だから,もうやめることにした。この雰囲気を変えることはもう出来ない。
 前は定期の放映も多かったから,目の前にいる客以外の客もN響の演奏を聴いているという意識があったような気がする。しかし,最近はBSでさえ毎回放映されないようだ。これはN響の問題ではなくNHKの問題である。エビジョンイル時代に視聴率が取れないから放映を減らされたようだ。しかしなあ,NHKは視聴率にとらわれず舞台中継とかするのが使命じゃないか? 地上波で茨城の花火大会の中継やったくせに(エビさんは茨城出身),N響はやらないんだ。録音を売るとなると,ごく一部の指揮者しか売れないし。
 
 
 前の大相撲に関するエントリで,「NHKは大相撲をどうにかするために,相撲をちゃんと見る人を増やそうとしているのではないか」と書いた。N響についても同じで,オケをよくするには,客の側ももうちょっと真剣にならなくてはならないと思う。勿論N響自体にも課題はあるよ。正指揮者とか常任指揮者が実質機能してないからそろそろ新しい人を入れた方がいいんじゃないかとか,東京にはたくさんオケがあるからどうやって差別化を図るのか,これからどういう路線で行くのか示して欲しいとか(前に準メルクルで「リング」やったけど,そういうのもやってほしいねえ),金管の首席はちょっととか。しかし,N響を支える客の側ももうちょっとN響の為に協力して欲しいなあと思う。ちょっとずつでいいから。でも,その「ちょっと」も無理だと思わせる雰囲気が漂っている。

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2007.01.27

読売日響名曲シリーズ(1月9日)

[][] コンサートレヴューってどれだけ読まれてるかわからないのですが,本当に感想書くの遅くてすみません……。一応結論から。
 下野竜也はいいよ!
 いや,本当に。実は彼の実演に接するのは初めてでした。何度かホールのロビーとかではお見かけしたことはあります。すごくいい人っぽい。実際いい人らしい。でも,なんか音楽がすごいらしい。かなり期待してサントリーホールに行きました。読響の正指揮者の割に,サントリーは客足がいまいちだったのが残念。前半のシュニトケが敬遠されたか,それとも寒かったからか。
 プログラムは以下の通り。

シュニトケ「交響的前奏曲」
シュニトケ「ヴァイオリンソナタ第1番」(弦楽合奏版)
ドヴォルザーク「交響曲第9番〈新世界から〉」

 「交響的前奏曲」は,いい意味でオケの無駄遣いっぽい曲。残念ながら私は疲れてたので落ちかけました……。ただ,ヴァイオリンソナタからは素晴らしかったですね。ヴァイオリンソナタのソリストはコンマスの小森谷さん。ちょっとごっつい感じに見えますが(失礼な)音色がすごく優美です。この曲,いじりすぎると品がなくなったり,単に「面白かった」で終わってしまうのですが,そうならない。いいもの聴かせてもらいました。
 そして,メインは「新世界から」。シュニトケよりこっちの方が下野の「懐かしい田舎者」(いい意味で)らしさがよく出てたと思います。こういう暖かみがあって情緒的な音楽の方がいいんじゃないかな。
 彼の音楽の不思議なところは,何とも言えない懐かしさとか驚きとか,自然と感情に訴えかけるところがあります。というと,ゲージュツらしくなく思えるかもしれませんが,「ドヴォルザークの音楽ってこんなにすごいのよ」という彼の感動がそのまま伝わってくるような指揮です。しかも,構成力がすごい。一つ一つの音がおろそかにされてない。個々の音がくっきりとしかも自然に聴こえてきます。あと,会場の「空気」をコントロールする力も素晴らしい。まだ指揮者としてはかなり若く,かつあの外見(失礼)で,完全にオケと聴衆の空気を統制している。いろいろ書きましたが,下野竜也は本当にすごいです(ちなみに,彼はルドルフ・ケンペのファンらしい。ちょうどわが家はケンペブーム真っ盛りなので,嬉しい限りです)。
 終演後は下野の暖かくて人懐こい人柄が良く出た挨拶に続き,アンコールはグリークの「過ぎにし春」。これもかなりのデザートでございました。
 と,下野を褒めてばっかりですが,若い指揮者を信頼してもり立てようとする読響も素晴らしかったです。今後が楽しみです。というか,今後は下野目当てにもっと読響通おうと誓いました。

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2006.12.26

読売日響第九コンサート(12月21日)

[] 今年のコンサートの締め(のはず)は読響の第九にした。8日にもミスターSで第九を聴いたが,アルブレヒトが読響で第九を指揮するのもしばらくみられないし,歌手がいいのでこれにした。
 とにかくアルブレヒトらしくスピーディーに進む。第1楽章でやや雑なところがあるが(割と読響はそういうことが多い),第4楽章のオケは本当に美しかった。ミスターSのような深みはあまりないんだけど,比べるのは可哀想。また,合唱は武蔵野音大だが,よく練習しているせいもあって,非常にいい合唱だったと思う。


 アルブレヒトを次に聴くのは3月だ。アルブレヒトが常任指揮者として最後の定期。プログラムは2つあるが,両方聴きに行くつもりだ。読響は素晴らしいオケだと思うが,アルブレヒトの功績である。来年客演がないんだけど,これって……。いや,N響の来年の9月の予定が空白なんだよね。でもって,今の音楽監督が来年のラインナップに入ってないんだよね。てことは……と思うが,それはあるのかな。そっちの方がずいぶんいいだけど。

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2006.12.23

N響定期(12月7日)

[] 今年度最後のN響定期。今回の指揮はローター・ツァグロゼク。プログラムは以下のとおり。クラリネット協奏曲のソリストが,ザビーネ・マイアであることだけ(だけ?)が楽しみ。

モーツァルト/歌劇「魔笛」序曲
モーツァルト/クラリネット協奏曲 イ長調 K.622
モーツァルト/3つのドイツ舞曲 K.605
モーツァルト/交響曲 第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」

 実は今回の定期だが,ネット上の評判が異様に悪かった。某掲示板だと「N響こき下ろして通気取り」といった輩が少なからずいるのは否めないが,「やる気がない」とか「指揮者をなめている」とかそういう評が多いのだ。
 
 で,実際聴きに行ったんだが。ツァグロゼクは良くも悪くもフツー。手堅いオペラ指揮者って感じじゃないの? そりゃ,先月のノリントンのような独特の才気はあまりないし,サンティのような巨匠っぽさもない。でも,決して悪い指揮者じゃない。しかし「ジュピター」はなんか物足りなかったなあ。「3つのドイツ舞曲」は,あまり演奏されないけど面白い曲で,ケンツビッチ氏のスタンドプレーもあったからまあ良かったけど(それにしてもケンツビッチ氏は酒の飲み過ぎではないか)。
 結局聴きものはマイアのクラリネットだけだった。やっぱり千両役者ですな。結構年いってると思うんだけど,見た目も音も若い……。第2楽章の物憂げな感じが一番印象に残っている。こういうソリスト呼んでくれるからN響はいいんだけどね。


 定期会員も順調に減少し,来期の音楽監督が誰になるかが既に取りざたされているNHK交響楽団は今後どうすればいいのか。またエントリを改めて書いてみることにする。

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2006.12.22

スクロヴァチェフスキ指揮ザールブリュッケン交響楽団(12月8日)

[][][] 4日間にわたるベートーヴェンサイクルもこの日で終了。この日は,8番と9番。第九の合唱は,なんと天下のスウェーデン放送合唱団。世界一の合唱団といわれている。そのためか,単に第九だからか,この日に限ってチケットは売り切れたらしい。
 3日もコンサートに来ていると,それなりに楽員の顔も覚えてくる(名前は全然分からないが)ので,それなりに愛着も沸いてくる。単純接触効果かもしれないが。第1ヴァイオリンの一番後ろの人がいつもつまんなそうで他の人が一生懸命弾いている時にもやる気なさそうだとか(編成が小さい時は出てこない),なぜチェロの首席のおじちゃんは笑いながら弾いてるのかとか,いろいろ気になってくる。気になってきたところで終わりである。ああ残念。


 前半の8番。短すぎて滅多に演奏されないが,チャーミングの極みであった。宇野功芳か。いや,これ結構名曲だと思うよ。意外と凝っているところもあるけど,でも全体的に肩の力が抜けていて,「ああ,気合い入れまくりの7番の後でこういう心境になったのか」という感じがする。一回,故・岩城宏之氏の「大晦日ベートーヴェンチクルス」で聴いた時はこんなもんかと思ったけど,ミスターSはこういう曲もいいな。


 で,大詰めの第九だが,まずビックリしたのが合唱団の人数。全部で30人くらいしかいない。ソプラノ・アルト・テノール・バリトン合わせてだよ。日本の合唱団だと4,5倍いる。オケの演奏に関しては,ミスターSが第3楽章までうまく緊張感を維持していた。そして第4楽章。なんと,ソリストはギリギリになって入ってきた(笑) ちょっとビックリ。

 合唱が始まった途端,今まで自分が何度も聴いてきた第九は何だったんだという気がしてきた。全部あれはニセモノだったのか。大体第九は卑怯な曲で,第3楽章でだれても(割とそういうことが多い),合唱が始まると「まあいいや」になってしまうのだ(しかし合唱が下手だと,最後の方飽きてくる)。この日の合唱は,そういう次元をはるかに超えていた。オケの音が少し色あせてきこえたくらいだ。
 何しろダイナミックレンジが大きい。人数が少ないからか超弱音も出せるし,たった30人くらいしかいないと思えないような強い声も出せる。しかも無理をしているわけではなく,フツーに楽譜を持って歌っているだけなのに。更に,一人ひとりの表現が豊かでそれぞれのパートがはっきりときこえる。といっても合唱としてちゃんとなりたっているのだ。大体日本の合唱だとアルトが弱い。アルトパートは難しいし,ソプラノのように声が響かないからだが,このスウェーデン合唱団はアルトがとてもうまい。
 最後は大拍手と一般参賀。ありがとう,ミスターS! 来年は読響に通うよ!! それにしても4日間これだけ充実した演奏を聴けて本当に幸せだった。しかし,年齢が年齢だけに,今後またというのが難しいところだ。

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2006.12.21

スクロヴァチェフスキ指揮ザールブリュッケン交響楽団(12月7日)

[][][] 間が空いてしまった。スクロヴァ3日目。この日は,6番と7番。
 スクロヴァのコンサートの客層は独特だ。とにかくヲタク度が高い。この前の会が終った後,初台の駅に向かっていたら,後ろを歩いている若い男性二人組が,「マタチッチの第九が……」という会話をしていた。マタチッチかよ! 多分,マタチッチ&N響の第九でしょうね。当然ながら私も彼らも生で聴いたことはない。そんなCDがなぜ話題になるかというと,多分超有名音楽評論家のせいである。「レコ芸」読んで勉強しているようなヲタクが多そうなのだ。スクロヴァチェフスキ&ザールブリュッケンというのも,レコ芸がその録音を高く評価したから話題になったようだ。あと,有名人もいる。初日は指揮者の下野竜也氏が来ていた。ミスターSは来年から読響の音楽監督になり,下野氏は正指揮者となる予定だから,そのせいなのかな。そしてこの日はオーケン親子。オーケンといっても大江健三郎ですけど(笑) 大江健三郎氏が光さんと聴きに来ていた。

 さて,前半の6番。意外とこの曲は難しい。さらっと流れていってしまうことが多い。ノリントン&シュトゥットガルト放送交響楽団でも結構普通だった。しかしこの日の演奏は違った。上品なのにドラマチック。音楽なのに,視覚的なイメージに訴えかけてくるところがある。更に独特のユーモアもある。これ聴けただけでもういいや(笑)
 後半の7番は,某ドラマのせいで人気らしい(笑)が,指揮者の個性が出にくい曲なのかもしれないと思った。アーノンクールで聴いてしまったせいもあるけど,割と普通だった。オケもここに来て息切れしていたし。といっても決して「ハズレ」ではないのがすごいところだ。
 ということで,翌日はいよいよ千秋楽。忠臣蔵なら討ち入りですよ。

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2006.12.11

スクロヴァチェフスキ指揮ザールブリュッケン交響楽団(12月4日)

[][][] スクロヴァ2日目。この日は2番と3番。この間N響でアシュケナージが同じプログラムで振っていたが,殆ど覚えていない。3番はまあまあだったが,2番が雑だったのはちょっと覚えている。「若々しく,荒々しい」は決して「雑」ではないはずだ。アシュケナージは就任披露コンサートの時は5番,6番を振り,その後も定期的にベートーヴェンを扱っているが,最終的に全集にする気なのだろうか。あれ,売れるのか。もしそうなら,やめとけN響。
 この日も残念ながら会場はちょっと寂しい感じだ。ヤンソンスなんかよりよっぽどいいのにな。しかし,相変わらずミスターSは熱かった。
 2番は,時々管のミスが目立つ。このオケ,管はやっぱりそんなにうまくない。うまい人もいるけど,必ずその人がでてくるわけではないし,集中している時とそうでない時とでパフォーマンスが全然違う。しかしながら,第4楽章のまとめかたは良かった。次の3番につながる曲想を感じさせるような仕上がりだった。流石(2番は隠れ名曲だと思います)。
 3番になると,俄然オケの集中力が上がる。ある時は速めにある時は「わざと」テンポを落とし,1音1音を聴かせる。また,オケのバランスを絶妙に設定し,あるモチーフを浮かび上がらせたりする。「英雄」は割とフツーにやってもそこそこ盛り上がる曲だが,こんなおもちゃ箱のような「英雄」ははじめて聴いた! 席が2階のステージに割と近いところだったせいもあって,ミスターSの表情がよく見えた。楽章の間にも,楽員に小さい声で歌って何やら指示を出したりしていた。終った後は,完全に「一般参賀」(故・朝比奈隆に由来する)状態。
 実は,ザールブリュッケンは6日に兵庫でコンサートがあった。5日は休みでも,6日兵庫,7,8日はまたオペラシティと連続でコンサートが行われた。すごい83歳だ。

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2006.12.09

スクロヴァチェフスキ指揮ザールブリュッケン交響楽団(12月3日)

[][][] 今週はスクロヴァ強化週間(違う)ということで,ベートーヴェンサイクル全部行ってきました。録音は評価が高い割に,なんか地味なせいで,集客はいまいちか。巡回している音楽系ブログがいくつかあって,アバド&ルツェルンとかアーノンクール&ウィーンフィルはほぼ全部取り上げているのに,ザールブリュッケンは誰も取り上げてないのです。実際に,会場も初日は日曜であるにも関わらず満員にならなかったし(最終日は,スウェーデン放送合唱団が入ったせいもあって満員になった模様)。

 しかし,本当にこれは行って良かった。確かにザールブリュッケンはオケ自体はそんなにうまくない(笑) 弦はまあまあいいけど,金管は結構乱れることが多い。しかし,スクロバチェフスキの指揮についていけるくらいの力はある。録音のためにかなり練習したせいかもしれないけど,ミスターSの複雑な指揮にちゃんと対応できるのだからすごい。
 
 スクロヴァチェフスキについては,最初はよく分からなかった。というより,なんか気持ち悪かった。テンポは細かく変えてくるし,場合によってはバランスも変えてくる。フツーだったらあまり目立たない旋律が妙に浮かび上がったりと,「?」ばかりだった。しかし,ある時から「?」が「?!」に変わった。今まで何となく聴いてきた曲の「しくみ」が浮かび上がってきたのだ。
 今回のベートーヴェンも発見に充ち満ちている。初日は1番,4番,5番。1番からフルスロットル状態。指揮者の完全にやりたい放題。4番の途中でオケが緩みかけたところがあったが(管は当たり外れがあって,時々だらけるときがある),5番では完全に持ち直していた。最後の最後まで,全く緊張感を欠くことのない指揮。本当に83歳なのか,この人。5番の第4楽章は最高でしたよ。この1週間はすごいことになりそうだという予感に満ちた初日だった(実際そうだったんだけど)。

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2006.11.25

アーノンクール指揮ウィーンフィル日本公演(11月8日)

[][] いろいろあってすごく感想を書くのが遅れてしまった。この日のプログラムは,シューマンの「ライン」とベートーヴェンの7番。本当は別の日(一番いいのはブルックナーの日)に行きたかったのだが,どうしても日程が合わないのでこの日になった。一回アーノンクールを生で聴いておきたかったので。そして,この日は皇太子殿下がサントリーホールにいらしていた。

 前半の「ライン」。すごく男性的な演奏だと思った。ウィーンフィル独特の甘い感じというのはあまりなく,ひたすら骨太に音楽を組み立てる。劇的なのにストイックだ。いいモノ聴いたという感じ(曲がああいう感じなので,感想かきにくい)。

 そして後半のベト7なのだが……。この曲というと,どうしてもサバリッシュ最後のN響定期を思い出してしまう。あの時のN響は神がかっていた。サバリッシュが神を呼んだのだ。驚いたことに,あの時の感動をどうしても上回らなかった。そりゃ,CDで聴き比べたら違うかもしれないけど,そういう問題じゃないから。そうでなきゃ,演奏会にわざわざ高いお金払っていかないよ。
 あと,あのアバド・ルツェルンがたった1か月前だったというのも大きい。なんて贅沢な聴き比べなんだ。そんなこんなで,別に悪くなかった,どころかとても良い演奏会だったけど,今思い返すと印象が薄くなっている。やはり別のプログラムの日に行った方が良かったんだろうか。

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2006.11.11

N響定期(11月1日)

[][] あのサー・ロジャー・ノリントンがN響定期にやって来た! 2006/2007シーズンで一番楽しみかもしれない(まだ始まったばかりなのに)。ノリントン率いるシュトゥットガルト放送交響楽団を2004年に聴きに行った時の感想はこちらにあるが(もう2年前か),とにかく独創的な演奏だった。CDは結構持っている。全部が当たりかというとそんなことはないのだが(笑),ベートーヴェン全集は本当にオススメ。ただ,苦手な人もいるかもしれない。ノンビブラートだの古楽風だのというラベルで語られがちだが,理論的に歴史的にどうだというより単に本人が好きでやっているだけだと思う。
 そんなノリントンがN響を振る。大丈夫か? N響はアメリカ帰りの上,最近は「……」だったので,ついていけるのかという不安もあるが,滅多に日本でみられないので行く事にした。
 
曲は以下のとおり。

エルガー 「ロンドンの下町」序曲
エルガー 「チェロ協奏曲」
モーツァルト 交響曲第39番

なんでエルガーなんだろう。イギリス人だから? せっかくだから全部モーツァルトの方が良かったのに。来月もモーツァルトプロがあるからやめたのだろうか。
 実際,エルガーの部分は「?」だった。悪くはないし,面白いけど,なんだか消化不良。特にチェロコンチェルトは……石坂団十郎にあの曲はあってないかもなあ。なんか健康的すぎる感じがする。
 しかし,後半のモーツァルトは本当に素晴らしかった! こんな素晴らしいモーツァルトを生で聴いたのは滅多にない。モーツァルトの持つユーモアとか遊びとか優美さが全て出ていたのだ。これ聴けただけで大満足。N響も慣れないノンビブラートだったが,こんなに美しくて軽やかな音が出せるとは。今年最高の演奏だったんじゃないかな(2番目はブロムシュテット)。ノリントンは相変わらずニコニコしながらというか人を食ったような指揮をしていたけど(笑)
 
 それにしても,指揮者がいい時はN響はびっくりするような本当にいい演奏をするんだけど,いつもじゃないのがなあ。せめて打率5割をキープして欲しいんだけどなあ。とりあえずノリントンは今後も呼べるものなら呼んだ方がいいと思う。

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2006.10.31

アバド・ポリーニ&ルツェルン祝祭管弦楽団(10月19日)

[][][] ずいぶんと感想を書くのが遅くなってしまいました。忘れていたわけでも,書きたくなかったからでもなく,どうも言葉が出てこなかったので書かずにいたのですが,相変わらず言葉はありません。

 生まれて初めて45000円のチケットなんか買ったよ。

 アバド,ポリーニ,ルツェルン管,と「今後いつ日本で見られるか分からない」(ポリーニは今後も日本に来ると思うけど,あとは……)取り合わせということもあって,チケット獲りはまあ大変でしたが,何とか1階の前の方ゲットしました。「寄せ集め」だの「チケットボリすぎ」だの,いろいろ事前に言われてたわけですが,「感動はpriceless」でした。
後ろの子供連れは,中学生くらいの女の子が「寝ててもいいの?」とか最初はふざけたことをぬかしてましたが,結局圧倒されてました。

 ポリーニによるブラームスのピアノ協奏曲第2番は,最初の方でややヨタッてて(うまいから余計目立つ),「もう年なのか」とかちょっと不安になりましたが,第2楽章からは調子が上がってきたように見えました。オケもポリーニをもりたてます。チェロのブルネロのソロが素晴らしい!(どのパートも有名人がぞろぞろと……)。
 そして,ブルックナーの「ロマンティック」……。言葉が出てこないです。体の感覚が全て失われ,心と音が一体になった演奏でした。もうしばらくこの曲を聴きたくないと思うくらい(下手な演奏で記憶が台なしになるのが怖いので)。最後はアバドの指揮棒とともに音が天井へとすっと吸い込まれ,静寂の後,少しずつ少しずつ始まった拍手は最後には割れんばかりになりました。何度も観客に応えるアバド,本当にありがとう! また来てね!

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2006.10.04

N響定期(9月28日)

[][][] 10月はアメリカ公演があるために,定期公演がずいぶん早くなっている。今回のプログラムは,アシュケナージ指揮のベートーヴェンの2番と3番。アシュケナージのベートーヴェンは,就任披露コンサートで4番,5番を聴いて以来である。この日も録音していたので,最終的に「全曲録音」にするのかな。チャイコフスキーもそうだけど。
 就任披露コンサートの感想はここにあるが全くといっていいほど思い入れがないのが丸分かりの文章である。別に悪かないけど,「別にベートーヴェンやらなくてもいいんでない?」的な印象だった。
 

 そして,今回もそうであった。リヒャルト・シュトラウスとかショスタコとか(だけ)やればいいのに。後半の3番は結構良かったが,それでも「アシュケナージで是非聴きたい」というものではなかった。前半の2番は,とても雑な感じがした。初期の交響曲で,3番や5番や6番や9番ほど有名ではないが,いい曲だと思う。テキトーにやってないか? 
 N響,ベートーヴェンといえば,やっぱり岩城さんである。あの「全曲コンサート」だが,やっぱり岩城さんのコンサートにかける執念のせいか,全曲ともかなりの熱演だった。1番2番と来て,エロイカが終わって,普通なら「これで終わり」なのに,まだ1/3しか終わってないよ,って分かって聴きに来ているくせにちょっと驚いたものだ。あの時のN響は本当にすごかった。オケの力はあると思うのだけど,それが出てないということは……(略) あまり向いてないんじゃないかな,ベートーヴェン。「何でもそこそこ出来る」じゃなくて,「この人ならでは」というのをそろそろ見せないと,まずいんじゃないかと思う。

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2006.09.30

フィレンツェ歌劇場・「トゥーランドット」(9月17日)

[][][] 今年のトリノオリンピックの御蔭でブームになった「トゥーランドット」。今回のフィレンツェ歌劇場の日本公演も,チケットが売り切れたそうである。紅白ホールが広すぎてイヤなので,神奈川県民ホールまで行ってきた。3階でもちゃんと見えるくらいで,いいホールである。
 もう終わってしまった公演なので,ネタバレも大丈夫かな。トゥーランドット姫役のアレッサンドラ・マークだが,足の手術をしたばかりということで,ずっと車イスだった。そのため,第2幕でのカラフとの絡みが視覚的に弱い感じになったが,それを補って余りある素晴らしい歌声だった。第2幕の謎解きにおける冷酷さ,謎を解かれた時の動転,第3幕での心の揺れ。この世で一番美しい,冷酷で残酷な姫君がそこにいた。これ聴けただけでも大満足である。また,カラフ役のカール・タナーは,第2幕から調子を上げ,トゥーランドットと渡りあっていた。
 一番印象に残ったのが,リュウ役のノラ・アンセレム。いかにもプッチーニが好きそうな可哀想なソプラノの役だが,本当に可憐でかつ芯が強い感じだった。このオペラの演出では,登場人物の動きが少なく,結構突っ立ったままとか座ったままといったことが多かったのだが,彼女は歌だけでなく演技においても観客を魅了した。
 チャン・イーモウの演出はド派手で,「ベタな中華風」でそれもこのオペラらしくて良かった。このトゥーランドット,超娯楽作品だもの。メータの指揮も,盛り上げるところはやたらと盛り上げる,というとっても分かりやすい深みのない指揮だったし。そして,実は第3幕のリュウの死までがプッチーニが書いた部分でその後は他の人が書いたのだが,そこから格段に曲が落ちるのもある意味聴きどころ(笑) 
 

 面白いけどどうでもいいこと。新国立劇場のオペラって主役は外国人が多いのですが,後ろにいる合唱の人達ってみんな日本人なんですよね。ウィーンの舞踏会で後ろで踊っている人達の役とか。で,本当に辛いことに,いくら遠くで見てても「あ,あれ日本人だな」ってちょっと引いちゃうことがあるのです。途端にウィーンじゃなくて鹿鳴館にしか見えなくなるというか。今回のトゥーランドットで,北京の市民役はみんなイタリア人だったのですが,やっぱりちょっと変。主要キャストのようにやたらと派手な衣装と化粧してれば別にいいんだけど,後ろはそうじゃなかったからなあ。

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N響定期(9月14日)

[][] 久しぶりのN響定期。N響についてはいろいろ書いているが,なんだかんだ言って今年もB定期会員はやめてない。多分まだ私が諦めてないからだと思う。ノリントンは楽しみだし。
 今回は「正指揮者シリーズ」ということで,若杉,岩城,外山の御三方が揃い踏むはずだった。しかし,岩城宏之氏は6月に亡くなった。実はB定期は岩城さんが振るはずだった。今回は追悼公演ということで,若杉,外山の両氏が出演することになった。
 この正指揮者シリーズだが。最近は日記とかネットで公開している楽員さんが増えている。本人は単に好きで書いているだけで,それを読んだ人がどう思うかなどということはおそらく全く考えていないのであろうし,どうでもいいことなんだろうから,それに対してあれこれケチをつけるのも無粋なことだとは思うのだが,聴く前からあまりガッカリさせないでくれと思うことが最近多いのだ。客が何でいろいろ斟酌しなきゃなんないのよ。お客と演奏者の間を埋めるってそういうことなの? 本当に偉くて素晴らしいですね。で,今回の定期についてもいろいろ書いてあって,どうしたもんかと思ったのだが,岩城さんの追悼だし,黛敏郎が聴けるから(武満はしょっちゅう演奏されるけど,黛作品は殆どどこも演奏しない。いろんな理由があるんだろうけど)ということで行ってみた。岩城さんを生で聴いたのは,年末の「ベートーヴェン全曲演奏会」だけだけど,あの時の岩城さんは本当に素晴らしかったから。
 曲は以下のとおり。前の三曲は若杉さんが指揮,ハルサイは外山さんが指揮。

武満徹・弦楽のためのレクイエム
武満徹・テクスチュアズ
黛敏郎・曼荼羅交響曲
ストラヴィンスキー・春の祭典

 全体的な感想だけど,やっぱり岩城さんで聴きたかった。この日は結構演奏が良かったと思うからこそ,痛切にそう思う。前半は楽器の配置のせいか,編成にしてはサントリーが大きすぎるせいか,どうも音が拡散してしまうところがあったが(P席だからかもしれないけど),結構楽しめた。黛さんは,天才過ぎたんだろうなあ,きっと。若杉さんも真摯な指揮だった。後半のハルサイは,ちょっとあざとい感じもしたなあ(笑) 泥臭いというか何というか。特殊管大活躍で,こういう時にN響の木管のレベルの高さを感じます。


 最後に。開演前のロビーでチェリストの某さんがいた。すごいかっこいいのでビックリしました。なんだかよく分からない締めですね(笑)

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2006.09.23

読響名曲シリーズ(8月31日)

[] もう1月近く経ってしまったが,備忘録として。
 この日の指揮は広上淳一。曲は以下のとおり。

ベルリオーズ 序曲「ローマの謝肉祭」
モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第5番<トルコ風>
チャイコフスキー 交響曲第5番

 広上さんが指揮するチャイコフスキーの5番はN響でも聴いたことがあるが,正直言っていまいちだった。会場がオーチャードで,席もあまりよくなかったせいもあるだろう(あのホールの音響はひどいと思う)。今回はサントリーなので期待できそう。
 広上さんの音は,躍動感と色彩感があってとても良い。モーツァルトのヴァイオリンコンチェルトは……すみません,あまり好きじゃないです(笑) 
 そして,後半のチャイ5だが。いわゆる「爆演」を期待すると裏切られる(笑) 割といいと思ったんだが,細かいところが荒い(読響に割とありがちなんだけど)。また,音がどうももっさりしている。わざとなのかわからないが。なんだか,ロシアオケみたいにきこえる。私はこの日の演奏は割といいと思ったが,好みが分かれるかもしれない。オケは結構楽しくやっていたように見えた。
 広上さんは「悲愴」が十八番だと自分でも言っていて,私自身も実際に聴いて大感動したことがあるが,5番はそこまでではないかもしれない。しかし,日本人の指揮者でここまで強く音楽を愛して,深く音楽を追及している人ってそういないような気がするのだ。今後も定期的に聴かなくては。

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2006.08.25

読売日響サマーフェスティバル「三大交響曲」(8月18日)

[] すごく久しぶりに(約2か月ぶり)クラシックのコンサートへ。


 ところで、「三大交響曲」といったら、何と何と何だと思いますか?


 読響の答えは「未完成」、「運命」、「新世界」だそうです。どれも確かに名曲だけど、これが「三大」なのかと言われるとどうかと思うのですが、答えはないので、言った者勝ちです。というか、この三曲だと、2時間くらいのコンサートに収まるからいい、というのもあるんでしょう。マーラーなんか1曲だけで2時間近くかかるし。
 指揮者は、飯守泰次郎。実は客席で見かけることが多いです。1月の「リング」とか観にきていましたね。やっぱりワーグナー指揮者としては気になるのか。


 で、いかにもぬるそうなコンサートですが、実際客層も相当なもんで。過去に「客のせいにするな!」というエントリを書きましたが、撤回。私が間違っていた! N響すまんかった! やっぱりコンサートは客が大事ですわ。弱音部に限って繰り広げられる見事な咳のアンサンブル、「未完成」の第2楽章で耐えられなくなり、隣の人に話しかけるオジサンや子供、やたらと前の椅子に足をぶつける人(サントリーホールって欧米人サイズで席が広いので、よっぽど落ち着きがない人でない限りぶつからない)。ということで、最初の「未完成」は気が抜けているうちに終わってしまいました。指揮者の飯守さんの気合いとオケがうまくかみ合ってなかったような感じです(管のバラつきが見られてました。この日金管はちょっと不調)。そもそも「未完成」って真夏に聴くような曲じゃないのかも。
 しかし、その次の「運命」はすごかった。飯守先生の気迫に客も気圧されてました。テンポはかなり早めでしたが、オケも素晴らしい演奏でした。これだけの「運命」は滅多に聴けないです。実は「運命」ってあまり演奏されないのですが。これ聴けたので、もうこの時点で大満足。
 最後は「新世界」。イングリッシュホルンが印象的。読響も、結構キツイプログラムだったと思いますが、最後まで大熱演でした。飯守先生にはもっと読響で振って欲しいです(シティフィルはちょっと行きづらいので)。

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2006.07.10

読響名曲シリーズ(7月7日)

[][] このエントリは、このブログの600エントリ目だったりします。それはともかく。今回のプログラムは次のとおり。

チャイコフスキー/ロココ風の主題による変奏曲
ブルッフ/コル・ニドライ
ベルリオーズ/幻想交響曲

後半はともかく、前半は「ううむ」って感じですね。そして指揮者はパオロ・カリニャーニ。知らない指揮者でしたが、ネットで調べたところとても評判がいいので行ってみることにしました。去年は紀尾井で振ってたんですね。

 前半のソリストはピーター・ウィスペルウェイ。えーと……なんか普通です(苦笑) ちょっと演奏が荒いなあという印象。アンコールは無伴奏第1番プレリュードだったのですが、これもなんか荒い。私の好みではなかったです。お客にアピールする要素は強いですけど。ただ、オケは「本当に読響?」というくらい上品で澄んだ音色なのでそちらに驚きました。特に弦に全く濁りがない。上質な室内楽を演奏しているという感じでしたね。この時点で、この指揮者が只者でないことが分かります。
 後半の「幻想」はまるでイタリアオペラのようです。やー、某コバケンでききなれているせいか(爆)新鮮でした。第1楽章が序曲で、第5楽章まで起承転結が明確で、情景がはっきりと浮き上がるような演奏です。「幻想」というと爆演が多いですが、細かいニュアンスをとても大切にしたいい演奏だったと思います。恐るべし、カリニャーニ! アンコールは……「幻想の最後の1分」ではなく、ストラヴィンスキーの「サーカス・ポルカ」。客の入りがいまいちだったのと(前のブル8はいっぱいだったのに)、フライングブラボーが残念でしたが、カリニャーニいいです。来年もきて欲しいです。

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2006.07.08

読響名曲シリーズ(6月23日)

[][][]  先月のN響に続いて、今度は読響・アルブレヒトのブル8を聴きに行きました。前回のブル8が「……」だったので、結構期待が高まります。実際に、チケットは売り切れていたようです。
 実際に、今回はとても良かったです。席が一番前だったので、音のバランスが良くなかったのですが(これはどうしようもない)、それでも。アルブレヒトの指揮はかなりテンポが速く、ある種の偏り(というか、朝比奈的な)がある「ブルックナー」観とは違います。また、アルブレヒトの指揮自体、奇をてらわないというか、フツーです。ミスターSの方が多分深い。でも、先月のN響では、その意図にオケがついていけなくて失敗してました。
 今回のアルブレヒトは、おそらく物足りないくらい普通に指揮しているように見えます。見得も全く切らないし。第3楽章の弦の美しさはN響の方が上だった部分もあるのですが、この曲を最後まで息切れさせずに普通に持っていくことの難しさ、普通に演奏してもこの曲は名曲なのだということを深く感じました。金管が時々乱れたところもあるのですが、最後まで緊張感を持った演奏だったと思います。というか、読響の方が当りが多いな、最近。

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2006.07.01

メトロポリタンオペラ「ワルキューレ」(6月18日)

[][][] 指揮予定だったレヴァインが怪我で降板し、代役がエッシェンバッハになるというニュースに若干落ち込みつつも(エッシェンバッハ&フィラデルフィアにものすごく落胆したため)、行って参りました。結論から言うと、すごく良かったですよ。NHKホール3階という悪条件ではありましたが、さすがメト! 今回の演出はこれで最後のようですが、セット、照明ともに美しいです。そのまんまでひねりがないといえばないんですが。
 特に素晴らしいのが歌手。ドミンゴは……お年のせいか声量が……。オケは明らかにドミンゴの部分は音を抑えているし、拡声器も思いっきり使っているのですがそれでもあのホールでは辛い。ただ、声の艶は流石です。もう彼がオペラを日本で演じるのも最後かもしれませんね。
 圧巻だったのがやはりヴォータン役のモリスとブリュンヒルデ役のポラスキ。特にポラスキは、3階でみる限りは娘に見える(笑)し、天真爛漫でかつ聡明な娘の心の揺れの表現が素晴らしい。そしてモリスは、言うことないでしょう。第3幕なんて殆ど二人だけで話が進むのですが、それなのにあんなに劇的に、かつ「リング」の話の1つとして今後の破滅的な展開を予測させるというのはさすがだよなあ。
 なお、心配されたエッシェンバッハの指揮ですが、普通に良かったです(笑) ちょっともっさりした感じだったけど、オケがうまいし。レヴァインの方がそりゃあいいけどね。評判が良い「椿姫」もみたくなったけど、今月はもうお金も時間もない……、残念。

 いちばんガッカリしたのはNHKホールの構造ですね(笑) コーヒー買うだけで20分かかるというのはどうだろう。買っちゃいけないんだろうけど。あと、第3幕で、幕開いてるのに前の客がケータイ打ってたのもどうだろう。「今オペラ来ててー」とか打ってんの。偉くも何ともないぞ、そんなの。

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2006.06.24

最近のN響について

[][] 毎回のようにN響定期の感想を書いているが、最近感想を書くのがちょっと嫌になってきた。無駄なような気がしてきて。他のエントリだって結構な無駄だろうが、N響については「こんなこと書いてても、どうもならないんだろうな」という気持ちがすることが多いのだ。エントリに対する反応があるとかないとかそういうことじゃなくて、定期会員で通って毎回聴きに行っている客がどういう風に思っているとかどうでもいいんだろうな、という感じが最近のN響には感じられるのだ。来シーズンはノリントンとデュトワが来るからとりあえず定期会員はやめないけど。
 昔から「やる気がなさそう」とは言われてきた。しかし、N響アワーで昔の映像を見ると、技術はともかくも強い熱気が感じられる。プライド、なのかな。マタチッチの演奏なんか見ると圧倒される。そういう指揮者がいないというのも今のN響の不幸かもしれない。でも、デュトワの頃はあんなに新しい可能性が感じられたのに。今の方がきっと個々人の技術は格段に上がっているのだろうが、うまい人を集めても「オケ」としてのうまさにそのまま反映されるかというとそういうわけではない(といいつつ、「4番打者集団」と呼ばれているルツェルンのチケットを買ってしまったんだけど(笑) 楽しみだなあ(笑))。
 こんなこと書かないで黙って定期会員やめればいいとは自分でも思う。東京には他にもたくさんオケはあるし、毎年のように世界の有名なオケがやってくる。聞き手には選択肢はたくさんある(東京だけかもしれないけど)。じゃ、なんでこんなこと書くか。今N響は韓国ツアーをしているのだが、その感想を団員の方々がwebで何人か書いているのだが、「客の反応が日本と違ってすごくて感激」らしいのだ。そんならずっと韓国でやってろ!と脊髄反射的に思ったのは私だけではあるまい(某掲示板でもそういう書き込みもあった)。そこまで感動できる演奏会じゃないからこちらも大した反応をしないだけだ。
 残念ながら、定期会員の中には惰性で来ている客も少なからずいるだろう。しかし、N響に期待している聴衆だってたくさんいるはずなのだ。何事もそうだけど、目に見えているものだけで物事を判断すると足元をすくわれる。はっきりとは見えない「N響の期待する人」の存在を感じて欲しい。

 て、書いてもおそらく今のN響では無駄なんだろうけど。普通に準メルクルの感想でも書こうとしたが、前置きとして書いていた部分が長くなったので、独立エントリにした。次は……メトの感想でも書こう(笑) メトは良かったよ〜。

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2006.05.28

フェドセーエフ指揮モスクワ放送交響楽団(5月21日)

[][] 今年もフェド&モスクワ放送響がやって来ました! 2年に1回の頻度で来日するこのオケですが、私は大好きで、毎回聴きに行ってます。いいオケだと思うのですが、客の入りがいまいちなのがいつも残念です(このオケが好きな客しか来てない、というのはある意味いいことだけど)。フェド自体が割と地味なせいもあります。指揮、かっこいいのになあ。録音はいっぱいありますが、いつも「CDに入り切らない」(某評論家風に)感じなんですよね。
 それはともかく今年のプログラムなのですが、以下のとおり。

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番(Pf・デニス・マツーエフ)
チャイコフスキー:弦楽セレナーデ
チャイコフスキー:祝典序曲「1812年」

 いきなり、ラフマニノフの3番です。マツーエフというピアニストはよく知らなかったのですが、ロシアでは大変な人気だそうです。実際聴いてみて……なぜ人気なのかよーく分かりました。超難曲で知られるこの曲ですが、この曲の技巧にも、オケの音量にも全く揺るがず、しかもオケと調和して、この曲の持つ複雑な世界(泥臭い感じとドラマチックさが共存していたりとか……)を余すところなく表現していたと思います。すごい!! あの曲を弾き終わった後で、アンコールも普通に弾いているあたりも普通ではない(笑)

 後半の弦セレですが、サイトウキネンとは全く違った、繊細さよりも骨太さが目立った演奏。というか、あの某派遣会社のコマーシャルがいけないのか(笑) こんな弦セレもあるのね。このオケは、細かいところで結構乱れますが(笑)肝心なところではビシッと決まるのが不思議。「1812年」は、大砲は普通に大太鼓でしたが、このオケらしく、金管もパーカッションも大爆発でした。フェドはうなり声がちょっと大きいのですが(笑)指揮姿はとても良し。ここまででもかなり満足度が高いのですが、いつもアンコールの曲目も愉しいです。これ来て良かったなあ!と大満足。ただ、この愉しさがなぜか録音にいつも入らないのが不思議なんですが。

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2006.05.20

N響定期(5月18日)

[][][] 2週続けてのN響定期です。今回のプロは、プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番、R.シュトラウスの「ツァラトゥストラはこう語った」です。前回のサントリーはフライイング拍手のせいでぶち壊しというのが印象に残ってますが、今回もそのオヤジいるし。ただ、このオジサン、休憩中に他の方から何やら紙を受け取ってました。これが効を奏したのか、今回は無事でした。
 前半のピアノコンチェルトのソリストは、ジョン・キムラ・パーカー。軽やかで悪くないのですが、去年の今頃トラーゼの演奏でこの曲聴いちゃったのでどうしてもそれと比べてしまう。残念ながらトラーゼの愉しさには及ばず。ただ、オケは良かったです。
 そして圧巻だったのが後半。不安定な印象の強い金管もこの日は力強かったです。井野辺さんのソロも素晴らしかった。この日録音が入らなかったのが残念なくらいです。ミスターSは最後まで力強い指揮をしていました。そして、この日は拍手の入りも最高で(笑)、ちょっとしたことかもしれないけど、すごく印象が変わるのですね。今後も気をつけよう(自分も)。

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N響定期(5月12日)

[][][][] スクロヴァチェフスキのブル8を聴きにNHKホールまで行ってきましたよ。NHKホールは正直嫌いです(笑) 駅からホールまで行く途中が人が多くて嫌になるし、周りの環境もうるさい。あと客層も。更に、翌日が某研究会発表でヒジョーにせっぱ詰まった状況でしたが、ミスターSのブル8なので楽しみにしてホールに向かったわけです。
 結論。

ダミだこりゃ。

 定期初日恒例の放送用機材の他に明らかに録音(更に録画も?)機材も舞台にありましたが、あの演奏を売る気なのでしょうか? 2日目はどうなったか分からないのですが、少なくとも初日に関しては売るような内容じゃないです。
 いちばんまずかったのが金管の崩壊。いつものことじゃないかと言われそうだけど、いつも以上にひどい。特にホルン……。いや、ワーグナーチューバは素晴らしかったですよ(元団員の大野さんがエキストラで入ってました!)。しかしホルン本体がガタガタ。あまり某掲示板で書かれているようなことを言いたくないのですが、若くてうまい人も入ってるんだから、首席奏者を変えた方がいいのではないかと。
 でも他のパートもいまいちまとまりに欠けてます。特に第2楽章、第3楽章の途中までは聴いていてしんどかったです。ミスターSにオケがついていってないのです。一方のミスターSも結局何をしたかったのかよくわからない。途中がとても単調で冗長な感じになってしまいました。
 N響の力が明らかに落ちているのかとガッカリして帰ってきたのですが、その1週間後のB定期はとても素晴らしかったので、いろいろな相性のせいかもしれない。でも、最近ムラがありすぎるのが気になります。個別の奏者の力は昔よりもきっと格段に上がっているのでしょうが、「オケで弾く」というのはおそらくちょっと違う力なので。

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2006.05.01

N響定期(4月20日)

[][] だいぶ間が空いたのですが、N響定期の感想をば。今回のプログラムは、デュトワが指揮です。曲は、

シベリウス/交響詩「フィンランディア」
ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲
シベリウス/交響曲第1番


 最初の「フィンランディア」は、やや金管がもっさりした印象。相変わらずか。しかし、独特の高揚感はやはりデュトワですね。指揮振りも華麗だし。この時点で「今日はやたらと拍手が早いな」という気がする。この予感は最後に来て的中するのだけど。
 ベートーヴェンのヴァイオリンコンチェルトのソリストは、リサ・バティシュヴィリ。この人の趣味なのかデュトワの趣味なのか分からないが、たっぷりした演奏でした。そして、ベートーヴェンの意外な「泣き」のメロディが際立ったような感じ。この人技巧的にはものすごくうまいです。でもこの曲に合っていたかというと、うーん。この曲なら前に新日本フィルで聴いた、コンマスの崔さんの演奏の方が男気溢れてて(笑)良かったような。

 そして、後半のシベリウスの1番。前にもNHKホールで聴いた曲です。この時が良かったので、結構期待して聴いていました。その前の週のベルリオーズを引きずっている(私の方が)せいか分からないのですが、北欧的爽やかさよりも、意外な変態っぽさが際立っているように感じられました。いや、ベルリオーズは明らかに変態的なんだけど(笑)シベリウスは変態じゃないよなあ……。しかし、クラリネットの横川さんの見事なソロもあって、なかなかの演奏だったのです。

 が、最後、音が消えてもなおデュトワは指揮台の上で構えているというのにフライイング拍手をしやがったオヤジが現れました。2階のサイドに座っていたオヤジが、音が消えた直後から拍手を始め、1回やめかけたのにも関わらず拍手を続けやがりました。演奏会の余韻も何もかもが台なしです。オッサン、この2時間何も聴いてなかったんでしょう。早く帰りたいんなら、勝手に帰ってくれ。ああ、全く。

 
 ちなみに、帰りの地下鉄でコントラバスの吉田さんが後ろから乗ってきてビックリ。着替えるのが恐ろしく早いですね。

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2006.04.18

バッハコレギウムジャパン「マタイ受難曲」(4月14日)

[][][] 一度は聴きたいと思っていたバッハコレギウムジャパンの公演ですが、オペラシティで「マタイ受難曲」を演奏するというので何とかチケットを取りました。BCJは定期会員が非常に多いので、一般だといい席は取りにくいようですが。今回の「マタイ」は初期稿ということで、よく演奏されるものとはいろいろと相違点があるようです。
 まず驚いたのが編成が非常に小さいこと。これでこのホールで大丈夫なのかな、と心配になるくらい管弦楽も合唱も編成が小さいのです。しかしその分、一人ひとりの演奏や歌の力強さが伝わってきます。元々、宗教音楽なので、本来ならこういう感じで演奏されるものなのでしょう。更に古楽器の木管の響きが独特で面白い。今の楽器のように澄んだ、というか冴えた響きには欠けるところもありますが、柔らかみのある響きを産んでいます。
 曲ですが、普段聴くのとは大きく異なるところもあって、戸惑うところもありました(あと、前半で昼間の疲れがでてちょっと落ちかけました……)。今のものってやっぱり洗練されていて、「宗教音楽性」がすごく高いのですが、初期稿は割と俗っぽいところがあるような。でも、字幕ないので(プログラム買えばいいのですが、1500円って高い)本当のところはよく分からず。あと、チェロの鈴木秀美氏を中心に編成されているのはBCJ仕様なのかしら。鈴木氏のチェロは本当に素晴らしいです。
 しかし3時間半(終わってから時計見てビックリ)の長丁場、これだけ密度の濃い演奏をするのだからすごいです。またチケット取れたら聴きに来ようと思います。

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2006.04.11

N響定期(4月8日)

[][] N響定期はいつもはBプロしか行かないのですが、今月はデュトワ目当てにAプロも行くことにしました(ちなみに来月もミスターS目当てにCプロ行きますが)。何しろ前回の定期では、デュトワがリューマチで降板してしまったので。今月のAプロは、ベルリオーズ「ファウストの劫罰」ですよ! デュトワの十八番の1つだそうです。そのせいか、NHKホールも割と埋まっていたように思います。
 最近のN響はどんどんと新しい団員が入っているのですが、オーボエには前の新日本の首席だった青山さんが新しく入られたようです(まだ契約段階ですが、そのうち正式な首席になるのでしょう)。なんかすごい。オーボエパートは安泰ですね。本当はトランペットも。

 感想。これは本当に行って良かった。とりあえずデュトワは元気で良かった(笑) デュトワの劇的でかつやや俗っぽいところもある(いい意味で)指揮がこの曲に本当にマッチしていました。休憩なしで2時間以上かかる曲を最後まで集中力を切らさず持っていくのはさすがです。歌手陣ですが、ファウスト役のフルランが絶品でした。オケは……、この日は割と良かったかな。特にビオラの店村さんのソロ、イングリッシュホルンの和久井さんのソロが素晴らしかったです。ただ、この日は客席でケータイ鳴らす客がいたりして、そっちの方が問題でした。切っとけよ。この定期は録音されていたので発売されると思います。聴いて全くソンはないですよ。

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2006.03.23

米米CLUB復活

20060322-00000016-dal-ent-thum-000 [] 米米が期間限定で復活するそうである。最初の報道には「オリジナル音楽メンバー9名で活動する」とあった。
 オリジナルメンバーって。あれほど入れ替わりが多いグループもなかった。シュークも最初は3人だったし、最後の方は得能さんもリョーちゃんも脱退していた。最初サポートだったベーとまたろうはいつの間に正式メンバーになっていた。「音楽メンバーってことはシュークは入らないのか? というかオリジナルってことは博多めぐみも入るの?」とかいろいろ考えてしまったが、デイリースポーツの写真のこの9名のようだ。ベーは入ってるのね。ある意味「いちばん売れていた」(というか知名度が高かった)時期のメンバーなんすね。
 米米は結構好きで、彼らが主題歌を歌っていたドラマ「素顔のままで」は本当に駄作だったのにも関わらず、メンバーが出る回はちゃんと見てチェックしてたりした(恥)。解散してから9年近く経つが、その間に小野田さんは素顔を晒してしまうし、てっぺいちゃん(と石井竜也を呼ぶのも年齢がバレますなあ)もよく分かんない人になっちゃったし、昔の面白さは出せるのだろうか。

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2006.03.19

読売日響定期(3月11日)

 最近ハマりつつある読響定期ですが、音楽監督であるアルブレヒトを聴きにサントリーホールへ。この日の曲目は、以下の通り。

前半: モーツァルト・交響曲(第10番)ト長調 K.74/交響曲(第12番)ト長調 K.110(75b)/交響曲ニ長調 K.111/120(111a)
後半:マーラー・交響曲第1番ニ長調「巨人」

 前半は、モーツァルトの超初期の作品(10代の頃の作品!)3つ。滅多に生で聴けるものじゃないです。アルブレヒトのきびきびとした指揮と読響の安定した弦の音色が、モーツァルトの優美さ、シンプルな美しさに合っていたように思います。ただ、曲自体はそれぞれすごく短い上に初期のものなので、3曲連続して聴くとちょっと飽きてきます(笑)
 後半の「巨人」ですが。読響って時々弦がふらっとする(特に前半に)ようにきこえるのですが気のせい? それはともかく、単調になりがちな第1楽章から聞かせてくれます。さすが。第3楽章の冒頭のコントラバスのソロも見事。ただ、すごく「青い」感じがするのです。もともとこの「巨人」自体がその他のマーラーの交響曲に比べるととても青臭い(青春とか希望とか感じさせる)曲ではあるのですが、アルブレヒトの解釈も「若くて清々しい」です。前回の読響定期はセゲルスタムの「復活」だったせいでどうしてもそれと比べてしまうのですが、なんだか青臭い。でも、フィナーレも「うるさいだけ」にならずにこれだけ聴かせるのは素晴らしいです。来年の3月にもマーラーの9番がありますので、そちらも楽しみです。

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2006.03.14

N響定期(3月9日)

 前回のブロムシュテットのブル3は好演だったN響ですが、今回の指揮はアシュケナージ、曲はエルガーのチェロ協奏曲とショスタコの4番と聴く前から疲れそうです。アシュケナージの指揮するN響は何回か聴いてますが、あまりいいと思ったことは正直ないです。逆に「悪い」とはっきり思ったこともあまりないです(笑) 大体「ふーん」で終わり。綺麗だけどなんか物足りない。

 前半のチェロコンチェルトのソリストは、ジャン・ワン。男性的な弾き方や音色が印象に残ります。一方オケの方は優美さを強調していて、そのギャップがちょっと面白かったです。アシュケナージが狙ってそうしたのか、たまたまそうなったのかは分からないのですが。ただ、この曲聴いていて疲れますね(笑)
 後半ですが……すみません、そもそもショスタコ自体が苦手です。5番がやっと聴けるってくらいで。今回の4番ですが、「隠れ名曲」として有名らしく、ショスタコヲタはこの曲が好きな方が多いようです。何しろ大編成で(特殊菅勢揃いでかつ打楽器も満載)60分もあり、内容も濃いです。次々と変わる曲想、イヤーな感じのパロディ、後味が悪いエンディングとかファンはたまらんのでしょう。ショスタコが苦手な人にとっては別の意味でたまらんけど。
 ただ、この日のN響は良かったと思います。特に木管は相変わらずレベルが高いです。ソロもばしばし決まってました。金管、というかトランペットは時々揺らいでたけど(というかS山さん、あの髪の色はやめた方がいいと思います(笑))、崩壊しなかったです。この日(というかこの定期)の演奏は録音されていたので、おそらくCDになるでしょう。それ買うかというと……うーん(笑) CDで聴くような曲ではないかなあ。

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2006.02.18

N響定期(2月9日)

 今年はじめてのN響定期です。今月はブロムシュテットが指揮です。N響名誉指揮者で唯一現役(?)な、菜食おじいさんです(宗教上の理由で野菜しか食べないらしい)。今回のプロは、モーツァルト・ピアノ協奏曲第23番、ブルックナー・交響曲第3番(第1稿)ですが、ブル3って聴いたことないや……。滅多に演奏されないから。


 前半のソリストは、ラルス・フォークト。曲のせいもあって仕事の疲れで途中落ちかけました(笑) すみません。編成がとても小さいのですが、オケもピアノも柔らかくかつ優美な感じでした。フォークトのピアノは、楽しいけどどこかに蔭があるような音色でした。特に第2楽章なんか、切ない独り言のように感じられました。「モーツァルトはもっと明るくて遊び心がある方がいい」人にはどうかと思いますが。
 そして、ブル3ですが……。これは本当に良かったです! いやあ、この曲面白いですよね。ブルックナー節全開!! て感じで。最後の方出てっちゃったおじさんがいたけど、耐えられなかったか。もう少しで終わるのに(笑) でも、この曲CDだと途中で疲れるかもしれない。第3楽章あたりでとめちゃうかも……。こんな難曲を最後まで笑顔で指揮するブロムシュテットは偉大です。N響もこの日は本当に素晴らしかったと思います。金管はちょっとアヤシイところもありましたが、弦はかなり熱くブロムシュテットに応えていました。こんな演奏会がもっと増えるといいんですけどね。

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2006.01.28

読売日響定期(1月21日)

 この日は全国的に大雪でセンター試験にも支障がでていましたが、夜には東京も小降りになっていました。足元の悪い中をサントリーホールへ行って参りました。この日のプログラムは、セゲルスタム指揮・マーラーの交響曲第2番「復活」です。サンタさん(セゲルスタムの別名)が雪を呼んだか(笑) セゲルスタムは北欧の指揮者・作曲者で、シベリウス、ニールセンなど北欧の音楽を得意としていることで有名ですが、爆演でも有名らしいです。曲も「復活」なので大変期待が持てます。「復活」は録音では聴いたことがあるのですが(準メルクル・N響とか。結構あっさりめ)、生で聴くのは初めてです。


 大柄、というより横幅が大きいセゲルスタムですが、音楽は結構繊細です。ピアニッシモのニュアンスを非常に大切にしています。あと、弦の音が綺麗ですね。綺麗に響くそれぞれの音が重なることで濁るのではなく新たな色を持って響いていく、そんな感じです。また、作曲家というせいもあるのか(前回のスクロバチェフスキもそうだった)、いろいろと独自の解釈を加えているようです。休止によって静寂を効果的に使うとか。第3楽章でちょっと落ちかけましたが(ここはメロディー的には面白いけど、少し飽きてくるところ)、歌が入ってからは本当に劇的でした。メゾソプラノの竹本節子さんの歌が本当に素晴らしかったです。ソプラノの林さんは、……ちょっと目が泳いだり、時々歌っている最中に譜面を見るのに一生懸命に見えたけど、大丈夫か? 栗友会は、待っている間の態度の悪さが丸見えだぜというのは除いて、歌自体は良かったです。フィナーレは合唱もオケも大爆発。本当に大爆演。観ているこっちも放心しました。セゲルスタムすごい! まさしく「マイクに入り切らない」演奏です。こんなんだったらN響やめて読響の会員になろうかなあ。曜日が毎回違うのが困るんだけどなあ。

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2006.01.21

ゲルギエフ指揮・マリンスキーオペラ「『ニーベルングの指輪』より『神々の黄昏』」

 ついに、「リング」も大団円を迎える。休憩含め、6時間の長丁場。腰が痛い。
 この日は、大詰めということもあってかジークフリート役は良い歌手になっていた。人材的に難しいのかもしれないが、できれば同じ役は同じ歌手がずっと歌って欲しい。しかし、ハーゲンはもうちょっと迫力が欲しかったなあ。最後の悪役で、しかもかなりの知恵者で屈折しているという難しい役だからそうそう歌える人はいないのかな。ブリュンヒルデは、最後は息切れしていたがまあ良かったのではないか。またゲルギエフの煽るような指揮も、劇的な効果を生んでいたと思う。


 しかし、演出はかなり不満だ。なんすか、あのグダグダな終わり方は。「黄昏」の大詰めは、炎による世界の浄化(序夜の最後のローゲの予言の通りになり、ヴォータンが予期した通り、神々の世界も神々が生んだ者たちも焼き尽くされてしまう)と、その後に来る「水=元の世界の象徴」がポイントになってくるが、炎の印象が非常に弱いのだ。水の印象だけが強く残ってしまっている。音楽の方は燃えていたが舞台上は全く燃えていなかった。そのため、「浄化」の印象が弱い。
 この「リング」は、舞台装置が非常にシンプルだ。その分、観客の空想力や歌手の表現力が重視されてくる。でもって、歌手の力は残念ながら、舞台の広い空間を埋めるほどではなかった。そうなると客が頭の中で空白を埋めなくてはならないのだが、こちらも残念ながら埋められるほどの知識もないし、この演出や歌手についての「お約束」も共有していない。
 まあ、でも、「リング」を初めて生で通しで見たのでそこそこ楽しかったですよ。舞台の観方の勉強にはなった。


 てことで、会場で売っていたメトロポリタンオペラが6月に行う「ワルキューレ」のチケットを買ってしまいますた。ジークムントがドミンゴって……。もういい年なのに。

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ゲルギエフ指揮・マリンスキーオペラ「『ニーベルングの指輪』より『ジークフリート』」

 4部作のオペラを通しで観ていると、どうしてもだれてしまう部分が出てきてしまう。歌手に外れが出てきたり、演出が何だかなあという感じだったり、演奏が荒くなったりと、何らかの欠点はどうしても出てくる。更に、これだけ長い話だと、あまり面白くない部分がどうしても出てくる。「つなぎ」としては必要なんだけど、単独でそこだけ観ても面白くない話。今回の「ジークフリート」はそんな感じだった。「ジークフリート」をつなぎというな、と言われそうだが。
 「ジークフリート」は確かにいくつかの見せ場がある。刀鍛冶を自己流で行って父の剣を復活させる、その剣を用いて大蛇を倒し黄金を手に入れる、小鳥の囁きに従って育ての親のミーメを殺す、その小鳥によってブリュンヒルデの存在を知り、炎の中を突き進み彼女を妻にする。なかなかな冒険物語である。音楽も、ワーグナーの後期作品なので洗練されている。しかし、なぜかすごくかったるかった。説明調の台詞が多いせいもあるし、演奏も4日間の中で一番乱暴な感じだったというのもあるが、一番の原因は歌手にある。この日のジークフリートとブリュンヒルデは外れだった。ミーメ役が一番良かった(このチクルスで一二を争うくらい良い)。小人のミーメの方がジークフリートより立派に歌っているというのはどういうことか? ブリュンヒルデは寝ている間に太ったかと思ったぞ(笑)。 そして、やはりジークフリート役の歌手が力不足だった。見た目はとても良いのだが、音楽についていけないのだ。明らかに力量不足。


 最近こちらのブログの方が「説得力」と「納得力」について力の入った考察を行っていて、歌舞伎役者の市川團十郎についても考察しているのだが、歌舞伎に限らずオペラにおいても、歌手の「説得力」と観客の「納得力」の問題は重要である。一流の歌手というのは、歌がうまいのは当然だが、ある役を演じる上での「説得力」を持っている。表現力も必要であるが、見た目が役にマッチしているというのも重要である。しかし、歌舞伎でもオペラでも、明らかにオジサンやオバサンがジークフリートのような少年やイゾルデのような若い女性を演じていることがある。しかし「凄い歌手」や「凄い役者」というのは、観客に自分を「少年」や「若い女性」として観せることが出来る。つまり客の「納得力」を喚起する能力が高いのである。
 ジークフリートという役は不条理な役だ。まだコドモというせいもあるけど、一応育ててくれたミーメに対し悪態をつき続け挙句に殺してしまったり、自分の祖父であるヴォータンに斬りかかったり、ずいぶんと勝手な暴れん坊である。アホだから最後にだまされるんだけど。その勝手な少年を「ヒーロー」として客に見せるためには、歌手の説得力と客の納得力が両方必要だ。ワーグナー歌手なんてめったに出てこないが、その稀な人がいったん現れると、世界中でジークフリートやタンホイザーを歌うことになる。かつてのルネ・コロがそうだった。ちなみに、ルネ・コロは来日した際に、原宿でオヤジ狩りに遭って東スポの一面を飾ったことでも非常に有名である(笑)  今回のジークフリートはまだ若い人なのか知らないが、説得力がないのが残念だった。

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2006.01.18

ゲルギエフ指揮・マリンスキーオペラ「『ニーベルングの指輪』より『ワルキューレ』」

 既に、この「リング」は第2チクルスも始まっているらしい。この「ワルキューレ」は結構楽しめると思う(話もよくできてるし)。ただ、実は同じ役でもキャストはちょっとずつ変わっている。例えば、ジークフリートは「ジークフリート」と「神々の黄昏」では歌手が違う。本当なら同じ人が務めるべきだと思うが、この辺が歌手の力量不足なのか。
 

 この「ワルキューレ」だが、原題は「Die Walkure」。女性単数なのか複数なのかが曖昧なのが面白い。女性単数ならブリュンヒルデの物語になるし、複数なら単に「ワルキューレが出てくる」話になる。
 第1幕は、ジークムントとジークリンデの双子の兄妹が出会い愛し合うようになるという話なのだが、双子の兄妹であることが相手を愛する理由になっているというのは、どうなのだろう。あまり例をみないから婚姻の女神フリッカがキーッとなるんだろうな。双子の兄妹が愛しあってしまうというのは歌舞伎の「三人吉三」にもあるが、当事者達はその事実を知らないまま殺されてしまう。血縁関係にあるもの同士がその事実を知らないままできてしまうという話は、演劇や物語でよくみられるが、フツーは事実を知った時に苦悩するものである。まあ、後で悲劇は起こるんだけどね(これは、ブリュンヒルデとジークフリートも同様)。ジークリンデ役の歌手は可憐な感じでとても良かった。
 第2幕は、ヴォータンが奥さんにしばかれて説得されて、最初の決定を覆してしまうところ。大変な恐妻家だったワーグナーの姿と重なる。このオペラは、いろんな種類の女性が出てくるが、一番現実的な女性がこのフリッカである。結婚すると女性は理詰めで男を追いつめてくるぞ、気をつけろ! というメッセージだろうか(笑)
 第3幕はブリュンヒルデを眠らせて「続く」というところなのだが、ワルキューレの衣装ってなんであんなのにしたのだろう? あまり美しくないよなあ。ブリュンヒルデ役の歌手はまあまあ良いと思う。


 しかし、歌舞伎でも通しでみているとと必ず「つなぎ」の話が出てくる。人物関係を明らかにしたり、新たな人物を登場させることで次の山場へとスムーズに話をもっていくための段というのが必ずある。フツーはそういう部分は、単独では上演されない。あまり面白くないから。実はこういう長いオペラでもそういう部分が出てくるようだ。いや、ワーグナーはそういうつもりではなかったかもしれないが、実際にそういう感じになったのが次の「ジークフリート」である。詳しくは次のエントリを待て。

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2006.01.15

ゲルギエフ指揮・マリンスキーオペラ「『ニーベルングの指輪』より『ラインの黄金』」

注:これから上演される第2チクルスをご覧になる予定の方は気をつけてお読み下さい。


 今、東京ではマリンスキー・オペラの「指輪」が上演されている。第1チクルスの券が運良く手に入ってしまったので、仕事や生活を犠牲にして(笑)東京文化会館に通うことになった。やっと「ジークフリート」まで終わった。明日の「神々の黄昏」でやっと終わる。長かった……。お蔭で腰と肩が痛い。
 「指輪」は一応ゲルマンの神話と中世のニーベルング伝説を元にしているが、いつの時代のどの場所の人間にも当てはまるような普遍的な話である。この物語のテーマは「縛り」である。世界を支配する神・ヴォータンは「契約」の神である。契約によって人を縛ることで、世界を支配することができた。その正妻のフリッカは「婚姻」の神で、愛する誰かを縛る制度を司る。全ての言葉は誰かを縛る。予言、呪い、契約、制度など多くの人を縛ることができたものがこの世の勝者となる。しかし、誰かを縛ることは自分が逆に相手に縛られることでもある。例えば、婚姻によって愛する誰かを縛ることができるが、その代わり自分自身も相手によって縛られる。ヴォータンは多くの者を縛ることによって逆に自分自身が多くの者に縛られることになった。その縛りからの解放や逸脱を試みているが、その試みはいつも自分に不幸として跳ね返ってくる。縛りに従属する不幸、縛りからの逸脱に対する罰。そのような因果からの脱出は、「自由な英雄」によってもたらされるはずだったが、今までの因果の糸によって破滅に向かう、という話である。こんなこと言っていいのかわからないが、歌舞伎の通し狂言を見るような楽しみがある。黙阿弥にも匹敵する因果モノだし、近親相姦ありだし、役どころも大体揃っている。


 で、肝心の今回の公演の話に入る。ロシア人による「指輪」はどんな感じなのか。序夜の「ラインの黄金」。セットが何故かアフリカや古代ヨーロッパの遺物風。衣装も全体的にエジプト風というかオリエンタル風だし(京劇とか歌舞伎の影響も少しあるような)。妙にシンプルな舞台や衣装なので、「中世ヨーロッパ」は全く感じさせない。メトロポリタンオペラのような「コッテコテのリアル中世」は全く目指していないようだ。「指輪」だから許されるか。あの「城」は、「棺桶=神々の没落に伴うたくさんの死者の暗示」なのかな。しかし巨人族は明らかに変だったと思うぞ(笑) まるで小林幸子のように衣装ではなく完全に舞台装置と化していたし。
 話としては導入部で短いので書くところは少ない(笑) ローゲ役は割と良かったと思うが、ヴォータンはちょっと弱い(歌手は劇場付きなのかあまり馴染がない)。ゲルギーの指揮は、ちょっとあざといかな(笑) ロシア的な「盛り上げるところは劇的に盛り上げまっせ」という指揮振り。ただ、この日は全体的に良かったと思う。「この日は」というところで、後がどんどん辛くなっているところを感じていただきたい(笑) 正直、昨日の「ジークフリート」はちょっと辛かった……。

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2005.12.31

N響定期(12月24日)

 今年のコンサート納めは、N響の「天地創造」にしました。読響が取れなかったからとは言いません。最近ガッカリすることが多いN響ですが、今回は広上さんが指揮なので期待出来そうです。


 開演前の室内楽は、メンデルスゾーンの弦楽八重奏。若手の大宮さんを売り出そうということらしいです(コンマスの堀さんの秘蔵っ子らしい)。演奏前はにこにこしているフツーの兄ちゃんですが(失礼な)、演奏し出すとすごい! 駿馬天を翔るって感じですね。若くて勢いがあります。演奏が楽しくて仕方がないというのがよく伝わってきます。今後が楽しみです。周りのメンバーも腕利きばかりで、大宮さんを蔭で支えるというより、一緒に熱くなっていたような。そのかわり、弦楽を聴いたという感じはあまり……(笑)
 そして、肝心の「天地創造」ですが……。

広上淳一はやはり凄い。

 これだけの大曲を、あの小さい体をフルに使って指揮していました。合唱は東京音大でしたが、広上さんの母校(+教え子)ということもあって、よく練習されていました。合唱指導者の方が終わった後でガッツポーズをしてたので、会心の出来だったのでしょう。ソリストは……まあ普通。釜洞さんは良かったけど、佐野さんと久保さんは最後息切れしていたなあ。この時期、どこも第九やってるから、歌手の確保は難しいのかしら。オケは広上さんに乗せられて最後まで来たという感じでした(時々乱れてたけど、この日はあまり気にならず)。とにかく、指揮台の広上さんに釘付けでした(振りが相変わらず面白いせいもあるが……)。広上さんの指揮は、見た目よりもずっと緻密です。全体的なバランスを考えて各所を表現しているような印象があります。ハイドンのオラトリオって、オケの編成や曲の構成も比較的単純で(後のマーラーとかに比べたら)、単調になりがちなところを広上さんの構成力と表現力で、曲の力が引き出されていたと思います。こういう曲って指揮者の力量が反映されますよね。もっと広上さんにはN響に来て欲しいです。今の正指揮者は殆ど出てこないので、代りに入れてしまっても良い(笑) アンコールは、「きよしこの夜」の合唱。いいクリスマスでございました。

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2005.12.30

ジャン・フルネ、ラストコンサート(12月20日)

 世界最高齢の現役指揮者であったジャン・フルネ氏が93歳の誕生日を前にして引退することになった。フルネ氏が選んだ引退コンサートの舞台は、日本の都響との共演であった。正直言って都響はジリ貧なオケだ。公務員体質のせいもあって経営のことをあまり考えないで今まで来ていて、レベルは……であるので石原都知事にも嫌われ経費削減され、余計レベルが下がるという状態のオケだ。そんな都響をフルネ氏は最後のコンサートに選んだ。母国フランスで冷遇されていた一方で、日本で都響を足がかりにして活動し、その結果毎年日本国内のたくさんのオケで仕事ができるようになった、ということらしい。昔気質の紳士らしい選択だ。
 フルネの音楽は特に派手ではないが、オケの音が古い時代の独特のものになり、構成もかっちりしたものである。フルネの指揮振りは、いつも淡々としている。フランス人に珍しく(?)、非常に我慢強い方らしい。そのため、職人肌の人間を好む日本でこれだけ受け入れられたのかもしれない。

 最後のプロは、以下の通り。

ベルリオーズ・序曲「ローマの謝肉祭」
モーツァルト・ピアノ協奏曲第24番ハ短調
ブラームス・交響曲第2番ニ長調

 ピアノ協奏曲のソリストは伊藤恵。うーん……と思いつつ、フルネの最後だから許すことにする。仕方ない。他にももっといいのいると思うけど。
 最初のベルリオーズから都響の音が違う。澄んでいて暖かみがある独特の音色。モーツァルトでは途中でアクシデントが。第1楽章終了時に、どこかのバカが足音を大きく立てながら会場から出て行きました。あの足音はわざとやってたね。気分が悪くなったのなら、なるべく音立てないで速やかに出ればいい。この曲が聴きたくなければ、最初から出ていればいい。不満があるのかもしれないが、こういうやり方はひどくないか?(某掲示板ではいろいろ憶測が書かれていたが、ここでは敢えて煽らないことにする。しかし大人げないことこの上ない。いい加減にしろよ。) こういうこともあってか、会場の集中力も途切れてしまった。伊藤恵のピアノも……モーツァルトにしてはお堅い。もうちょっと遊びが欲しい。弾き手のセンスが問われる曲だったなあ。
 最後のブラームス2番は、都響の気迫が強く伝わってきた。時々オケが力負けしそうになることもあったが、何とかフルネの期待に応えようとしていた。この曲は、1番よりも構成がすっきりしている分、最後を盛り上げて終わればそれでよし、みたいなことになりがちで非常に難しい曲だ。しかしこの曲のフィナーレは今まで聴いたこの曲と違ってきこえた。様々な苦難の後にようやく一つの道を見つけてゆっくりと、堂々と歩いていくようなそういう印象だった。フルネの指揮人生もおそらくそうだったのだろう。本当に長い間お疲れさまでした。


 しかし、フルネが引退した今後、都響はますます厳しい。ベルティーニも亡くなってしまったし。来年のラインナップを見たが、残念ながら私が聴きたいのはインバルだけである。オケ過密地である東京でやっていくのは厳しいかもしれないが、魅力的な指揮者を多く呼んで欲しいものである。

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2005.12.18

読売日響定期(12月15日)

 とうとう読響定期デビューを果たしました。前々から友達に「読響はいいよー。結構うまいし、会員券安いし、指揮者とプログラムも凝ってるし」と勧められていたのですが、あまりの曲のマニアックさにひいてました。アルブレヒトの趣味なのかマイナーな曲が多いのと、定期の曜日が固定されていない(木曜なら木曜と固定して欲しい。仕事がある身には辛い)のでなかなか行けなかったのです。
 しかし、今回はスクロヴァチェフスキのブルックナーなので、これは行かずばなるまい。朝比奈隆もヴァントも亡き後、ブルックナー指揮者といえば、ミスターSしかいなくなってしまいました。ミスターSは現在82歳。2007年から読響の音楽監督になることが決定しています。高齢なのに大丈夫か? まだまだお元気ではありますが。(ちなみに、正指揮者は下野竜也だよ! 良かったね、萌え太郎さん!)
 今回は滅多に演奏されない6番ということもあってか、会場は満員とはなりませんでしたが、濃ゆい客が多かったです。休憩時間にずっと蘊蓄語ってる感じの人がやたらと……。ブルックナーだしなあ。
 前半は、自作曲である「管弦楽のための協奏曲」。……えーと、現代音楽はよく分かりません(笑) 難しい曲なのに、オケはさらっと演奏してるなあ。読響は、どこがいいとか言えないのですが、どのパートも平均的に巧いと思います。金管も割と安定感がありますね。木管がちょっと弱い感じがする(新日本の方がうまいかな?)くらい。メンバーは男性が圧倒的に多く、平均年齢が高いように見受けられます。
 後半はブル6。これは……すごいです。ミスターSのテンポ設定が絶妙なのです。第1楽章も途中で、ふわっと音が浮き上がるようなテンポになっていました。圧巻だったのがフィナーレ。少しずつ少しずつ遅くなっていき、よりいっそう、一つ一つの音が明確になっていき、爆発する。これ、わざとやっているらしいのですが、それができる読響とミスターSはすごい。録音していたので、おそらくCDになると思います。これは買いです。
 ただ、フライイング拍手がひどかった! ちゃんと聴いてないで、待受けてるんでしょうね。あれで結構台なしになったぞ。それはともかくとして、今年のコンサートの中で2番目に良かったです(1番は、インバルのマーラーだな、やっぱり)。N響とかはもっと頑張るように。

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2005.12.14

N響定期(12月8日)

 今回の定期の指揮はネルロ・サンティです。今までもN響で素晴らしい指揮振りを披露してきた指揮者です。今回唯一気掛かりなのが、ソプラノ歌手のアドリアーナ・マルフィージ。殆どの方はご存知ないでしょう。サンティの娘です。抱き合わせかよ! 写真だと、父親と顔似てます。ということで、今回のプログラムは以下の通りです。曲数が非常に多いです。

マスカーニ・歌劇「仮面」序曲
マスカーニ・歌劇「わが友フリッツ」〜「涙と苦しみしか残らない」
チレーア・歌劇「アドリアーナ・ルクヴルール」〜「わたしは神のいやしいしもべです」
レオンカヴァルロ・歌劇「道化師」間奏曲
プッチーニ・歌劇「マノン・レスコー」〜「はなやかに着飾っても」
プッチーニ・歌劇「ボエーム」〜「さようなら」
プッチーニ・歌劇「ヴィルリ」〜間奏曲「よう精の踊り」
プッチーニ・歌劇「トゥーランドット」〜「お聞きください」
プッチーニ・歌劇「蝶々夫人」〜「ある晴れた日に」

(休憩)

チャイコフスキー・交響曲第4番

 前半はイタリアオペラ、後半はチャイコフスキーです。前半ですが、マルフィージは生の方がまあ可愛いです(笑) 歌は時々不安定なところも見受けられましたが、きれいな高音を持ってますね。なかなか良かったですよ。
 ただ、オペラ歌手って本当に厳しいですよね。スターが出現するたびに話題になるというのは、それだけスターになれる人が少ないということです。多分、楽器よりもずっと厳しいと思われ。歌や表現力、体力もあるけど、見た目も左右するし(だから、残念ながら日本人がなるのはすごく難しい)。で、マルフィージが今後どうなるかは……いわないでおこう(笑)

 後半のチャイ4ですが、実は私はあまりこの曲が好きじゃありません(笑) 部分部分は非常にいいのだけど、全体的なまとまりが欠ける感じがして落ち着かないのですね。何をしたいのかがよく分からない。5番や6番と比べてしまうとどうしても完成度が低い感じがする。しかし、この日の演奏は非常に良かったです(この曲が好きになれたかというと、……ですが)。流れがブツブツしがちで、単に派手に終わりがちなこの曲をサンティはうまく「切らさず」に持っていってました。
 そして、今回の演奏会で1番印象に残ったことですが、N響でこんなに金管が良かったのは初めてかも。特にホルンが最高。それにしても、かなり人が入れ替わってますねえ(前回に続いて、外国人の方が入ってました。他の某オケから引き抜いたという噂)。トランペット、トロンボーンも、エキストラが入っていて、そのせいで良かったとすると結構悲しいものはあります。木管の安定感は相変わらず(特にファゴットの水谷さんが印象的でした)。オケ全体をみても、世代交代が激しくなっています。指揮者によって出来不出来が大きく左右されるのは相変わらずですが、サンティ、コウトといったいい指揮者が多く来ることを熱烈に希望します。というか、音楽監督(略)

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2005.11.26

N響定期(11月24日)

 最近ちょっと期待外れなことが多いN響定期。この日の曲目は、以下の通り。

モーツァルト 歌劇「フィガロの結婚」序曲
モーツァルト 協奏交響曲
ブラームス 交響曲第4番

 この日の指揮はイルジ・コウト。地味だけどいい指揮者です。協奏交響曲のソリストは、コンマスの堀さんとヴィオラの店村さんです。今までで1番期待がもてます。

 そして、実際期待通りでした。かなりこの日の定期は良かったです。コウトは最初からノリノリです。協奏交響曲は、2人のソリストがクールな表情で表情豊かな演奏をしていました。2人ともN響団員なせいか、オケともよく調和しています。この演奏はとても良かったと思うのですが、客席の反応は思ったほどではなかったな。
 メインのブラームス4番ですが、一般的なブラームスのイメージ(切なくて、繊細でうつうつした感じ)とはかなり異なり、繊細ではあるけど色彩に満ちた演奏でした。最近のN響はなんだか曇った音しか出てなかったのですが、各パートを際立たせながらも変にごちゃごちゃした感じにはならない音を出していました。これは本当に良かった。客席からの拍手もなかなかやみませんでしたし。コウトはやっぱりいい指揮者です。もっと評価が上がってもいいと思うんですけどねえ。

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2005.11.24

チェコフィル来日公演(11月20日)

 ここのところ毎年来日しているチェコフィルの公演に今年も行って参りました。今年はマーツァル指揮のモーツァルトの「プラハ」とマーラーの5番です。デュトワの回も聴きたかったけど、残念ながら日程的に無理でした。垢抜けないが暖かみのある独特の音色で人気があるチェコフィルですが、私も大好きです。2年前にやはりマーツァル指揮で「新世界より」を聴き感動しました。録音も、コバケン含め(笑)結構持ってます。
 マーツァルはチェコフィルの首席指揮者に就任した直後にマーラーの5番を録音しましたが、そのCDはとても良かったので、期待は否が応でも膨らみます。


 が。
 いや、流石にチェコフィルの音は素晴らしいです。弦の流麗さと厚み、金管の安定感が心地いいです。全般的に重心が低い音ですね。「プラハ」はやっぱり良かったですよ。こういう編成が小さい曲だと、実力の高さがよく分かります。
 しかし肝心のマーラーなのですが。どうしても、3月のインバル&ベルリン交響楽団と比べてしまいます。第4楽章は完全にチェコフィルの圧勝です。というか音についてはチェコフィルが流石に勝ってます。ベルリン響は結構最後の方でへたってましたが、チェコフィルは最後まで音が持続します。しかしなんか物足りない。マーラーの解釈はインバルの方が圧倒的に上のように思えます。マーツァルのぎこちない指揮振り(「華麗」とよく書かれてますけど、そうかなあ? デュトワなら分かるけどマーツァルは不器用な感じがする。外見で損しているかもしれないが(笑))を真正面に見ていたせいか余裕があまり感じられない。「こうしたい」という方向性もよく分からない。時々オケが明らかに乱れていたところがあったし。
 インバルのマーラーには、「インバルならでは」というのはあまり強く感じられないのですが、「これがマーラーだ」というのは不思議に強く感じられるのです。心の隅々にすんなり染み渡る音楽ですね。ちょっと今年はマーラー5番はやめた方がよかったか(笑) でもまたチェコフィルが来日したらおそらく行くと思います。

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2005.11.20

N響定期(11月3日)

 相変わらず感想が遅れがちであるが、一応書いておく。今回の定期は、指揮者が2度も変更された。最初は上岡敏之と発表されていたが、その後サバリッシュに変更された。もう日本に来ることはないのではないかと思われていたサバリッシュが来日するということで期待が高まったが(去年の定期は非常に良かったし)、やっぱり体調不良で来られなくなった。アラン・ギルバートに決定した。プログラムは、当初の予定であるメンデルスゾーン「イタリア」とベートーヴェン「田園」のままであった。代役選定については、割と頑張ったかもしれない。外○雄×とか来られても困る。


 しかし、このプログラムは変更した方が良かったのではあるまいか。アラン・ギルバートには両方ともちょっと重すぎる。これらの曲を振るには年齢が若すぎるのもあるし、どうも彼の持ち味に合ってない。後半の「田園」は荒いところはあったが、まあ良かった。木管の首席(特にクラの横川さん)が光っていたし。しかし前半の「イタリア」は、練習不足もあるかもしれないが、全体的にガサガサした感じだった。最後はやたらと盛り上げて終わらせていたが、それでいいのか? 金管は相変わらずグダグダ(特にホルン)なのは如何ともしがたいけど、リヒャルトとかのが良かったかも。
 一応期待の若手指揮者なのだが、このまま佐渡裕のようになりはしないか。やたらと振りというかアクションが派手なだけどアクションの意味が音楽にどう影響しているのかよくわからない指揮者。ちょっと間違うと大味な印象を与えてしまうのだ。N響も大丈夫なのかなあ……。来年ノリントンが来るのは非常に楽しみだけど。

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2005.10.04

バイエルン国立歌劇場「ニュルンベルグのマイスタージンガー」(9月29日)

 先週のタンホイザーに続いて、またもやワーグナーを観に行った。今度は渋谷のNHKホール。紅白用のホールなので音響の悪さには定評がある(笑) というか今回の席が3階の後ろという、N響定期だったら絶対に買わないようなところで(いい席が手に入らなかった)、先週の東京文化会館に比べて音が響かないのが難点だった。
 キャスト等については、えすどぅあさんが詳しくお書きになっているのでそちら参照。私の方は全般的な感想をば。

 まず音についてはいかんともしがたい。「タンホイザー」に比べてオケの音が響かないので、せっかくの演奏も魅力半減といったところ。
 演出についてだが、「現代」の設定となっているところを敢えて深読みすると、「昔風の衣装を着たマイスター達=旧態依然とした権威の象徴」、「コンサートスタッフみたいな服装の徒弟達=新しい世代の象徴」ということなのだろう。テレビカメラが入ったり、チアガールが出てきたりする現代的な「フェスティバル」の風景の中で、敢えて古風なタキシードを着ているような融通の利かないマイスター達が浮き上がるような効果を狙っているのか? ベックメッサーがラジカセを持っていたのは、古い体制の中の人間でありながら、エヴァと同じ「新しい人間」と同じであることを彼がアピールしたかった(オジサンが若者にこびる図としてよくある)と捉えられる。しかしその分「花嫁の結婚相手を歌合戦で決める」とか「騎士が職人の娘を娶りに来ることの特別さ」という現代にはそぐわないところがポコポコ浮いてしまうのだ。一応、「騎士・職人」という階級の問題でなくても、ある特殊な社会に別の社会の人間が入ろうとする時の異様さというのは今でもある(皇室なんか典型例であろう)。しかし、そこまでの一般性を狙ったかというとそういう感じもしない。中途半端。
 また、最後にナチスとSSが出てくる。狭い意味で言えば、ドイツの伝統の危機をオペラで訴えたワーグナーがナチスに利用されたことへの問題提起である。しかし今の日本にも、「日本の伝統的精神の尊重→プチ右翼化」というのは結構見られる。まさか日本向けにそういう演出をしたとは思えないので、世界各地で昔も今も起こっていることなのであろう。「その土地固有の文化や伝統の尊重」というのが極端な方向へのナショナリズムに利用される。そういう問題提起なのだろうがではその打開策はあるのかというと、それは示されていない。なので「言ってみただけ」感しか残らない。


 ザックスの人間像も「悩める哲学者」という感じだった。情よりも「知」が勝るような人間である。エヴァに対して冷たすぎやしないだろうか。「誰からも慕われているけど、そばにいる人間もいない」孤独な感じが出ていた。ベックメッサー役のシュルテは、小者感を出しながらも憎めない感じが出ていた。
 ということで、もっといいホールで聴きたかったというのが正直な感想。

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2005.10.01

バイエルン国立歌劇場「タンホイザー」(9月24日)

 本当にオペラの話を書くことにする。オペラの感想を書く時に困るのが、「どこまでがネタバレなのか」ということである。あらすじは皆が知っているから書いてもそんなに問題ない。歌手や音楽についてはその日の調子もあるので、まだ良い。問題は演出だ。オペラは演出によって舞台の印象は大きく変わる。楽しみにしている人もいるかもしれないから、まだ終わっていない公演の感想は書きにくい。しかし、今日の午後すでに最後の「タンホイザー」が始まってしまっているので、今書くことにする。

 実は2001年にもバイエルンの「トリスタンとイゾルデ」を観に行った。その時の指揮もズービン・メータ。ワーグナーオペラに慣れてないのと、よく分からない演出のせいで、最後まで登場人物が全く理解出来なかった。トリスタンとイゾルデ、なぜかクルーザー船に乗っている。いつのどこの話なんだ? 媚薬で恋に落ちるというのも、下手な喜劇みたい(いや、本当は「既に2人は惹かれあっていて」という複線があるのだが、それが伝わってこなかった)。なぜ2人があんなに死にたがるのかも分からない。マルケ王、もう年寄りなんだから殺しちゃえばいいんじゃないの? それじゃダメらしい(そりゃそうか)。中でも一番よく分からないのが、「トリスタンはそんなにいい男なのか?」というところで、なーんかうじうじしてやたら「死にたい」だの言ってて、でも独りじゃ死にたくなくて、女と一緒にしか死ねないというヘタレ男にしか見えなかった。歌手に問題が有ったのかもしれないが(ワーグナーの主役を歌える歌手は非常に限られている)、その当時の私にはワーグナー物がよく理解出来なかったのだ。

 確かにワーグナーのオペラにはヘタレが多い。この「タンホイザー」だって、人間の世界がイヤになって地下の悦楽の国にやってきたタンホイザーがそれに飽きてしまい、なんだかんだいって理屈つけてまた人間の世界に戻る。「死を覚悟して」だの「もうここには戻らない」だの威勢のいいことを言っていたが、世俗の人間達を見下ろす高慢さからまたつるし上げられて殺されかけたところを女に助けられる。タンホイザーはローマに向かうが、人の世界から受け入れられないからまた地下に戻ろうとしたが、助けた女の死によって、救われて死ぬ、って話である。やりたい放題やっても、誰かのお蔭で救われる(で死ぬ)男の話である。ひどい要約だけど。誰もそんなに強くないし、理路整然と生きているわけではないのだ。人間は矛盾だらけだ。
 そして、今回のタンホイザーだが、やっぱり演出がよく分からない。あのルネ・コロは怒ったらしい。怒るかもしれない。特に最後なんて、タンホイザーもエリーザベトもあまり救われた感じがしない。救われたと思い込んでいるたくさんの巡礼達はいた。しかしその救いや祈りがタンホイザーやエリーザベトに向けられたものではなく、「自分」に向けられていたように見えた。みんな自分さえ救われればいいのだ。確かにそうなのだろう。今の世の中では、祈りによって神に救われるとか幸福になれるというのが信じにくくなっている。宗教がエゴイズムをさらけ出すという事例も私達は多く知ってしまっている。しかし、あれではエリーザベトの祈りもとても虚しい感じがする。あの祈りこそは真実であったはずのに。

 そんな中タイトルロールのロバート・ギャンビルは最後までよく歌った。途中で息切れしかけたところもあったが、ヴォルフラム役のキーンリサイドと共に第3幕をうまく作っていた思う。ヴェーヌス役のマイヤーは流石。
 あと、ワーグナーのオペラは音楽が本当にうまく出来ている。旋律の移り変わり、楽器の変化を聴いているだけでもとても面白い。

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2005.09.22

N響定期(9月1日)

 もう3週間経ってしまったけど、感想録を。
 今年は秋にヨーロッパ公演を行うせいで、N響定期も例年よりもずいぶん早く始まってしまった。まだ外は夏である。クラシックをのんびり聴く気分じゃあないなあ。しかも、曲は以下の通り。

モーツァルト ・歌劇「ドン・ジョヴァンニ」K.527〜序曲、ドン・オッターヴィオのアリア「彼女こそ私の宝」
モーツァルト・歌劇「魔笛」K.620〜序曲、タミーノのアリア「なんと美しい絵姿」
モーツァルト・歌劇「イドメネオ」K.366〜序曲、イドメネオのアリア「海の外なる胸の内の海は」
モーツァルト・交響曲第41番ハ長調K.511「ジュピター」

 定期会員でなければ絶対に来なかったと思う。夏にマツタケご飯を食べるような感じ。

 前半のソリストはリッパート。オケの後ろの席は歌曲を楽しむのに向いていないのかもなあ……。声が遠かったです。それにしても、オペラのアリアのタイトルっていつも笑える。日本語に訳すとおかしいんですよね。オペラの感情表現自体、見ていていつも「ああ、ヨーロッパのものなんだ」と思う。後半のジュピターは普通に良かった。というか、やっぱりやる気のないN響。弦はこの日はとても良かったが、時々菅が乱れていたのが気になった(よく見えるせいかもしれない)。でもまあ、サバリッシュやデュトワのおまけだからいいかと(そういう態度がダメなんだろう)。スタインバーグは別のプロの方が良かったんじゃないかな。他のプロの「幻想」は良かったみたいだし。

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2005.09.07

COOL DRIVE 活動休止

 この間、新聞の「今週発売されるチケット」の欄を見て、COOL DRIVEのライブが1日だけ行われることを知った。場所はSHIBUYA AX。金曜なんて大抵の人は仕事がある日になんで1日だけ、と何となく引っ掛かった。
 最近新曲は出ていない。何か動きでもあったかと思ってオフィシャルサイトをチェックしてみた。

「10月14日のライブを持ちまして活動休止致します。」

 活動休止は、前にもあった。その間にレコード会社も変わり、バンドの名前も変わった。しかし、2年のブランクの後、彼らは帰ってきた。しかし今回は、メンバーのコメントを見る限り、実質上の「解散」だ。COOL DRIVEから離れて新しい活動をしていくと。pre-schoolやL-Rと同じだ(私の好きなのってこんなの多いな(泣))。L-Rは活動休止の末に、結局自然消滅してしまった。pre-schoolも多分pre-schoolとしては帰ってこないだろう。NEMOが「期待に応えられなくてごめんなさい」と書いていたけど、思ったより売れなかったからだとしたら、これほど哀しいことはない(それはないと信じたい)。
 pre-schoolもCOOL DRIVEも私と同年代だ。「オタク」という言葉が世間で認知された頃に中高生だった世代。「オタクで生きていく」ことも選択肢としてありになった世代。勿論、もっと上の世代の人達でも「オタクとして生きている」人はいる。しかし、その覚悟のハードルが一気に低くなったのは、おそらく私達の世代だと思う。
 彼らは、最初はオタクとして楽しく音楽をやってきたけど、オタクとしての美意識の追及と「商業」との軋轢でいつも危ういところにいたというところがすごく似ている。preも「いつ解散するか」と思いつつなかなか解散しないで、「おお、こんなもの作ったんだ!」と世間を驚かせた時にスッパリやめてしまった。今回のCOOLも似たところがある。
 いいバンドには必ずマジックがある。「ソロワークスが意外とつまらないことが多い」ことからも分かるが、メンバーが集まることで絶対1人では出せない音や曲が出てくるのだ。COOLには確かにマジックがあった。NEMOが殆ど曲を作っていたが、出てくるものはあの4人の音だった。今回の活動休止がそのマジックの存在に関わるものであるなら、それはもう仕方のない話だ。でも、またいつか、どこかで。

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2005.08.21

PMFオーケストラ演奏会(8月4日)

 PMFについて一応解説しておくと、パシフィックミュージックフェスティバルという国際教育音楽祭である。かのレナード・バーンスタインが提唱して始まった。「教育」という名前が表す通り、世界各国の若手音楽家の育成を目的としている。また、各国の音楽家の交流をも目指している。
 毎年一流の音楽家や指揮者が参加するので前々から気になってはいたが、本拠が札幌ということで諦めていた。いや、サントリーでも演奏会はするのだが、ゲルギーとかデュトワとかチケットが取りにくい人ばっかりだったのと、日程があわないことが多かったので行けなかった。しかし、今年はどうにか都合がついた。指揮はネルロ・サンティ。最近よくN響に来ている。プログラムは

ロッシーニ : 歌劇「セミラーミデ」序曲
ロッシーニ : 歌劇「泥棒かささぎ」序曲
ロッシーニ : 歌劇「ウィリアム・テル」序曲
レスピーギ : 交響詩「ローマの噴水」
レスピーギ : 交響詩「ローマの松」
レスピーギ : 交響詩「ローマの祭」

とサンティが得意とするものばかりである。
 PMFはアマオケであるのだが、やっぱり個人の実力は高い。そして何よりいいのが、全員本当に真剣で楽しそうであること。サンティもN響の時はムスッとした顔をしているが、この日はニコニコと振っていた。勿論プロのオケに比べて甘いところはあるのだが、音が生き生きとしているのがとても良い。前半の最後でアンコールがあったのは驚いたけどね(笑)

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2005.06.26

N響定期(6月12日)

 久しぶりのN響定期だが、今回の目当ては、やっぱりバーヴォ・ヤルヴィ。今、1番将来が期待出来る指揮者らしい。曲がシューマンの「ライン」なのがちょっと(実は苦手)なのだが、結構楽しみにして見に行った。
 最初はトゥールの「アディトゥス」。結構面白い曲だった。時々(大概?)ノリが悪そうなN響からこんな音が出るなんて。
 次はトラーゼをソリストに迎えて、プロコフィエフの第3番。これは本当に良かった。今回最大の聴き物。トラーゼ、写真と全然違うんですが(笑) まるまると太っていて、「おい、こんなんで大丈夫なのか?」と内心思ったが、見かけによらず音がリリカルなんですよねえ。芯がしっかりした演奏なのに、繊細で流麗。オケもトラーゼのピアノの音と調和していた。そしてアンコールの「ピアノソナタ第7番」は更にもっと素晴らしかった。ダイナミックなのにとても切ない。思わず帰りに寄ったHMVでCD探しちゃったよ。置いてなかったけど、指揮がゲルギーなのに。また見たいよ、トラーゼ!!
 最後はシューマンの「ライン」。苦手と言って悪かった。まだ若いからこういう曲は無理だと思っていて悪かった。ヤルヴィの指揮は、全体的な構成に気を配りつつも、細かいニュアンスを非常に大事に大事に表現するスタイルだと思うのだが、「ライン」の叙情性をひき出していた。N響の「ライン」というと必ずサバリッシュが引き合いに出されるようだが、往年のサバリッシュと比べるのは酷ではないか? 齢40にしてこれだけのことができるヤルヴィ、恐るべし。時々オケがついていけないところもあったが、今後も客演して欲しいものである。正直言って、同じハゲでもエッシェンバッハよりずっと上(笑) 

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2005.06.21

ここにもバトンがやってきた! ヤア! ヤア! ヤア!

ブログ界だけでインフルエンザ並に大流行のミュージカルバトン。最近週1の更新しかされないこの「日々カタログ。」にもcaramei往復書簡のmapleさんからやって参りました。
 せっかくのご指名なので答えてみます。まあ大体予想通りな回答ですが。


1.Total volume of music files on my computer (コンピューターに入ってる音楽ファイルの容量)
5ギガぐらい? 面倒で落としていないCDはたくさん。完全にiPod用ですね。

2.Song playing right now(今聞いている曲)
今は聴いてない。通勤時に電車の中で聞いた最後の曲はキリンジの「太陽とヴィーナス」(笑)。

3.The last CD I bought(最後に買ったCD)
2枚あって、1枚はグレイプバインの「Everyman, everywhere」。もう1枚はスキマスイッチの「全力少年」。どちらも大好き。

4.Five songs(tunes) I listen to a lot, or that mean a lot to me (よく聞く、または特別な思い入れのある5曲)
参ったなあ。その時々によってよく聞く曲違うからなあ。特別な思い入れのある曲かあ……。5曲に無理矢理しぼってみると、
・恋とマシンガン(フリッパーズギター)
 懐かしや。最近もコマーシャルで使われてましたな。高校時代の入れあげっぷりを思い出し(例:「小沢と小山田」に投稿するとか)、こっ恥ずかしい気分になります。
・「ある日、駅で」(高野寛)
 完全に私の音楽的趣向を形成してしまった人。中学以降、私が聴いてきた音楽は、大体この人が関係していることが多いのに驚きます。別に彼が関連していることを知って選んだわけではないのに、私が好きな音楽の裏には大体この人がいる。ドクター中松のことはいまだに尊敬しているのだろうか?とか帝国ホテルで挙式というのはどうだろう?とか思うのは、愛ゆえと思ってください(笑) 
・「Rock and Roll Highschool」(preschool)
 とうとう、というかついに活動休止したプリスクール。彼らの音楽を聴いていると、同年代のオタクの辛さが痛感されます。1番好きな曲なんだが、「First Heaven」の評価はなぜいまいち? 
・「嫌われ者の本能」(cool drive)
 クールドライブの裏ベストを作れと言われたら、絶対に上位に来ると思われます。仕事が最高潮に辛かった2年前、狂ったようにこの曲をリピートし続けてました(苦笑)
・「十四時過ぎのカゲロウ」(キリンジ)
 この曲の季節になってきましたね。兄が時々見せる(時々ね)ストイックさと弟のクールな歌声がとても良い。


 そして、最後の問いは、誰にバトンを渡すかということなのですが……、

だれにも渡しません。

 いやあ、友達いないからさあ(笑) リアルな友人の場合、別にこんな形で尋ねる必要ないしね。答えるだけ答えて終わり。

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2005.05.24

エッシェンバッハ指揮・フィラデルフィア管弦楽団(5月22日)

 久しぶりにサントリーホールへ。フィラデルフィア管弦楽団を生で聴くのは初めてである。実は初めて海外に行ったのはフィラデルフィアで、空港でずっとフィラデルフィア菅の録音が流れていたのが印象的だった。フィラデルフィアの誇りなんだろう。今回の指揮はエッシェンバッハ。前に北ドイツ放送響で聴いたが、その時の印象が良かったので、非常に楽しみにしていた。

 前半は、ベートーヴェンのピアノコンチェルト第4番。ソリストはランラン。とりあえず髪切れとつっこんでみたが、彼の演奏は本当に良かった。オケとの相性もよく、いいものを聴いたなあと思った。エッシェンバッハは元ピアニストでこの曲のことを知り尽くしているからかもしれない。ランランは20年後が楽しみである。
 メインは、マーラーの5番。最近マーラーばっかり聴いている気がするが、すごく好きなわけではない。単にどこのオケもやり過ぎなだけ。さて、肝心の音楽なんだが……。

 エッシェンバッハ、いじり過ぎ。
 
 まずテンポ設定が不自然。急に遅くなったり早くなったりする。オケ自体は本当にうまいのに。前の北ドイツ響ではブラームスの4番だったのだが、この時は曲を自然に聴かせていた。曲の良さを無理なくひき出していたと思う。しかし、今回のマーラーなあ。コバケンを連想した。まあ、5番だし、オケがうまいから普通にやれば成功する。でも、前のインバル・ベルリン響の方が断然上。ベルリン響の方がオケの技量自体は下なのに、インバルの持っていき方が非常にうまかった。前にも書いたが、インバルの指揮は「インバルらしさ」という個性はあまり感じられないのだが、「これがマーラーなんだ」という感慨は強い。まあ、インバルと比べるなと言われるかもしれないけど。今年の秋もチェコフィルが来るが、ここでもマーラー5番らしい。これは期待出来そう。

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2005.04.24

N響定期(4月21日)

実はN響のB定期に行くのは初めてである。3月までの職場は遠かったので、仕事の後に7時にサントリーホールに着くなんて出来なかったのだ。4月からは出来るようになったぜ(やり過ぎないように)。


 この日はアンドリュー・リットンが指揮。申し訳ないけど全然知らなかった。外見は……、見たことないけどどこかで見たことがあるような風貌である。
 前半はフェルツマンをソリストに迎えたベートーヴェンの「皇帝」。フェルツマンのピアノの音が素晴らしかった。細かいミスは多いのだが、華やかなのにどこかクールな音色である。繊細なピアニッシモも激しいフォルテッシモも自由自在。また聴いてみたい。
 後半は「英雄の生涯」。これは本当に良かった!! リットンの指揮はダイナミックで、この曲の持つドラマ性をひき出していたと思う。やっぱりNHKホールはダメだ(笑) 金管はこの日も良かった。特にホルンの松崎さんは相変わらず素晴らしい。この日はヴィオラの首席奏者の川崎さんが最後だった。本当に長い間お疲れさまでした。

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2005.04.17

N響定期(4月10日)

 もう1週間経ってしまったが、一応感想を。いつもそうかもしれないが、今回は特に「個人の趣味」が反映されていると思う。

・開演前の室内楽
 オーボエ・クラリネット・ファゴットの三重奏。オーボエの池田さん、相変わらず音色と容姿が美しい(間近で見たけどキレイだったですよ〜。って私はオッサンか。一応年同じです)。木管の暖かい響きで和む。というか、これがこの日一番良かったかも(笑)

・本編
 この日の指揮は準メルクル。期待の若手指揮者なので、こちらもものすごく期待して臨むわけである。

ハイドン/協奏交響曲 変ロ長調 Hob.I-105
 やっぱりマロさんはすごい! 美しいバイオリンの音色がホールに響き渡る。ファゴットはNHKホールだと不利か(音が響きにくいから)。水谷さん可哀想。手堅かったが、もう少しソリストが自己主張するのを見たかったなあ。

リスト /ピアノ協奏曲 第1番 変ホ長調
 この日のソリストは、横山幸雄。最初は「なんて荒い演奏なんだ」と思ったが、最後の方になると妙に癖になる。不思議な魅力がある。独特の力強さと華やかさがある。でもリストのこの曲はちょっと彼の持ち味とは違うと思う。前に、コチシュで聴いてしまったからかなあ。あれは本当に良かった。別の曲で聴いてみたい。

バルトーク/管弦楽のための協奏曲 Sz.116
 この日の金管は本当に良かったです。ビックリした。弦はちょっと……。あ、ビオラパートは素晴らしかった。もう少し爆発してもいいのでは。

 全般的に手堅くて、硬質な演奏でした。その代わりおとなしい感じでした。「普通っぽい」んだ。若いんだからもう少し自由にやってみてもいいのでは?とか余計なことを思いました。
 

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2005.03.22

インバル指揮ベルリン響(3月15日)

 先週に続いて、インバル&ベルリン響を聴きにサントリーホールに行きました。この日のプログラムは、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲(ソリストは川久保賜紀)とマーラーの5番。ポピュラーな曲のせいか、川久保さん目当てか、先週よりもお客さんは格段に多かったです。S席も殆ど埋まってるし。
 前半のメンコンですが、……なぜかソリストが弾いてない部分でオケが少し乱れてたような。川久保さんは確かにうまいと思います。ジャケ写真よりも子供っぽい可愛らしい人でした。ただ、何となく、「無難にこなした」ような感じもしました。オケ、後半に向けて少し手を抜いてたか?(笑)
 メインのマーラーの5番ですが、インバルが先週と打って変わって元気でノリノリでした。熱は治ったのかな。この曲が本当に本当に好きである様子が伝わってきました。第4楽章、指揮台でずっと歌ってたし(笑) 前回の9番とは違って、積極的にオケに「歌わせよう」、「細かいところまで表現させよう」という意思があったように思います。インバルが指揮するマーラーって、「インバルならでは」という個性には乏しいかもしれません。しかし、聴き終わった後で「これがマーラーなんだなあ」という強い感慨が残るのです。この日の5番は、この曲自体が持つ美しさとドラマ性に溢れていたと思います。本当に来て良かった。

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2005.03.11

インバル指揮ベルリン響「マーラー9番」(3月7日)

 サントリーホールに、インバルのマーラー9番を聴きに行った。実は生でインバルを観るのは初めてである。N響アワーでは何度か見たことがあるが、端正な指揮と曲の構築の緻密さが特徴的だった。会場に入ると、S席は半分も埋まっていないような状況だった。チケット代が高すぎるのか(翌日の武蔵野市の公演は、S席は7000円で、売り切れだったそうだ。ホールが全然違うから、比べてもしょうがないけど)、月曜の夜からマーラーの9番というのは辛いからか。大体、マーラーの9番はダメな演奏でも辛いが、名演でもぐったりくるような曲である。美しいフレーズの合間合間に響く不協和音。聴衆の緊張や不安を煽るように音楽が続く。
 ベルリン響は、「巧い」オケではないかもしれないが、独特の厚みのある音を出していたと思う。そして、この日のインバルは、楽章の合間にしばし椅子に座って水を飲んでいたりしていた。どうも熱があったらしい。体調は万全というわけではなかったが、熱演だった。特に、第4楽章では、全てを押し流すような大きなうねりと浄化を感じさせた。素晴らしい演奏だったが、やっぱりぐったり来た。
 来週は5番も聴きに行く予定である(結構行ってますね)。こちらの方も本当に楽しみである。

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2005.02.27

ミシェル・コルボ指揮「マタイ受難曲」(2月12日)

 サントリーホールに「マタイ受難曲」を聴きに行った。実は去年も聖トーマス教会合唱団とゲヴァントハウス管弦楽団で聴いていて、何も曲について知らなかったにも関わらず本当に感動した。後ろに30代のイタい女性3人組がいて、「ジーザスクライストスーパースター」の話をしているのがうざかったけど。劇団四季かよ。一方、こちとらは、太宰の「駆け込み訴え」(←名作でありますよ)を思い出していたが、それもイタいか。それはともかく、長い曲なのにドラマ性があって、最後は胸が熱くなるのだ。
 今年は、ミシェル・コルボ指揮、ローザンヌ声楽アンサンブル、ローザンヌ弦楽アンサンブルによる演奏を聴いた。まず合唱だが、去年のボーイソプラノによるものに比べると、大人なのでうまいはうまい。しかし、意味が分かりすぎているせいか色がつきすぎている感じもする。少年が、深い意味が分からないなりに一生懸命歌っている方がいいところもある。難しい。イエスのマルコス・フィンクが良かった。演奏についてだが、去年の方が「宗教音楽」の色彩が強く、コルボのものは「マタイ受難曲」の持つドラマ性を強調していたように思える。そこまでしなくてもいい曲なのに、とちょっと感じるところもあった。個人の好みの問題ですね。最後まで聴くとやっぱり感動してしまうんだけどね。「マタイ受難曲」自体は、演奏される機会があったら絶対に聴いた方がいい。演奏機会が多いようで意外と少ないし、CDで聴くよりずっと面白いので。

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2005.02.03

マツケンサンバ in 東京ドーム

 先日「マツケンサンバ切手」が発売された。詳しいことはここに書いてあるが、とにかくすごい。↓だってこんなんですよ。

 特製ホルダに80円切手10枚で3000円というのは高いのか安いのか。そして、これ切手というからには、

封筒に貼って手紙を送れる

わけだ。しかし、誰にこの切手を貼って手紙を送ればいいんだろう? 私はこの切手が貼ってある手紙見たら狂喜するけどね。あと、上様のお顔に消印押されちゃうのもどうかと思う。基本的に保存用だからそういう細かいことはいいのか。


 去年から続くマツケンサンバブームだが、とうとう、こんなイベントまで開催されることになった。

マツケンサンバ in 東京ドーム

 東京ドームでのイベントといえば、SMAPなどのコンサート、新日本プロレスの大会(ちなみに「闘強導夢」と呼ばれている。苦笑)などビッグイベントばかりである。それにマツケンサンバは並んでしまった。5万人の客が来ることが予想できないと、こんなイベントは成り立たない。上様と腰元ダンサーズ、そして数万人の客がいっせいにマツケンサンバを踊る。これって一応ダンスイベントなの?(笑)
 ちなみに、2月には「マツケンサンバコンテスト」があって、優秀者や優秀チームはマツケンのバックダンサーとして踊れるらしい。年末に一家揃って「マツケンサンバ」の振りの練習をしたという萌え太郎さん、いかがですか? 

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2005.01.12

「ベートーヴェンは凄い 全交響曲連続演奏会」(12月31日)

 この演奏会は、ベートーヴェンの9つの交響曲を1日で演奏してしまおうという演奏者にも聴衆にも恐ろしい企画である。実は2003年の年越しにも行われていて、このときには2つのオケと3人の指揮者が交代で演奏した。しかし、今回は指揮者は、岩城宏之氏(72歳)たった一人である。もし、万が一何かあったときはどうするのだろう? そしてオケはN響メンバー中心のオケで、基本的に弦は交代なし、管はさすがに何人かで交代する(それでも体力的には相当きつそうだった)というすごいことになっていた。
 それにしても、全部の交響曲を1日で演奏する企画でちゃんと成り立つのって、ベートーヴェンくらいである。シューベルトとかチャイコフスキーとかだと最初の方はよく知らないし、マーラーだとみんな死ぬし。みんなが大体曲を知っている上に、途中に山あり谷あり、更に第9が最後に来るから、ちゃんと最後が盛り上がるという。「仮名手本忠臣蔵」の通しみたいだ(「義経千本桜」だと最後の盛り上がりはそうでもないので。←猿之助劇団は除く)それだけでもベートーヴェンは凄い。
 この日実は私は風邪で2日寝込んだ後だけどチケットがもったいないので(貧乏性)、一応行くことにして途中で疲れたら帰ればいいか、という感じだった。しかし、結局会場の熱気のせいで最後までいてしまった。最初から最後までずーっと演奏のテンションが高かった。ちょっとくらい気を抜くんじゃないかとか思ってたのよ。すみませんでした。

 指揮台の上で72歳の人がずっと振ってるのに、風邪ごときで帰れるか。

 それにしても、「英雄」が終わってもまだ6曲あるとか、「運命」と「田園」聴いてもまだ7番が続くとか、普通の演奏会では考えられない話だ。それらの曲ってメインで「もうこれ聴いて満足して帰る」というのが普通だから。1曲1曲が濃いから、お腹いっぱい。本当にベートーヴェンは凄い。 さて、この企画、今年もあるのだろうか? さすがに岩城さんは難しいだろうが、他にチャレンジする人が出てくるのかいな。

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2005.01.11

新日本フィル第九演奏会(12月25日)

 もう2週間経ってしまいましたが。トホホ。

 一応毎年年末には第九に行ってます。前回は東フィルでした。理由は歌手が良かったからです。その前はN響でした。聴いている途中で熱が出たのであまり覚えてません(ひどい)。今回は指揮者がボッセなので、新日本にしました。選択のポリシーは特にありません。
 この日はコンマスがゲストだったのでそれが残念です。豊嶋さん見たかったなあ。新日本は、弦と木管がうまいです。古部さんサイコー。しかし、時々音がさらさらと流れてしまうことがあるのと、金管がちょっと…なのが欠点なのですが、この日はボッセの手堅い指揮もあって、引き締まった音を出していたと思います。古部さんステキ(いい加減にしろとか言われそうなのでこの辺でやめておきます)。ただ歌手がちょっとね。もう少しいい歌手を確保できなかったのでしょうか。この時期はどこも第九やってるから争奪戦になるのは分かるのですけど。
 実は大晦日には、ベートーヴェン全交響曲演奏会に風邪ひいてるのに行ったので、2004年の後半はベートーヴェンばっかり聴いてた感じですわ。もうお腹いっぱい。

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2005.01.07

N響定期(12月19日)

 もう古い話になってしまったが、備忘録がてらに。

 このN響定期、指揮者のシャルル・デュトワがなんとリューマチのため降板してしまった。実は、私は何年か前のN響定期の後でデュトワにサインをもらいに行ったことがある。その時の私は非常に体調が悪そうに見えたらしく、彼は握手をしながらこのように声をかけてくれた。

「オダイジニ」

 気を遣わせてしまったようだ。嘘みたいだけど本当の話。今度は私が彼にオダイジニと言わなくてはならない。しかもソリストも体調不良で変更と大変なことになってしまった。
 代りの指揮者は、ルドルフ・バルシャイ。プログラムも、ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」がモーツァルトの「ハフナー」に変更されてしまった。

 正直言って、デュトワで聴きたかった。いや、バルシャイも枯れた感じで悪くなかったのだが、ストラヴィンスキーなんかはデュトワの方が面白かったのではないかと。バルシャイ自体はもう1回別のプログラムで来て欲しいところ。
 この日の目玉は、ベートーヴェンのヴァイオリンコンチェルト。ソリストは、今売り出し中(らしい)のハチャトゥリアン。彼は本当にすごい!ベートーヴェンにしては、ちょっと繊細すぎるのでは、と思うところもあるのだが、ロマンティックな音が印象的だった。まだ19歳なので、10年後が楽しみである。

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2004.12.02

シュトゥットガルト放送交響楽団来日公演(11月28日)

 サー・ロジャー・ノリントン率いるシュトゥットガルト放送響の公演に行って参りました。場所はみなとみらいホール。東横特急のおかげでずいぶん近くなったもんだ。地下鉄の駅降りてすぐにホールあるし。
 ノリントン自身は、去年のタングルウッドで聴いたことがあったが、セイジオザワホールの音響と宿から会場まで1時間かけて歩いてきた疲労であまり記憶がない。しかし、最近流行りのピリオド奏法の先駆者として有名であり、去年出したベートーヴェン全集も非常に好評である。
 この日のプログラムは「コラリオン序曲」、「運命」、「田園」であったが、結論から言うと行ってよかった。非常に独創的な音楽で、特に「運命」は今まで聴いてきたものとは全く違っていた。しかし、破壊的なものかというとそうではなく、曲が持っている躍動感を強く感じさせるような演奏だった。あまりに緊張しすぎて、後半疲れてしまったけど(笑) あと、ノリントンがなぜか指揮している途中で客席の方をやたらと向くのはいったい何だったのだろう? 管が時々荒かったりもしたのだが、曲全体の流れやうねりの方がそれを上回っていた。これほど個性的な音楽を産み出す、ノリントン&シュトゥットガルト放送響、恐るべし。

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2004.11.25

コバケンよ、どこへ行く

 最近、クラシック関係のエントリが多いが、芸術の秋ということで許して欲しい。今日は、コバケンについて書いてみる。
 コバケンとは、指揮者の小林研一郎氏のことである。現在日本フィルの音楽監督であり、その熱い指揮ぶりと情熱的な音楽は、多くのファンをひきつけている。と通り一遍の解説をしてみた。確かに、彼の音楽で感動したこともあった(過去形)が、最近の彼の音楽は変わってきているように思える。実は今年の「日本フィル音楽監督就任コンサート」に行った。このブログには何もそのことについて書いていない。理由は、書くべきことは何もないからだ。「もうしばらくは行かねえ」と思ったものについて何を書けと?
 そして、今回の「チェコフィル来日公演」。去年はマーツァルの「新世界より」に心を揺さぶられ、フルネの「ボレロ」に感じ入った。今年は、マーツァルとコバケンが指揮なのだが、都合があってコバケンのだけを観にいった。本当はマーツァルも聴きたかったけどね。チェコフィルなら大丈夫だろう、と期待していたのだが、最後はちょっと「?」だった。
 いや、最初の「モルダウ」は非常に良かったと思う。ちょっと粘りすぎと思わなくもなかったが、チェコフィルの厚みのある音はさすがだと思った。しかし、最後のドヴォルザークの8番。やりすぎではないだろうか? テンポがかなりゆっくりで、しかも、チェコフィル独特の粘りのある音だと、時々重たく感じるところがあった。もっとサラッと演奏した方がいいのに、といいたくなるところもあった。好みの問題といえばそうかもしれない。しかし、本当にしばらくはコバケンは(どうでも)いいやと。いつまでもカレーとかハンバーグが大好きな子供でいられないっちゅうことか? 私が何を言おうとも彼には固定ファンがついているから、どうでもいい話なのかもしれないが、ただ、彼のファンは本当に彼のことを思っているのかと疑問に思うことは結構ある。

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N響定期(11月20日)

 最近N響ばっかり行ってる感じですが、11月のC定期も行って参りました。しか