バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場「モーゼとアロン」(10月20日)
[ベルリン国立歌劇場][ダニエル・バレンボイム][モーゼとアロン] バレンボイム&ベルリン国立歌劇場の千秋楽は,シェーンベルクの「モーゼとアロン」。未完でかつテーマや音楽が難しいので殆ど上映されないことで有名です。ですが,これが一番面白かったです。最初から「構えても分からないから気楽に観よう」と思ったのが良かったのか,それとも演出の現代性のせいか。
まず,老若男女全員,「マトリックス」風の服装(カツラ・サングラス・黒スーツ)をしているというのが目を引きます。遠くから観ると誰が誰だか分からない。主役のモーゼとアロンでさえ,「こういう風に歌ってるから」以外に群衆と見分けはつかない。匿名の社会という暗喩か。テレビだかモニタを大量に舞台に置くということもしてたから,エジプトの民が「メディアの中で誰か神のように自分を導いてくれることを欲している人達」のように見える。そして,アロンが「ことばを持つ者(だが真理は持ってないかもしれないし求めようとしていないかもしれない者)」,モーゼが「真理を求めているが,民に伝えることばは持たない者」で,当時も現代も,前者の方が圧倒的に強い。最後にモーゼは上着を脱いで現れるのだが,「匿名性を脱した」段階ではあるが,既に民衆に言葉は伝わらず,言葉を勝手に伝えたアロンに対しても「その石版だって偶像だろ」と言われてしまう。音楽も,独白のようなモーゼのパートと「歌」となっているアロンのパートの対比が面白かった。
さて,このような演出なので,ブー出てましたね。ブーはいいんだけど,もうちょっと堂々と自信持ってやれよとちと思った。カコワルイ。千秋楽なので,カーテンコールの後は関係者一同舞台上で鏡割り(笑) バレンボイム,本当にお疲れさま。ありがとう!
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