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2004.05.23

特捜最前線

「西部警察」も「太陽にほえろ!」の話も書いたのに、なぜお前が特捜の話を書かない? と言われそうなので。といっても以下の文章は前に書いたものに手を入れたものです。ファイルの整理をしていたらでできたものだが、妙に力入れて書いてます。


 刑事ドラマ「特捜最前線」の存在を知ったのは、小学校低学年の頃である。
 うちの両親は共通する趣味が殆どないのだが、唯一といっていい共通の趣味が「刑事ドラマを見ること」である。そのせいで私も幼稚園の頃は、園から帰ると外にも行かず「Gメン75」の再放送を独りで見させられた。その頃はいろいろあって家の中がごたごたしていたので、私が黙って独りでテレビを見ている方が親にとって好都合だったというのもあるのだが、私自身も結構面白がって見ていたと思う。また、金曜の夜は「太陽にほえろ!!」、日曜の夜は「西部警察」を家族で見ていた。ということで、幼児期に刑事ドラマを見る習慣がついてしまっていた。そのお蔭か知らないが、今でも私が両親と共有できる数少ない趣味でありつづけている。
 特捜も、両親は必ず見ていた。しかし私自身は初期・中期の特捜はリアルタイムでは殆ど見ていない。なぜなら、放映時間が遅かったからだ。水曜10時という時間帯は、当時の善良なお子様は寝ていなくてはならない時間帯だった。たまに翌日が祝日で休みというときしか特捜は見せてもらえなかった。
 そのせいもあってか、特捜はとても「オトナ」なドラマに思えた。出てくる刑事の年齢も高いし(←おやっさんだけか?)、捜査も地味だし(そりゃまあ、「ほえろ」や「西武警察」に比べれば)、なんだかテーマも暗い感じだった。というか、私の周りの非特捜ファンの人は、大体「暗い」とか「地味」とか言って特捜を否定する。しかし、刑事ドラマが派手でなきゃいけないって誰が決めた?  あ、石原プロか。
 本格的に見るようになったのは、小学6年生の時。木曜の9時に放映時間が移ってからである。当時の善良な小学生の殆どは、その時間帯は「ザ・ベストテン」を見ていたはずだ。この頃の特捜は、もうかなりパワーが落ちているのだが、それでも小学6年生女子に世の不条理を思い知らせるには十分な力を持っていた。
 
 私が考える特捜の大きなテーマの1つは「行き場のない抵抗」(または「世の中を変えられない抵抗」と言ってもいい)である。
 世の中の権力や、実体の見えない世間に虐げられている人間が、それに対して抵抗するために行動する。しかし抵抗する人間は、世の中に影響を与えられる力を持っていないし、持つこともできない、とても弱い人間達だ。そこで世の中の規範から逸脱した手段、つまり犯罪という手段で世の中に訴えるしかなくなる。当然のことながら、その人間は現在の法体系に反する行為を行った故、罪に問われることになる。
 特命課の刑事は、このように現在の法体系から逸脱してしまった人間を捕らえることが任務だ。その特命課の刑事も、それぞれの社会生活、境遇において、何らかの形で解決できないような問題を抱えている。刑事は犯罪者の中に、自分の中に同じようにある要素を見て、時には葛藤しながらも自分の任務を遂行する。「葛藤」とか「ジレンマ」というのは、特捜の重要なテーマだな。
 刑事達は、自分達が「正しい」ことをしているという気持ちはないだろう。自分達が今、犯罪者を虐げてきた者たちの立場にいることも分かっているだろうから。しかしそれでも彼らは自分の任務を遂行する。弱い犯罪者達のささやかな抵抗は、彼らを苦しめている者に直接届くことはなく、更に弱い者を虐げるだけのことになることを知っているから。

 このドラマを毎週見るたびに、何かにとどめを刺された感じがしたものだ。後期ですらこんな感じなのだが、初期・中期はもっとすごい。某特捜友(といっても一人しかいないのだが)の家で前に泊まり込んで5時間特捜見て、
人間の業の深さと藤岡弘、の歌声

生きているのが嫌になった

ことがある。ま、まだ生きているわけですが。

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Tracked on 2004.05.25 at 06:43 AM

Comments

ネットをさまよってたどり着きました。特捜のメッセージ、同感です。見終わった後、心地いいとか心地悪いというように割り切れない余韻を残す印象があります。私にとって「割り切れなさ」を丁寧に画いているように思います。

Posted by: ピニョン | 2004.09.20 at 11:55 AM

ピニョンさん、はじめまして。ピニョンさんの特捜のレビュー、興味深く拝見しました。初期の話が再放送されているみたいで本当に羨ましいです。そう、特捜は、何が悪で何が善だか分からなくなるんですよ。よくこんなものを子供に見させていたなとうちの親に対して思うわけですが、世の中の複雑さを子供に教えたかったのかもしれません。おそらく単なる趣味だったんでしょうが。そのせいで悩み深い小学生だったような気がします(笑)

Posted by: コバヤシ@管理人 | 2004.09.20 at 08:26 PM

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