73 posts categorized "お笑い"

2008.05.10

ビクター落語会(4月19日)

 この日のビクター落語会は,柳家さん喬,柳亭左龍の親子会。左龍がマクラで話していたが,親子会は初めてなんだそうだ。「今回が最初で最後かもしれませんよ〜」と言っていたが(笑) このビクター落語会は,落語協会所属で,かつ古典落語の実力者を揃えるようにしているらしいのだが,左龍はいいと思いますね(さん喬は既にレギュラー化している)。二つ目時代(「小太郎」だった頃)にも1回見たが,その時も上手いと思った。真打になってからはますます噺も体格も風格が出てきて何よりである。

 最初は前座。小ぞうの「金明竹」。先月は市朗で聞いたが,小ぞうの方がしっかりしているかも。
 左龍の「ふだんの袴」。これ,前に鈴本で市馬で聞いた。左龍のいいところは,どこか芝居っぽさがあるところだ。もしかすると歌舞伎が好きなのかな。登場人物を描く時に,写真やビデオのように表現するんじゃなくって,少しデフォルメする。というのはどの落語家もやっているが,そのデフォルメの仕方が歌舞伎っぽい感じがする。あと,市馬の時は「調子に乗ったバカ」に焦点を当てていたが,左龍だと「調子に乗ったバカを見て困惑する人達」に焦点を当てることで,お調子者のバカさを表現していたようにみえた。
 師匠のさん喬は,おせつ徳三郎の「花見小僧」。休憩を挟んで「刀屋」。さん喬は,映画というかリアルな演劇というか。天然ボケ気味の主人がいい。あと,ちょっとしたところでホロリとさせるのも上手い。後半の「刀屋」は,少し最初が重かったか。頭に血が上った若者に対して,刀屋が「昔ながらの忠義」を説くというのは今の時代にどれだけ通じるのか。
 で,ここまでで会場はかなりお腹いっぱいになってしまった。さん喬にじっくりたっぷり語られてしまったから(笑)
 トリに出てきた左龍は「もういいって感じですね」と自分でも言っていた。「前があまりたっぷりやるとやりにくい」とも。しかし,こんな雰囲気で始まっても,左龍にはじわじわと客を集中させる力があった。噺は「淀五郎」。
 マクラは,さん喬ネタ。師匠は踊りが好きで,昔国立劇場の舞台に立って「藤娘」を踊ったことがあるとか(笑) この一門は喬太郎もそうだけど,師匠ネタ好きだよね。
 「淀五郎」だが,最初に登場人物と当時の歌舞伎がどういう興行をしていたかを簡単に説明してから始めた。師匠との親子会でこの噺を持ってきたところに,左龍の並々ならぬ決意が感じられる。自分を取り立ててくれた人から,心無い(ようにみえる)仕打ちを受ける。一体何がダメなのか。懇意にしていた他の人物からの言葉で,自分に欠けていたものや自分の慢心に気付く。最初はちょっと疲れた感じだった会場も,みるみるうちに噺の世界に引き込まれていく。左龍,恐るべし。今後もビクター落語会で定期的に呼んで欲しい。

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2008.04.11

ビクター落語会(3月28日)

 三田の仏教伝道会館で行なわれているビクター落語会。この会のコンセプトは,ビクターだからか,映像作品として古典落語を収録することらしい。ビクター落語会のDVDをいくつか購入したのだが,師匠方の気合が伝わるようで面白い。ただ,この仏教伝道会館が分かりにくくて困る。全く目印がない地域なので。
 今回は,古今亭菊之丞と柳亭市馬の二人会。菊之丞は,前から生で見たかったのだ。あと,両者ともに古典落語を中心にしているが,芸風は違う。菊之丞は華やかできれいで色気のある芸風で,市馬は逆に男らしいカラッとした芸風。
 開口一番は,前座の市朗の「金明竹」。よく覚えましたなあ(笑) 次は市馬の「のめる」。これはインターネットで配信されていたのではないか? こういうバカバカしい噺は本当に面白い。
 菊之丞の「三味線栗毛」。菊之丞はテレビで落語をするときは少し声を変えていると思う。実際の高座は,意外とオッサンくさい声である(笑) しかし,本当に華があるなあ! この日の「三味線栗毛」だが,最後は錦着は酒井雅楽頭に会え,検校にしてもらえるという筋だった。錦着は少し年配で,あまり世の中に対して多く期待していないような存在という風な造形だった。涙の人情噺になりそうでならないようにしてしまうのが,この人の持ち味か。
 仲入り後は,菊之丞の「紙入れ」。マクラは「寝取られ小咄」だったか? こういう噺は本当に上手いなあ〜。そして,何がすごいって,人物によって全く顔つきが違うところ。女性が特にうまい。
 最後は市馬の「三軒長屋」。こういう荒っぽい男がたくさん出てくる噺がよく似合う。長講一席,演者の足がしびれるほどの大熱演。大満足の2時間半,この会すごくないか?

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2008.04.01

知識不足か文章力不足か

最近,落語の話ばかり書いている。そろそろ「落語」カテゴリでも作った方がいいのだろうか。
 それはともかく,先日,笑福亭鶴光の元弟子が破門の腹いせに落語芸術協会を脅迫したというニュースがあった。そのニュースに対する産経新聞の見出しが非常に気になった。
 産経新聞といえば,「正論」(笑)路線で有名であるが,その割に日本の文化はあまりよく知らないようにみえることでもちょっと有名である。例えば,産経抄(産経の1面のコラム。朝日の「天声人語」みたいなもの)に「日本人が仏像をありがたるようになったのはフェロノサのお陰である」みたいなことが書いてあった。産経新聞にとっての日本の歴史というのは,神話時代と明治以降しかないのだろうか。どうして円空仏が方々にあるの? 産経新聞は「モーストリー・クラシック」を出しているから,「うちはクラシック音楽専門やさかい,仏像なんか知らんがな。」てことかもしれないけど。でも,音楽ページも結構ヌルいよ。
 
 そんな産経様が書いた,鶴光の元弟子のニュースは以下の通りである。

破門逆恨みで落語協会を脅迫 鶴光さんの元弟子を逮捕

師匠の笑福亭鶴光さんに破門されたことを逆恨みし、社団法人「落語芸術協会」を脅したとして、警視庁新宿署は、脅迫の疑いで、川崎市多摩区枡形、無職、出来谷純一容疑者(35)を逮捕した。「脅迫電話を掛けたのは間違いない」と供述している。

 出来谷容疑者は昨年3月、笑福亭鶴光さんに弟子入り。笑福亭乃光(のこう)の芸名で前座を務めたが、寄席の楽屋で兄弟子を殴ったことをきっかけに同7月に破門されたという。

 調べでは、出来谷容疑者は今年1月17〜29日までの間、8回にわたり、携帯電話で落語芸術協会に電話を掛け、女性職員(26)らに「全員殺すぞ。おまえらも巻き添えや」などと脅迫した疑い。危害はなかった。協会によると、楽屋や兄弟子らにも脅迫電話があったという。


 見出しでは「落語協会を脅迫」と書いてあるが,本文では「落語芸術協会を脅迫した」とある。つまり,見出しの「落語協会」というのは「”落語芸術協会”の略称」あるいは固有名詞ではない,単なる「落語家の協会」という意味で記者が使っているということが推測される。
 
 
 
 ……あの,落語家の協会って2つあるんだよね。1つはこの事件で問題となった「落語芸術協会」,もう1つは「落語協会」である。この2つの協会は全く別組織である。例えば笑点メンバーだと,歌丸師匠(芸協会長),小遊三,昇太が芸協所属で,たい平,木久扇が落語協会所属である(好楽と楽太郎は円楽一門)。だから,落語協会と書いてあったら,落語芸術協会を指すことはまずあり得ない。

 例えば,朝日(+日刊スポーツ)は次の通り。
鶴光の元弟子が落語芸術協会を脅迫逮捕

落語家笑福亭鶴光(60)に破門された元弟子が、落語芸術協会に「殺すぞ」などと脅迫電話をかけたとして25日までに警視庁新宿署に逮捕された。

 逮捕されたのは無職出来谷純一容疑者(35)。鶴光の熱烈なファンで、仕事場で出待ちをするなどして、去年5月に弟子入りした。笑福亭乃光(のこう)の芸名で見習い修業をしていたが、7月に出来谷容疑者が寄席の楽屋で歌を歌ったため、兄弟子が注意。口論となり兄弟子を殴るなど暴力を振るったため、破門を言い渡されたという。

 新宿署の調べでは、出来谷容疑者は今年1月、8回にわたり、自分の携帯電話から新宿区の協会の事務局に電話をかけ「全員殺すぞ。おまえらも巻き添えや」などと脅した疑い。「恨みがあった」と容疑を認めている。ほかの落語家や寄席にも嫌がらせ電話があり、協会は今年2月に新宿署に被害届を出していた。

 鶴光はこの日、都内で「落語芸術協会、落語家のみなさん、ファンに申し訳ない。私が代わっておわびしたい。彼には反省して新たな人生を見つけてほしい」とコメントした。修業期間はわずか2カ月で、性格や人物など今後理解を深めていこうという時期だったようだ。

 協会会長の桂歌丸は「破門になったのを逆恨みするなんてとんでもないこと。お間抜けなのは、自分の携帯電話で掛けてきて、上方なまりもそのまま。私のところまで電話はありませんでしたが(寄席の)席亭さんにまで迷惑を掛けたので被害届を出した」などと話した。

 落語芸術協会は落語家や漫才師、講談師ら約180人が所属している。鶴光は上方落語協会、落語芸術協会両方に所属しており、主に東京の寄席で活動している。

 ちゃんと「芸術協会」と書いてある上に,歌丸師匠のコメントまで載せていて面白い記事となっている。朝日か日刊には詳しい記者がいるんだろうな。新聞記者って結構演芸に詳しい人多いものだし。産経にはいないみたいだが。
 ということで,産経はなぜあのような見出しをつけたのか。協会が2つあることを知っていたら,おそらくあのような見出しはつけないだろう。記者が演芸を知らないのはしょうがないけど,これってちょっと調べれば分かることではないか。今の落語が完成したのは大体明治以降だから,産経的日本の歴史には入っていると思うのだけど。

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2008.03.30

桂歌丸独演会(3月22日)

[] 3月の国立演芸場特別企画は桂歌丸独演会。実は国立では初めてだそうだ。旭日小綬章受章記念ということだが,当然のごとくチケットは売り切れたので,来年以降も期待出来る。

 この日の端は柳家小蝠の「天狗裁き」。最初にこの噺はちょっと辛かったか。会場がある程度盛り上がったところで出すような噺だから。本人も「前座があると思ったのでこの噺にしてしまった」と言っていたし。あと,少し太り過ぎではないか。足が辛そうだが。
 次は笑福亭鶴光(!!)の「植木屋娘」。鶴光は芸協にも所属しているから。この日は芸協の会長の独演会なので「乳頭の色は?」とかそういうのは全くなく(当たり前だ),上方落語を普通にやっていた。噺が「植木屋娘」なのは,次が「小言幸兵衛」だからかな。鶴光らしく少しエロ風味があって,非常に面白かった。会場も盛り上がったし。有名なトリビアだけど,「鶴光」の読みは「つるこう」ではなく「つるこ」です。でも変換ソフトでは「つるこう」でないと変換してくれません。
 歌丸師匠の「小言幸兵衛」。この噺は先月遊雀で聞いたが,やっぱり歌さんの方が上か。会場の雰囲気も良かったし。歌さんの幸兵衛は,「自分でも小言はしょーもない癖だとうすうす分かっている」という感じがする。普段から幸兵衛に接している人達も「まーた言ってるよ」で済ませているんだろう,というのが何となく想像出来るんですよね。あと,芝居好きなところも歌舞伎好きな歌丸師匠らしい。

 仲入り後は紙切りの今丸師匠。この人は洒落っ気があっていい。また見たい。
 トリは歌丸師匠の「竹の水仙」。相変わらずおかみさんは富士子さんだそうだ(笑) マクラは甚五郎という人がどういう人でどういう経緯があって旅に出ているのかという説明。この説明のお蔭で,「竹の水仙」がどういうものかが分かり,話の展開も明確になったと思う。甚五郎がまだ若くて,ボンヤリした無意味に偉そうな人にしか見えないというのも良かった。

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2008.03.01

悠々ゆうじゃく 其の三(2月17日)

[] 遊雀師匠の独演会があるというので行ってきた。会場は内幸町ホールという,オフィス街のど真ん中にあるホールで,休日になると本当に誰もいない。あまりに通りに誰もいないから,日時を間違えたのではないかと不安になったくらいだ。
 中に入ると,さすがに人はいた。遊雀師の独演会に来るようなお客なので,マニア度高し。落語家追っかけっぽい人とか,抑制がきいてない人とか。会場はそこそこの入りか。やっぱり日曜にこの場所というのがきつかったか。
 最初はマグナム小林のバイオリン漫談(笑)初めて見ましたが,昔はバイオリン漫談の人ってそこそこいたそうですが。この日のネタでは「暴れん坊将軍」が面白かったかな(笑) ちなみに私は「パイノパイノパイ」はドリフで覚えました。
 次は遊雀師の「小言幸兵衛」。マクラでもあったけど,落語の中の世界では,喧嘩の時に言葉が飛び道具になることはたくさんあるんだけど,それで本当に致命的になることは絶対にない。例えば,「てめえ殺すぞ」と言ったところで本当に刃物でブスッとかやることはない。みんなそうやって言いあった後になって,「あの時お前はこう言っただろう」と蒸し返すのは野暮だし,ましてや「訴える」なんてのは大人げない。
 しかし,今はそういう時代ではない。言葉が本当になるから。あるいはこちらは言葉を本当にするつもりではなくても相手がそう取るから。そういうゲンダイにおいては,この話はやりにくかろうと思う。だって,幸兵衛は今の時代だと完全に「ハラスメントオヤジ」となるだろうから。小言のつもりが6文字の片仮名になっちまうんですよ。遊雀師らしく,幸兵衛にキレる男が良かったな(笑) この話は歌丸師匠でも聞く予定なので,それと比べるのが楽しみ。

 ゲストは桂南なん師匠。何といっていいか分からない雰囲気(笑) 
 
 最後は「ねずみ」。旅の噺だからマクラは当然乗り物の話(笑) 羽田からの飛行機はぜひ右側に乗れ,だそうです(笑) なんといっても卯之吉がいい。理不尽な苦労をして必死だけど,まだ子供らしい,憎めない子供という感じ。それを見つめる甚五郎の目線もとても優しい。こういう噺の方が遊雀師には合っているかな。次の回も行きたかったが,その日はさん喬・左龍の会と重なっていて残念。

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2008.01.12

新春国立名人会(1月5日)

 3日に続いて国立演芸場へ。最初は松本源之助社中の獅子舞。前エントリにも感想を書いたが,民俗芸能っぽい感じ。大黒様,おかめとひょっとこの両面踊りというのはお約束なのかな。
 最初は昇太の「力士の春」。実は3日のお昼のNHKの寄席中継でも同じネタを披露していた。マクラは「嫁が欲しい」というのまで一緒。それにしても,子供が力士英才教育を受けているという設定が面白い。
 柳家紫文。俗曲界のなぎら健壱ってことでいいの?(笑) 
 林家正雀の「豊竹屋」。この日一番印象に残った話。義太夫で風呂が熱いのうなぎが食べたいの唸る豊竹屋と三味線の掛け合いが面白い。その後は寄席の踊りも披露されていた。昔風のいい噺家だと思った。
 神田松鯉「門松の由来」。神田先生は古めかしい風貌と声の講談師。とにかく口跡が良い。
 仲入り前は三遊亭遊三の「ぱぴぷ」。小遊三の師匠。ぐだぐだ(笑)
 仲入り後は国本武春の「巌流島」。彼がどう評価されているのかよく分からないし,なんかちょっとついていけないなと思うところもあるのだけど,多分,浪曲というのは古くて,もう現代人には伝わらないものでは決してなくて,ブルースやフォークやロックのように,人間の普遍的な感情を歌い上げるものだということを彼は伝えたいのだと思う。演歌だって日本のソウルだからな。
 雷門助六は「仕立ておろし」。噺はグダグダだった。芸協は大丈夫かとちょっと不安になる。が,寄席の踊りの「あやつり踊り」は本当に素晴らしかった! この日のトリは歌丸師匠なので,「いかにも新春の寄席らしく」ということなのかな。3日とは大違いだ(笑)
 トリの前は松旭斎すみえ。昔から笑点で何度か見ているが,不思議なことにあまり印象が変わっていない。そりゃ昔よりは年取ってて,昔ほど大掛かりな手品はしなかったけど,話芸とネタのコンビネーションは相変わらずでした。
 トリは歌丸師匠の「火焔太鼓」。やっぱり歌丸師匠なので,道具屋はかなりの恐妻家(笑) そしておかみさんの言葉の端々には何とも言えない棘が漂っている。ちょとした台詞の中にも,「あんたどうせまた失敗するんでしょ」という空気がありありと伝わってくる。だから,太鼓が売れた金をおかみさんに見せる時の道具屋の得意満面でかつ壮快な表情といったらすごいのだ。ちなみに道具屋のおかみさんの名前は富士子だそうだ(笑) 歌丸師匠は素晴らしいや。

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新春国立名人会(1月3日第2部)

 新春から「みつを」物件が相次いで発見され,年始から(私だけが)落ち着かない状態が続いている。そして宗家も新たな動きを見せているようだが,ここらで国立名人会の感想を書いておく。書いておかないと私が忘れるからである。

 最初は若山胤雄社中の獅子舞から。良くも悪くも「舞台で見せるための獅子舞」という感じだった。5日の松本源之助社中が,行事としての獅子舞だった(客席を回っておひねりをくれる人の頭を噛んだりしていた)からかもしれないが,アクロバティックな動きとか多かったように見えた。
 桂平治「女中の文」。時間が限られているので,全体的に噺は短い。マクラは文治師匠の思い出とか新春の寄席の話だったかな。国立演芸場って確かに周りに何もないな。最高裁の隣だし(笑) 
 東京ボーイズ。昨年,旭五郎が亡くなったが,まだまだ二人で元気に活躍されている。元日にTOKIOと共演しているのを見たが,あのベタな芸は寄席では面白いのだ。「千昌夫になって」から始まって,最後はお約束の「謎かけ問答」。
 桂文楽「替り目」。ペヤング文楽あるいは小益文楽。「小益」だったら,本当に何も問題ないのにな……なんてったって昭和の名人といえば「文楽」だからな。
 アサダ二世。胡散臭くて良かった(笑)
 仲入り前は橘家円蔵の「反対俥」。あちこちの寄席を掛け持ちしているせいか,最初声があまり出てない感じがしたが,それでもやっぱりこういうバカバカしい話はとても上手い。先月の彦いちは一生懸命やってもいまいちだったが,円蔵師匠クラスになると7分の力で客席を沸かせられる。
 
 仲入り後は一龍斎貞水。荒木又右衛門の話だった……はず(すみません,話の名前忘れました)。時々いいところで冗談入れてしまって冷めてしまうところがあるのだが,先生は華があるね。講談も今後聴きに行こうとか思ったりして。
 三遊亭円窓「枯れ木や」。円窓師匠は,落ち着いた話しぶり。ある意味この日浮いていた。なんだか学校の教頭先生のようだった。
 トリの前は大瀬ゆめじ・うたじ。ゆめじがうまいこと言ってるのをうたじが理解出来ないといういつものネタやってた。
 トリは,鈴々舎馬風!! 一応,落語協会会長! 20分も持ち時間あるぞ,どうする!? 最初の10分は「男の井戸端会議」だったが,最後は歌謡ショー。舞台で踊るは派手な着物を着た弟子の馬るこ。歌は2曲もあって,フルコーラスで歌うから長いし。予想されたこととは言え,無茶苦茶だった。まあ,お年始だからいいか。

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2007.12.26

円丈の「らくだ」をやる会(12月23日国立演芸場)

[ ][][] 今年最後の寄席は,円丈&SWA(小ゑんさんもいますが)の会へ。毎年年末に行われている会らしいが,今年初めて行ってみた。
 最初は全員の挨拶から。円丈師匠を盛り上げようということだろう。いつも円丈を生で観て思うのは,意外にも(?)ものすごく繊細なことだ。客の反応が悪いと無茶してしまうところがある。特に「らくだ」というのは,円丈師匠もおっしゃっていたがとても長くて難しい。馬鹿馬鹿しいとも違うし,泣かせるところも全くない。ブラックなんだけど,後味が悪いのもいけない。
 最初は彦いちの「反対俥」。後に喬太郎とか小ゑんとか昇太とか白鳥とか控えているのでやりにくかったらしい。最初のうちは客の入りもいまいちというのもあってか,頑張ってやっていたがやや空回り気味だった。頭をぶつけたのは大丈夫だろうか。
 次は喬太郎。「擬宝珠」で来ましたよ。ウルトラマンから「演芸ガチャガチャ」(あったら欲しい!),そしてギザ10というマクラ。古い噺らしいが,オリジナルっぽく聴こえる。
 小ゑんは名作「鉄の男」!! 小ゑん師はおそらく自分は鉄ヲタではないと思う。自分が鉄だったら,多分ネタにはしないと思うのだ。しかし,ヲタクマインドがある方だとお見受けした。「キハ58系」はともかく,「レイルウェイライター種村直樹」はマニアックすぎて誰だか分かった人は殆どいなかったと思われる。ちなみに,私はなぜか知っている。そして,会の性質上か,いい意味で力が抜けていて良かったな。最初から「誰もついていけない噺します」だし。
 中入り前の最後は昇太の「お見立て」。この人やっぱり腹黒いよね(笑) しかし,20分の持ち時間を生かした噺はさすがだと思った。テレビでもいつも思うが,時間配分がうまい。客が弛れないようにするのもうまい。
 中入り後は,白鳥の「ナースコール」。円丈の一番弟子(※欄で指摘がありましたが,総領弟子はらん丈師匠でした。訂正いたします。ご指摘ありがとうございました)だからこの順番なのだろうが,ちょっと期待外れ。緊張していたのかもしれないし,前があれだけ盛り上がっちゃうとね。

 大トリは円丈師匠の「らくだ」。最初は緊張気味で,らくだの兄貴分の半次がやや単調に見えた。しかし,久六が酔っぱらってからはいい感じになってきた。この噺の最大の見せ場だが,人間関係が完全に入れ替わるのが面白かった。オチは……書かない方がいいかな(笑) 今後3年くらいは古典をやると仰っているので,今後も楽しみではあるが,体力落ちてそうなのが気掛かり。

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2007.12.09

志の輔らくごのごらく(11月23日・国立演芸場)

[][] 毎年チケット争奪戦が行なわれる「らくごのごらく」。今年は何とか,本当に何とかチケットが取れたので(最後のチケットですと国立の人に言われた),念願かなって見に行く事にした。何しろ,志らくも登場という豪華版だし,パルコの正月公演は場所的にしんどいので(渋谷の真ん中に辿り着くまでに疲れてしまう),志の輔を拝むのにはありがたい。
 演目は以下のとおり。意外なことに古典しかやってないし,前半の志らくもトリの志の輔も大きな話を持ってきた。

立川志の春 「狸の札」
立川志らら 「宮戸川」
立川志らく 「火焔太鼓」
だめじゃん小出のジャグリング
立川志の輔 「井戸の茶碗」

 最初の志の春は志の輔のお弟子の前座。明るくてよろしい。次の志ららは,志らくの弟子の二つ目にして,高田文夫の運転手らしい(笑) 真打になったら,マネージャーに格上げじゃないですかね(笑) 「宮戸川」自体がバカバカしい話だが,本人自体もはじけててバカバカしい。二つ目にしてはずいぶんと慣れてるもんだな。
 前半の最後は志らく。立川流をオ○ムに喩えるというのも,もう古いんじゃないですかね(笑) 志らく独特の妄想ワールドがすごい。おかみさん,なんか凄いんだ(笑) あと,わざと時代設定にあってないネタ入れたりとかね。ややドタバタした感じがしたが,やっぱりうまいな。

 後半はだめじゃん小出のジャグリング。初めて見たが,時々非常にくだらないことをするのが良い。あと,実は結構難しいことをやっているが,難しいという印象を与えないのもいい。
 最後は志の輔。最初は少し風邪気味かとも思ったが,徐々に調子が上がっていく。人物造形も見事だし,しっとりとした話しぶり。で,マクラのせいか少し風刺の要素もある。武家の意地に振り回される庶民の抗議。意地や面目のために人の心が見えなかったことに気がつく浪人。道具を通じて,今まで他人だった人達が少しずつ心を通い合わせて,最後はめでたしめでたしで終る。すごい落語家だね。「火焔太鼓」と「井戸の茶碗」,「汚くて全く価値がなさそうな古道具をお武家が目をつけての騒動」というところでつなげたのか。でも,切り口が全く違うところも面白い。

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2007.09.28

【ビキビキ】ビッキーズ解散【ビッキーズ】

[] ビッキーズがとうとう解散した。といっても,どれだけ知名度あるのか分からないのだが,小さい方がハッピ着てて飴ちゃんまいたりスーツケースに入ったりするコンビだ(笑)

ビッキーズ解散。木部はたむらけんじの焼肉屋に転職

 スーツとハッピ姿のコンビで知られる漫才師「ビッキーズ」(須知裕雅、木部信彦)がコンビを解散する。7月に長女が誕生した須知は、今後もピン芸人として活動していく意向。木部は芸能界を引退する。


 ビッキーズの2人は元々サラリーマン。お互い脱サラしてコンビを組んだ。28日の大阪・うめだ花月での漫才が最後の舞台で、10月1日に都内で開催される「オロナミンC」CMバトルへの参加が最後の活動となる予定。5月中旬より発展的なコンビ解消について話し合っていたと言う。


 これまでABCお笑い新人グランプリ優秀新人賞などを獲得。うめだ花月を拠点に活動していた。ちなみに、芸能界を卒業する木部は、先輩芸人・たむらけんじの「炭火焼肉たむら」で働くという。

 ビッキーズは結構好きなんだが,不思議なほど「ああ,やっぱり」という感慨しか沸いてこない。実は2005年の夏にビッキーズプレミアライブをうめだ花月で見たが,この時点でもう木部ちゃんはあまり面白いことをしようとしてないなと思った。残念ながらお笑いをやるには少しいい人過ぎるのだ(それが須知の毒消しになっていたんだけど)。そして,先月末に関西方面に旅行に行ったのだが,須知がピンで出ているのが目に付いた。喧嘩別れではなく,漫才を続けるのは無理な状況になってしまったのかな。
 それにしても「たむけんの店で働く」って最初ネタかと思った。吉本芸人の再就職先はたむけんの店。すごいな,たむけんって。関東で見る時は大概獅子舞の格好してるけど,関西に行くと普通にテレビに出てるもんな。土田みたいなポジションなのか?

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2007.09.18

市馬・喬太郎「ふたりのビックショー」(9月7日)

[ ][] 練馬文化センターで行われた「ふたりのビックショー」。見所は何と言っても「馬夫・豚夫の歌謡漫談」(笑)
 7時開演だが,6時45分ごろから前座の市朗さんが出てきた。私はこの日,ギリギリについたので時間を間違えたかと思ってあせった。7時からは寒空はだか。相変わらず客が反応しにくい芸である。「東京タワーの歌」はお約束だが。上手かったのは,坂本九の歌真似といとし・こいしのパロディ。ネタがやばすぎてどこにも書けない。
 その後は,市馬の「お化け長屋」。マクラに先代の正蔵師匠の話をしていたが,「怪談」つながりで。途中で歌まで歌い始める大サービスがあったが(笑),市馬師匠はここに来ていっそう充実してきたなあと思いました。
 中入り後はお待ちかねの歌謡漫談。結構グダグダだった(笑)が,市馬……じゃなかった馬夫の素晴らしい歌が聴けたので良し。そして,馬夫は意外と毒吐きなのね。木久蔵親子のこととか。まあ落語できな(略) 自分の出番が終ってしまった馬夫はともかく,トリを務める喬太郎……じゃなかった豚夫はちょっと固かったか。
 ゲストは桃太郎師匠。「前の漫才が押して時間がねえ」とボヤキながらだが,あのくらいの時間で私にはちょうどいい……。柳昇師匠の話ばっかりしてたが,ちょっと面白かった。
 最後は喬太郎の「彫師マリリン」。「寿司屋水滸伝」的なバカバカしい話。しかし,喬太郎師はバカバカしい話に限って無駄に演じ分けが難しかったりするんだよな。最後,幕が下りなくてあせっていたのが可愛かった。終ったのは9時半過ぎ! 福袋みたいな会だった。

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2007.09.17

桂米朝落語会(8月31日)

[][][] 京都府立文化芸術会館で行なわれた落語会。たまたまその日関西にいたので行ってみた。もう米朝もかなりの高齢なので,今見ておかないといつ見られるか分からないし。会場に行ったら平均年齢がものすごく高いので軽く凹む。

 最初は雀太。ここで,関西の落語には「前座」,「二つ目」,「真打」といった制度がないことを初めて知った。それはともかく,関西では少しずつ人気が出始めている人らしい。演目は……何だったっけ? 街道ものだったけど。
 お次は吉坊。年齢不詳。26歳らしいが,外見はそれより若く見えるし,噺はそれより年上に見える。若くして亡くなった吉朝の弟子。「おごろもち盗人」だが,愛嬌があっていいと思った。
 団朝の「幸助餅」。この日,一番見て良かった。この人は今後チェックしよう。安定感があるし,こういうベタな人情噺を嫌な感じを与えずに話せるのはすごい。
 そして中入り前最後は米朝の「よもやま噺」。ここでとても残念なことが起こった。後ろの立ち見席で,デジカメで写真を撮っている人がいた。大体においてこんなところで写真を撮るのは非常識である。それを注意する人と撮っていた人が少しもめていた。休憩時に会館の人も交えて話し合いが行なわれていたが,どうも写真を撮っていた人は取材の人でちゃんと許可は取っていたらしい。しかし,取材なら腕章をつけるなりすればいいし,大体立ち見の客に交じってデジカメで写真撮るような取材ってあるのだろうか。そして,取材の人も「私そんなに悪いことした?」みたいな顔してたんだけど。
 このエントリを書くに当たってgoogleで検索してみたら,京都民放webがお詫びの文書を出していた。この人たちだったらしい。
桂米朝落語会(8月31日)での写真撮影でご迷惑をおかけしました

去る8月31日、京都府立文化芸術会館で行われた「桂米朝落語会」で、客席フロアで取材していた本紙記者の写真撮影の音で、観客の皆様の鑑賞を妨げてしまいました。この写真撮影は、取材許可の内容を逸脱したものでした。

 観客の皆様、主催者の桂米朝事務所、京都音協ならびに関係者の皆様におわびいたします。


2007年9月7日

京都民報社

 会から1週間も経ってるな。抗議でも受けた? 今後は気をつけて下され。
 肝心の米朝の噺自体は……まあ小咄ですわ。もう年齢も年齢だから長いものや本格的なものはできないのかもしれない。残念。

 中入り後はすずめの「禍は下」。すずめって三林京子さんなんですね。それも初めて知った。踊りも軽く披露して,トリの小米朝へつなぐ。小米朝だが,この人相変わらず落ち着きがない(笑) 三木助と微妙に被る。顔も声も結構父親に似ているんだけど,父親も結構そそっかしいらしい。噺は「くしゃみ講釈」。それはともかくも,こんなにうまいと思わなかった。「覗きからくり」の真似は実はよく分からなかったんだけど(実物を見たことがないから)講釈師の語りは良かったな。あと,主役がそそっかしい人間であるのも彼のキャラに合っていたのかも。上方落語もいいな。

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2007.08.28

「怪談」〜納涼ほらー演芸会〜(国立演芸場)

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 毎年恒例の「納涼ほらー演芸会」。人間国宝の一龍斎貞水が立体怪談をすることで有名。実は立体怪談は文京シビックセンターでも行われる(貞水先生が生まれも育ちも文京区だかららしい)のだが,今年は喬太郎師も出演なので,国立にしてみた。今年のプログラムは次の通り。

一龍斎貞友「真景累ヶ淵「豊志賀の死」」
ケン正木<ホラーマジック>
柳家喬太郎「路地裏の伝説」
仲入り
一龍斎貞水「鏡ヶ池操松影「江島屋怪談」」

 前座は……誰だっけ? こういう会での前座はやりにくいよなあ。最初は一龍斎貞友。貞水のお弟子さんで,声優としても有名らしい。……あれ,どこかで聞いたことある声だなと思って後で調べたら,「ちびまる子ちゃん」のお母さんの人だった。というか,鈴木みえだったとは……,松山光だったとは……。道理で声の使い分けがうまいわけだよ。今年映画化されているからか,「豊志賀の死」。また,女性が語ると,ねっとりとしていて怖いですな。
 ケン正木のホラーマジックだが,ナポレオンズ的しょーもないネタあり,80年代的人体切断芸ありと,楽しかった。そういえば,最近人体切断マジックってやらないね。昔はテレビで結構やってたのに。
 柳家喬太郎師は,SWAのユニフォームを着て登場。どうして小学生や元小学生ってあんなに怪談が好きかねwww 口裂け女はポマードの匂いが嫌いだと小学生だった私は聞いたな(80年代の小学生の話)。でもって,元小学生男子のリアクションがうますぎ。オチは何となく読めたけど。

 大トリの貞水先生。50分もあるので,時々脱線話をしたりしながら客の集中力が大事なところで途切れないようにいろんな工夫をしている。フリートークはすごくうまいわけではないのだが,面白かったのは,「なぜ日本の怪談は怖いか」という話。日本の怪談には必ず因果があるから怖いのだ。西洋のホラー映画って,因果はないでしょ? たまたま幽霊屋敷に入っちゃった若い男女が,何も悪いことしてないのに襲われたりする。ある意味それはそれで怖いんだけど,日本の幽霊はそういう節操のないことはしない。この辺の話は,雑誌「東京人」の「圓朝特集」でも書かれていたけど,日本の幽霊は何か理由があって出てくる。怪談に教訓的な役割があるとも考えられるし,日本人が「怪は人の心が産む」という考え方をしているからとも考えられる。とまれ,肝心の「江島屋怪談」なんだが,これは圓朝物である。マクラに「講談のネタを落語家がやっちまうから困る」みたいな話があったが,今回はその逆だってこと。
 立体怪談というだけあって,舞台美術はとにかく凝っている。もともとこういうことも圓朝がやってたことらしいが。何が怖いって,貞水先生の顔(笑) 照明の当たり方が怖いです。照明がやたらとチカチカして目が疲れるところもあるが,大詰めのところの語りはすごかったなあ。最後に幽霊に扮した貞友が出てくるんだが,若い娘にしては(笑) 
 立体怪談はやっぱり企画物なんで,普通の講談も聞いてみたいと思った。年末の赤穂浪士か?

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2007.06.27

花形演芸会スペシャル〜受賞者の会〜(6月23日)

[][][][][][][] 喬太郎師が3年連続で花形演芸大賞を受賞した。その受賞者の会が23日に国立演芸場で行われた。他の受賞者は,三遊亭遊雀師,ポカスカジャン,カンカラ,春風亭栄助,司会進行は柳亭市馬ときたら,行かずばなるまい(他の受賞者は,入船亭扇辰師と柳家花緑師だが,残念ながら欠席)。特に遊雀師のこの1年を振り返ってみると,本当に本当にこの度の受賞はめでたい。
 この日の前座は,桂夏丸。今後二つ目に上がれるそうでこちらもめでたい。ちょっと下ネタ風味。そして,春風亭栄助。全くコーナーに置けない二つ目だぜ(元ネタは「ワザオギ落語会」から)。今後が期待できる。というか,この人落語家になるまでが長かったらしく,結構年齢は行ってる。
 カンカラはこの日は3人。最初,グダグダでどうなるかと思ったが(時間ないのに,ズーッと同じボケやってるとか),最前列のノリのいいお客さんの存在もあってか,それとも欽ちゃん劇団の意地か,立ち回りでぼけまくって終る。別に新撰組である必要は全くないネタなんだけど(笑)
 市馬は,この日は引き立て役ということで軽く「締め込み」。人柄なのか,みんなマヌケでいい人ばかりに見える。
 
 休憩後に授賞式だが,これがまたグダグダ。これだけのメンツがそろっちゃ仕方あるまいか。特にポカスカジャンはダチョウ倶楽部のようにボケまくり。審査員の講評も,演芸会ならではというか,とにかく一筋縄で行かないし。そんな中,喬太郎師の挨拶だけが異色だった。
 今回で花形を卒業することが発表された後に挨拶があったのだが,「賞を狙いに行かなくてはならないというもうこんなプレッシャーは嫌だから卒業を申し出た」ということであった。また,去年の会では,遊雀師(当時は落語をしていなかった)からメールを貰い声を詰まらせ,今年はその遊雀師とともに授賞式に臨むということもあってか,強い思い入れが感じられた。珍しくことばがうまく出てこないように見えた場面もあった。市馬師がその後うまくフォローしているあたりも,ちょっといい風景だった。
 その後は,遊雀師の「船徳」。相変わらず壊れている(笑) マクラの鉄道ネタで喬太郎師を出しにするようなことを言ったら,喬太郎師が裏から出てきて「芸風変わったな」と言ったのにも笑ったが(こういうのは喬太郎師がよくやる),それを受けて「うるせー,オレは自由だ!!」という遊雀師の言葉に苦笑。そう,この1年で師は本当に自由になった。自由になったからには,これまで以上に自分のやりたい落語を突き詰めて欲しい。最初は良かったが,最後少しだれたかな。でも,「泣きながら逆ギレする男」をさせたら日本一だと思う。
 そして,ポカスカジャンなんだが,1回ナマで見た方がいいです。とにかく音楽的なレベルが高いし,ネタのレベルも高い。ややマニアックなんだが(寄席メドレーとか),すごいと思ったよ。特に「ボレロ」(笑) 彼らがボーイズなのかよく分からないが,音楽漫談系でこれだけ完成度が高い芸を持っている人たちはいないと思う。
 トリは喬太郎師の「竹の水仙」。マクラで遊雀師のことを触れていて,「帰ってきたのは本当に嬉しいけど,復帰してすぐに賞とかとれるほど落語は甘い世界じゃないと思った」というようなことを語っていた。キョン師自身も,誤解を受けるかもしれないけど,と断りを入れていたが,キョン師の正直な気持ちがよく現れた発言だったと思う。この1年,キョン師自身も心を痛めてきたことで,遊雀師が落語に戻れるということは喜ばしいことだったに違いない。しかし,キョン師はこの1年花形演芸会に「かけてきた」。そんなこと遊雀師だって分かり切ったことだろうけど,敢えて「ライバルとして」言いたかったのかもしれない。その後の「竹の水仙」は,もうこれで花形が最後だからということで選ばれたのかも。出来としては「ハワイの雪」の方が良かったが,とにかくキョン師はすごい。前からすごかったけど,最近またすごくなった。また8月にも会があるので,それに行く予定だ。

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2007.03.22

宗家ハッタリの限界なのか

[][] この「日々カタログ。」の使命の1つに,実は「金をかけない和泉元彌のおっかけ」というのがある。というか,多分日本一和泉家のことを取り上げているブログだと思うよ。他にそんなブログがないからだけど。ということで,本日のこのニュースも取り上げなくてはならない。

元彌の母が金銭トラブル、自宅差し押さえ(日刊スポーツより)

狂言師の和泉元彌(32)の母節子さん(64)が、金銭トラブルを起こしていることが20日、分かった。東京・板橋区にある節子さんの自宅を兼ねた事務所が差し押さえられているほか、衣装部屋として使っているアパートの家賃と月決めの駐車場代金を未払いにしている。昨年、和泉流狂言の事業運営会社が東京国税局に所得隠しを指摘され、1億円を超える追徴課税をされたことで、深刻な“金欠”に陥っているようだ。
 ドタキャン、除名処分、交通事故などのドタバタが続く和泉ファミリーに、今度は自宅の差し押さえが発覚した。
板橋区にある自宅兼事務所は約30年前に建築した2階建ての一軒家。登記を見ると、昨年6月29日に板橋区から、同年10月27日には東京国税局から差し押さえられている。相次ぐ差し押さえの理由として、関係者が指摘するのが昨年に発覚した所得隠しだ。
 昨年6月、和泉流狂言に関する事業の運営会社「和泉宗家」が東京国税局の税務調査を受け、04年3月期までの5年間で約1億5000万円の所得隠しを指摘された。経理ミスなどを含めた申告漏れ総額は2億円以上で、追徴税額は重加算税などを含めると1億円を超すとみられている。
 日大法科大学院・板倉宏教授は「国税と地方税の両方から差し押さえをされているのは深刻。今後競売にかけられる可能性が高いのではないか」と指摘した。
 隣接するアパート2階に借りている衣装部屋の家賃も滞納している。このアパートに住む女性は「6畳の和室と3畳の台所。かぎを掛けないことが多く、猫が勝手に部屋に入り込むので鳴き声で近所迷惑。きちんと管理して欲しい」と訴えた。地元の不動産関係者は「部屋を貸している不動産会社も家賃滞納に困惑しており、法的な措置を検討している」と話す。さらに、新宿区内に契約している駐車場の5カ月分約15万円の滞納も指摘されている。
 宗家継承をめぐって能楽協会と争い全面敗訴した昨年の裁判では、節子さんが虚偽の証言をしたとして協会に謝罪、解決金300万円を支払っていたこともこの日、判明した。相次ぐ“金欠トラブル”に、NHK大河ドラマ「北条時宗」の主演を張った元彌ファミリーの輝きは見られない。


 本当に切羽詰まっているようだ。もともとこの一家はお金にはかなりだらしがない。順風満帆だった頃から,お金のトラブルはいろいろあった。というか,未払いトラブルが非常に多い。また,1億を超える追徴課税を課されるほどの所得隠しもあったということは,どういうことなんだろう。セッチーに管理能力がないのならちゃんと経理ができる人を雇うなり,税理士なりちゃんとした外部の人にチェックしてもらえばいいのに。そういう人を雇うものイヤなのかも。要するに,この家はドケチなんじゃないか。そんなドケチの割に大切な商売道具である衣装を保管する部屋に鍵をかけないというのはソウケケ(注:和泉節子はやたらと和泉家を「宗家家」という。宗家家という言葉は勿論日本語として適切ではない)としていかがなものか。確かに追徴課税は痛手だろうが,「それだけ稼いでいる」から税金をとられるわけである。ちゃんと処理していれば,こんな風にまとまって来ることはなかったのだ。ちょっとしたところでケチケチして後で痛い目にあうのがいつものパターンなのに,学習していない。
 でも,5年間で1億5000万の追徴課税が来るくらいは仕事来てるんだなあ。木曜時代劇も出ているし,中国を中心に国際的に(笑)活躍されているようだ。日本じゃ相手にされないからとか言ってはいけない。
 
 
 ああ,でもこんな報道が出るようになっては,ソウケケはもう限界かもしれない。ソウケケの生命線は「宗家ハッタリ」だったはずだ。能楽協会からどれだけ無視されようが「和泉流20世宗家」としてプロレスに出る(なぜ狂言の宗家がプロレスせねばならんのかという根本的問題は置いといて),自分の息子は自動的に21世宗家になる,セッチーはあくまでも高級なのかもしれないけど悪趣味な服を貫き通す,嫁はあくまでも芸能界復帰はない,貸し料金が高い国立を借り切って公演を行なう等々,「600年続いた宗家としての振る舞いを続ける」ことしかこの人達の生きる道はないのだ。いくら能楽協会が無視してもこの人達に狂言を習いたい人も何人かはいたり,この人達の狂言を見たい人達も何人かはいたり,プロレス参戦を頼まれたりするのは,やっぱり宗家マジックだと思う。しかし,宗家が宗家らしくなくなった時,流石に鈍い人達でも分かってしまうのではないか(宗家といえば,能の宝生流もいろいろあるんですけど,あまり報道されないね。やっぱり統制されてるんだろうな。でもあっちの方が和泉よりもシャレにならないような気が……書かないけどね)。さて,どうするんだろうなあ。

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2007.02.05

国立演芸場・花形演芸会(2月3日)

[][] 三遊亭遊雀が出演するという事でいってきました。この会は爆笑問題,柳家喬太郎も出演するので,チケット争奪戦はいつもより激化。運良く5分で電話つながったから取れたけど,あっという間に完売したみたいです(会場も立ち見が出てたし)。
 前座は桂夏丸。今後は新作で行くのだろうか。頑張れ。曲芸は鏡味正二郎。本当にヒヤッとすることもあったけど,最後は見事に大技決めてくれました。傘よりもバランスの方を後にした方が盛り上がり的によかったかも。
 そしてお目当ての遊雀。噺は「初天神」とくれば楽しみじゃないですか。久しぶりに見る遊雀師は,最初は少し緊張気味でしたが,どんどんとほぐれてテンション上がって壊れていきます(笑) 髪の毛増えたよね(笑) 昔はちょっと神経質な感じもしたけど,そういう張りつめた感じもなくなっていて良かった。でもちょっとシニカルな感じも相変わらずなんだ。いろいろあったけど,いいきっかけだったのかな。いいきっかけにしてほしいね。「子供の無茶苦茶さ」もさる事ながら,両親(特に親父)の造形も素晴らしいですね。
 お次は爆笑問題。はじめて生で観る。太田が細すぎ。田中はそんなに太ってないよ。ネタはいつものように時事ネタなんだけど,何一つここに書けそうにない(笑) 部分的に書くと過剰反応しそうな人出そうでな。だからといって全部書く事も出来ないし。ミラー(略)とか。
 三遊亭円馬の「試し酒」。こういう噺って,客をひきつけるの難しいと思うんですよね。大酒飲みが酒飲むのをひたすら見せる噺だから。この人は上手いです。また見たい。
 休憩後は,紙切りの林家二楽。正楽の息子! 写真と違って,現物はやくみつる風。紙切りで15分持たすのが難しいのは分かるんだけど,あの最後の音楽と連動させるネタはちょっと引いた。あまりにもベタで,私みたいな人間はちょっとひくのよね。でも,15分間即興で切り続けるのも出来ないからなあ。普段の寄席だと紙切りって5分くらいで終わりなんだけど,それくらいがこの芸にちょうどいいのかもしれない。
 柳家紫文。……こういうの,なんて言っていいか分からない。いや,私はこういうのは決して嫌いじゃない。むしろ好きな方だ。でも,新内とか常磐津ってどれだけ今の客層に馴染んでいるんだろう,と思うのだ。だからこういうのやってるのかな。この人もまた機会があれば。
 最後は,待ってましたの柳家喬太郎。喬太郎聴くのも久しぶりだあ。相変わらず太ってるな。
 噺は「ハワイの雪」。さん喬っぽさを出した(「さん喬に何で弟子入りしたのか?とよくきかれるけど,単に好きなので」と前に言ってた)でもさん喬じゃない,独自の人情ばなし。相変わらず前半は小ネタ時事ネタその日のネタ取り混ぜて進むんだけど,最後がきれいで。これもベタじゃないかと言われるとそうかもしれないんだけど,もっていき方がうまいから。それにしても喬太郎師は,老人の描写がうまいよね。若いお姉ちゃんは割とパターンが決まってるんだけど(それでもリアル),年寄り独自の意地や諦めがすごくよく出るんだ。
 ということでこの日の演芸会はかなり大満足でした。みなさんも機会があれば,ってあまり書くと余計チケット取れなくなるな。

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2006.12.30

今年のキーワード:桜塚やっくん

[] 年末なので,「2006年を振り返る」特集。今年の漢字は「命」らしいが,TIMがまた来る,ことはおそらくないだろうなあ。それはともかく,本ブログで最もアクセスが多かったエントリは,「桜塚やっくん」というか,あばれヌンチャクに関するエントリ(例えば,これとか これとか)である。特に前者の方は,たった一日で5000ヒットしたこともある,おそらく,本ブログ中で一番読まれたエントリではないだろうか。とても不本意ながら。

 これらのエントリでも書いたが,私はあばれヌンチャクの独特な芸風が好きだった。昭和テイストでちょっと(かなり)ブラックなネタ,どことなく寒い雰囲気,二人がいまいち仲悪そうなところ,……こう挙げていくと「不安定さが魅力になっていた」のだと思う。だから,解散の時はショックは受けたが,しょうがないと納得する気持ちもあった。
 

 そして,この1年。桜塚やっくんは本当にブレイクした。「ブレイクした」という事実は何度か書いてきたが,肝心の芸についてどう思うかについては言及を避けてきた。……本当は続かないと思ったんだよ。何しろ,芸人潰しの「エンタ」に毎週出ずっぱりだから,ギター侍のように数ヶ月で消えると思っていた。しかし,意外とここまで持ってしまった。持つもんだね。でも,もうそろそろ危ないような気がしてきたので,ここでちゃんと考えてみることにする。


 まず,女装キャラなんだが,往年の女装キャラ(故・青島幸男でも故・由利徹でも桑原和男でもいいが)は,「女装で笑いをとる」という面があったが,やっくんはそうではなかった。普通に可愛いのだ。「スケバン」という設定は,どうしても隠せない男性の体(といっても前よりかなり痩せたけどね)とか男性的な声とか振る舞いをエクスキューズする役割を持っているが,既に女装が素顔を意識させないくらいはまってしまっている。意外と長続きした要因の1つだと思う。
 ただ,スケバンって最初どうかと思った。大体,今の客は知らないんじゃないかと。氣志團があるからそうでもないのかな。そして,やっくんが時々アムロの真似(ガンダムね)とかするんだけど,あれ分かるんだろうか。微妙な昭和っぽさは相変わらずなんだが,どういう風に客が消化しているのだろうか。エンタの客見ててもわかんないのよ。多分あの客は事前にスタッフにいろいろ仕込まれていて,「ここで笑う」みたいな風になっているんだと思うのだ(ドリフ大爆笑のおばさんの声みたいなもんね)。そうでないと,どんなに寒いピン芸人でもそこそこ笑いをとっているのが説明できないから。だから,あの客の反応見ても,一体どう受け入れてるのか全く見当がつかない(それは,やっくんだけでなくあの番組に出ている芸人の不幸である)。
 更に,客をいじるという芸風なんだが,基本的に私は好きではない。絶対やるなとは言わないけど,そういうのに頼る芸風は嫌いだ。なんか最近は,「ああ,客も台詞も決まってるのねー」ってのがどんどん見え見えになってるし。結局,「あばれヌンチャク」時代の紙芝居になってるじゃないか。そりゃあ,絵うまいけどさ,じゃ一体ピンで何をしたかったのだろうか。
 
 なんだか,いろんな意味で欽ちゃんにすごくかぶるのだ。多分最近私が辛い原因はそれだと思う。「スケバン恐子」でダメなら次のキャラになるのかもしれないけど,その時は芸風を変えるんだろうか。それなら面白いと思うんだけど。

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2006.12.29

M-1グランプリ雑感

[] 年末恒例のM-1です。所詮よしもとのイベントだからな(結局アマチュア以外は全部よしもとだった),一応話題づくりに今年はアマチュアがでるけど,それってよしもとデビューへの布石なんだろうなとか,テンション下げつつもなんだかんだいって今年も途中から見ました。プラン9から。

 ……というか,なぜポイズンガールバンドをよしもとは引っ張ろうとするのかいまだに分からない。はっきりいって彼らはつまらんと思う。私が彼らをいかに嫌いかは,2004年の(2年前だ)M-1についてのこのエントリとか去年のM-1についてのこのエントリとか読んでいただければわかると思う。どうでもいいが,私は毎年M-1についてエントリを書いていたのか。PGBをそんなにも嫌うというのもなんだか大人げないとは思うのだが,M-1決勝に2回も残るというのは過大評価されすぎだと思う。
 M-1の予選のシステムを完全に把握しているわけじゃないが,決勝に残る組の選抜には,単に当日会場を沸かせた力だけではない力が働いていると思う。事務所の力関係とか今