料理スキル(ほぼ)0の人に料理を始めさせる方法
最近,はてなブックマークで10年前の自分に教えたい料理の始めかたというエントリと学生の自炊アドバイスというエントリが人気エントリとして上がっていた。自炊の心構えを重視しているのが前者で,技を重視してるのが後者という感じがするが,両方のエントリとも「本当にやってる人」ならではの内容で,兼業主婦暦約6年の私も楽しく読んだ。実は私も自炊に関してはいろいろと言いたいことがある。何しろこの6年間,殆ど毎日ご飯作ってますから。そこで,料理とか自炊について1つエントリを書いてみようと思う。
まず,自炊をするかどうか,料理をするかどうかというのは,実家暮らしか一人暮らしかはあまり関係ない。実家でもバリバリする人はいるし,一人暮らしで全部外食という人もそんなに珍しくない。私の場合は,結婚前まで実家にいたが,大学に入った頃から,「料理くらい作りやがれ,この穀潰しが」という感じで結構料理をさせられていた。母親が料理好きじゃなかったからな。あと,親が料理好きかどうかもあまり関係ない。小林カツ代・ケンタロウ親子みたいなのもいるけど,「親が料理うま過ぎて,自分ではあそこまで出来ないからやらない」という人も割といる。ちなみに母親はそういう人で,作れないくせに美味いものの味だけ知ってるから厄介だった。お蔭で鍛えられたが。ということで,料理を自分でするかどうかというのは,一人暮らしかどうかとか親がどうかとかはあまり関係ないような気がする。
自炊の大きな理由の1つとしてとして,「節約」というのがあるが,実際のところ節約になるかというと,そうとも言いきれない。長い目で見ればそうだろうが,まず初期投資が結構するからな。冷蔵庫はそこそこの大きさのもの買わないと難しいし,炊飯器,電子レンジくらいは必要だろう(鍋でご飯を炊くことも可能だが,そんなスキルあったら自炊出来てるわな)。あと,調理用具を最低限揃えるだけでも意外と金がかかる。更に調味料を本当に最低限揃えるだけでもお金は飛んでいく。
そもそも料理したことが殆どない人には,何が最低限なのかも分からないかもしれない。少し底が深いフライパンで煮物作ったり,少量のパスタ茹でたりも出来るんだけど,そういうスキルって,料理出来ない人には難しいし。ということで,「節約」が自炊のモチベーションとなるかどうかは私には分からない。料理を本当にしたことがない人にとっては「節約」と考えられないような気がする。私自身も最初の1年くらいは「金かかりすぎじゃね?」と思ったし。
あくまで私の場合だけど,自炊のモチベーションは,「健康維持」が一番大きい。というと健康ヲタクみたいだけど,単に胃を壊すことが多くて,たくさんの料理を食べられないとか脂っこいものがあまり食べられないといった事情のせい(笑) 食事の量を加減出来るとか,その時食べられるものだけで献立が立てられるというのが最大のメリットである。
あと,外食の選択肢が少ないとか遅くまで開いている食料品店があるかどうかというのも意外と重要なファクターである。特に後者の要因は,昼間働いている人間にはきわめて重要。自炊がある程度できるようになってきた頃だと,「普通のスーパーにはなかなかない食材や調味料が多く置いてある店」があるとモチが上がる。
ということで普段の料理は私が作っているのだが,私も時々病気にはなるし,仕事が立て込むこともある。そこで困るのが家族の食事である。私が元気なら外食でもいいんだけど,病気の時は私が困る。
私のツレは結婚まで殆ど料理をしたことがない人であった。そこでツレに何とか少しでも料理を覚えてもらわないといけなくなった。少なくともみそ汁と簡単なおかずくらいは。そこで,1から料理を教えることにした。
ここで心がけたのは,「絶対に失敗しない,あるいは失敗しそうになっても途中でリカバリ出来る料理を選ぶ」ということであった。最初でつまづくと,「自分には向いてない」と自信なくしてまたやってみるってことがなくなるから。ある程度うまくなった段階だと,「大失敗」(本当に食べられないものになる)の可能性は小さくなるし,ちょっと失敗した時でも「次はここをこうしよう」とか考えられるようになるのだけど,最初だとそれは難しい。
そこで最初に教えたのはみそ汁。ちゃんと昆布とかつお節でダシもとる。まずダシの取り方だが,昆布の場合,こちらであらかじめ昆布を一定の大きさに切っておく。うちでは二人分のみそ汁にちょうどいい大きさにしている。そうすれば間違いない。水の量だけは覚えてもらう。水に昆布を入れてちょっと置いといて,火にかけたら沸騰する前に取りだす。これで昆布ダシが取れる。かつお節はみそこしを使うと手間がかからない。
とにかく,料理の手順はなるべく少なくするのが吉。その意味で,電子レンジで簡単に作れる料理も教えとくといいと思う。例えば,ほうれん草のおひたしもポテトサラダでじゃがいも茹でるのも,電子レンジとラップだけで出来る。失敗のリスクは小さい。
あと,味付けのコツだが,例えばみそ汁にしても具によって味噌の適量も変わってくる。この場合は,「明らかに少し少ない」量を最初に入れる。その段階でいったん味見させる。で,少しずつ調味料を増やすようにする。最初は調味料を入れる度に味見させるようにする。調味料の量と味との関係を覚えてもらうのですね。適量になったら止める。薄い味を濃くするのはできるけど,逆はできないので,最初は少しずつ調味料を入れてちゃんと味見というのを心がけるようにすると,失敗は少なくなると思う。
この「ちょっと料理を作れます」レベルのお薦め料理は,「肉ジャガ」である。なんで肉ジャガ?!と思う人もいるかもしれないが,意外と大した料理じゃないのよ。美味いカルボナーラ作るよりも簡単だよ。肉ジャガといえば,「家庭料理」の代表選手で,「男性が作ってもらって一番嬉しい料理」とされている。本当かどうかは知らないけどそう言われてるので,ホントに料理したことのない女の子でも,彼氏のために作れるようなレシピが世間にたくさんあるのである。ホントに料理したことのない人でも,手順通り作ればそこそこうまいものが作れるように工夫されている料理の代表格なのだ。あと,肉ジャガ作れるようになると,自信にもなる。ちなみに私のツレも肉ジャガは作れるようになった。
なお,一人暮らしメニュー定番の「パスタ」と「炒飯」は,料理スキルがそこそこ上がらないとうまく作れないので最初は避けた方が良い。炒飯に限らず炒め物は,ある程度火加減や味加減が分かるようになってからでないとうまく作れない気がする。で,パスタは市販のソース使うのならまだいいが(でも,市販のソースって大概不味いよね。美味しいものはかなりお高い),自分で作るとなるとかなりのスキルが必要。複数の料理を作るのにどういう手順で作れば手際よくかつ一番いい状態で食卓にのせられるか,というのがある程度分かってきた段階でないとうまく作れないんじゃないかな。
あ,あと自炊を続けるコツですが,「家の中にある程度食材がある状態にする」ことですな。食材がないと献立立てる時のヒントがないので。個人的には乾物と缶詰がオススメ。乾物は面倒そうだと思う人は,缶詰から。ツナ缶は必須だが,意外と便利なのはホタテ缶。もちろんフレークでいいよ。ややお高目だけど,ちょっとしたスープとかあんかけとかに使えて便利。
料理ができて損をするということはおそらくないだろう。このエントリがどれだけ役に立ったのか知らないが,みなさんも楽しい料理生活を。
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Comments
最近の私の料理のモチベーションはダジャレです。
Posted by: 子分3 | 2007.12.02 at 07:22 PM
南郷さんはお料理上手でうらやましいっす。なすしおばらなんか,写真だと美味しそうでしたよ。しおばらはスープ系だといい塩気が出ます。
Posted by: コバヤシ | 2007.12.02 at 07:38 PM
自分とこで、まとめてあげようか、とも思ったけど、よくある料理のテキストって、とても体育会っぽいんですね。経験だけを継承させようとしている。
でも、料理って、物理加工と化学反応なわけで、基本には、熱によって、デンプンのα化、タンパク質の硬化、脂肪の流動化を行い、素材の中の有樹酸を抽出しているわけです。そういうプロセスを踏まえれば、肉じゃがは意外と容易、炒め物は一気に均等に熱を加えられない限り難しいの当然なんです。
なので、ロジックな料理テキストをまとめてください。何なら、共著でもいいです。
Posted by: 子分3 | 2007.12.02 at 08:02 PM
体育会っぽいというか,知識じゃなくて「手続き」に頼る部分が大きいから,そうなっちゃうんでしょうね。あと,アンアンとか真に受けるような料理下手女子は,「とにかく理屈はいいから,男子受けする料理作るの!」になるから(笑)
奥園壽子女史の料理コラムはkkk新聞で一番面白くて役に立つのですが,「なぜこの順番で材料を炒めるのか」とか「この下ごしらえには何の意味があるのか」というのがうまく説明されてるのですね。レシピの味付け自体は「ご飯が進む系」なんだけど,それより「なぜ」のところがすごくいい。
肉じゃがは材料入れるタイミングだけですね。「なぜ」そうするのか分かれば,大概の煮物は作れるようになりますな。
ロジック料理テキストですか?(笑) ロジカルだけど,おフレンチとか作れないですよ,私。時々息抜きに料理の話も書きますか。
Posted by: コバヤシ | 2007.12.03 at 12:00 AM
料理下手女子は、男子受けするなら、上手く作れるように装うより、むしろ意図的に「許容できる」失敗をした方がいいと思う。例えば「肉じゃが」なら、芋に火が通ってないのは許容されないけど、ちょい甘過ぎ、水くさすぎとか。
最終兵器には自体盛りがあるし。
Posted by: 子分3 | 2007.12.03 at 07:56 PM
自体盛りに肉じゃがは熱いですぜ(笑)
料亭みたいに「薄味お出汁が染みてほくほくとしているが煮崩れなし」てのは,手料理っぽくなくてひくかも知れんですね。芋はやや崩れてるとか,やたらとツユダクとか。
「ビーフシチュー」じゃなくて「ホワイトシチュー」の方が得点高いのかな。ビーフシチューって,ガチだといろんな手間かかるし,蘊蓄の入る余地があるし。
Posted by: コバヤシ | 2007.12.03 at 08:53 PM
「ほくほくとしているが煮崩れなし」のために、メークインを使ってキッチリ火を通すか、男爵を予めチンして使うか、自分の技量でどちらを選ぶかというあたりの判断ができるかが、プロセスよりも実際に料理をするには大事なんですがねぇ。
今日、豚バラブロックがグラム98円だったので買ってきて、今、塩漬け中です。何にするは、明日考えます。
私の場合「何を作ろう」と考えるよりも、「素材をどうしよう」と考える方が楽しいので、あり意味でインチキ料理なんです。しおばらを梅酒とその梅肉で酢豚っぽいシチューにしても面白いかな、なんて考えちゃう。
Posted by: 子分3 | 2007.12.03 at 10:45 PM
料理に限らず、(視覚に限らず)目分量能力があれば
たいていのことはそこそこうまくできます。
目分量なしで料理を作れるよう教えるか、
料理を通して目分量能力を上げるか
方向が分かれるところですね。
Posted by: 砂野 | 2007.12.04 at 04:07 AM
>南郷殿
私は男爵でやや崩れかけが好き(貧乏舌),なので,そのように作ってます。さすがに溶けてるのはイヤですが。材料をどう選択するかとかどう下ごしらえするかてのは確かに重要ですな。あと,その時の調理時間にどれだけ余裕があるかとか。
料理は問題解決だと思いますよ。冷蔵庫の中身と買ってきたものから献立をどう立てるか,複数のメニューをどういう風な手順で作れば効率がいいかをうまく解決する問題。
>砂野さん
最初から目分量でうまくできるひとなら,料理くらい作れてますな。料理スキルない人とか料理がうまくできない人は,目分量自体が難しい。で,「最初は目分量なしで行く」というのが引用していたエントリの人。私の場合は「目分量能力をあげる」方向です。どちらがいいということはなくて,本人の適性と料理の内容によるような気がします。例えば「オレん家の味」を追求するなら目分量能力あげるしかありません。
Posted by: コバヤシ | 2007.12.04 at 10:52 AM